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ツルギの剣【再編集版】  作者: 稲枝遊士
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第四十話 剣と弓




 とある学園の、付属幼稚園。



 剣と、盾、そして弓はそこで知り合った。


 今となっては名前も覚えていない場所の、遊具や砂場のある広場で、三人はいつも共に遊んでいた。



「ゆみ~!

 じゅ~ん!


 こっちこっち!」



 幼い頃の剣は快活で、よく走り回る子供であった。


 いつもどおり、興味の向いた方へ駆けていって、盾と弓を呼ぶ。


 盾は遊ぶのが楽しくて、急いで駆けていく。


 弓は二人が危ないことをしないか、心配そうに見守りながら歩み寄る。



 だが、そんな三人のところへ黒いスーツ姿の男が姿を見せる。



「あ……」


 男の姿を見ると、急に三人は静かになる。


 特に、剣は心底嫌そうな顔をして黙り込む。



「弓お嬢様、盾お嬢様。


 お帰りの時間です」



 男の言葉に、弓と盾は頷く。

 しかし、表情は否定の感情を現していた。


 嫌そうなしかめっ面のまま、男の方へと寄っていく。



「それと、お二人とも、もうあの娘と遊んではなりませんと何度も申し上げたはずです」


「そんなの、いやだ!」


 弓が声を上げる。


 続けて、盾も頷いて言う。


「わたくしもいやですわ!

 つるぎとあそびたいんですの!」



 二人の少女に言われ、男は困ったような表情を浮かべる。


「また、よくお話をしましょう。


 ともかく、帰りましょう」



 そうして、盾と弓の二人は男に連れられ、去っていった。


 剣は、明日は人の目を盗んでこっそり遊ぼう、と考えつつ二人を見送った。






 深水剣と火群盾――そして火群弓は、幼なじみであった。


 物心ついた頃から共に成長してきた、三人姉妹のようなもの。


 盾と弓は大財閥、火群グループ大総帥の娘であり、いずれ火群を継ぐ者だった。


 一方で剣は、大財閥深水グループの家系にギリギリ含まれるぐらい遠い血の家の娘。



 本来なら、出会うことさえありえないような身分違い。


 しかも、深水と火群はライバル同士である。



 故に、三人は幼い頃から迫害を受けて育った。


 互いの家名に属する大人が、敵を貶めようと様々な方法で迫った。



 これがあったからこそ、三人は団結した。


 盾、弓、剣。

 この三人が姉妹であり、血の繋がりよりも濃い友情で結ばれた家族であると。


 また、三人共が超野球少女であったため、これを誓いの証とした。


 つまり三人は、子供ながらに生きるため、迫害に抵抗するためのささやかな手段として野球を選んだ。

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