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『親ガチャ失敗・俺の親、泥棒ですが何か!』 怪盗紳士は『スチール』極めて成り上がる。  作者: 米糠


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第5話 池袋西探索者ビル 

 

「中学は義務教育じゃから、卒業だけはせにゃあなあ……」


 道造さんが両腕を組み、天井を見上げて呟いた。

 テレビの野球中継はすでに終わっていた。


「中学生のうちは探索者には、成れないんですかね?」


 俺は、学校なんか行くよりダンジョンに潜ってみたい。

 仕事を覚えるなら早くから始めた方が良いに決まっている。

 俺の中では探索者になることは決定していた。

 …………成れたらだけど。


「たぶん、放課後数時間潜るくらいはできるじゃろう」


「昼間は学校があるはずですもんね。学校が終わったころからなら探索できますかね?」


 ――学校があるはずって……いうのも変な話だが、俺はいつも抜け出してるから感覚的にこういうコメントが出ちゃうのよ。


「珍しいことじゃから、職員さんに目をつけられるじゃろうが、言うことをよく聞いて、従順にしとればきっと大丈夫じゃろう」


「年齢制限は、ないんですもんね!」


 道造さんは布団の代わりに、タオルケットをひとつ放ってくれた。


「明日、行ってみれば良かろう? わしに聞かれても、想像で答えるしかないのじゃ。ほんとのとこ、分からんからのう」


 テレビを消し、布団に入っていた道造さんが、ごろんと寝返りを打ちつつぼそりといった。


「そろそろ、ねるぞい」


 俺は床に寝転がると、天井を見つめた。

 ダンジョンの洞窟の光景がなんとなく浮かんでくる。

 もちろん想像上のダンジョンだけどね。


 電気が消えて、部屋が暗くなる。

 薄い街灯の光だけがカーテンの隙間から入り、床に白い線を描いていた。


 ***


 翌朝、俺は目を覚ますと道造さんの家を後にした。

 朝食は食べていない。

 家に戻って服をそっと着替え学校を目指す。

 かーちゃんと男はまだ寝ていた。


 足取りが軽い。

 なんだか今日は、いつもより気分が良い。

 たぶん探索者になるのが楽しみなのだ。

 石神公園で時間をつぶす。

 珍しく屈伸運動や、ラジオ体操のようなことをして体をほぐした。

 学校が始まるまで、まだ少し時間があったのだ。


 運動部の朝練が校庭で始まっている。

 そろそろ登校してもいい頃合いだ。

 教室に居る時間はできるだけ減らしたいのでタイミングを計るのは大切だ。  

 俺は公園を出て教室に向かった。

 学校に向かう生徒の波に混じって歩道を歩く。


「おはよう!」


「おはよー」


 方々で挨拶の声が響く。

 俺にかかった挨拶のはずはないので聞き流す。


 校門をくぐり、玄関で上履きに履き替え、三階の三年生の教室へ。

 保健室は一階だ。


 自分の教室に滑り込み、隠れるように自分の席へ。


 俺に話しかけてくる奴は、一人もいない。


 教室のパソコンを使ってダンジョンの情報を調べる。

 一人に一台貸し出されたノートパソコンが机に備え付けてある。


 日本探索者協会のホームページを覗いてみるとーー


 一番近くにあるダンジョンは、池袋西F級ダンジョン。

 入り口は、池袋西探索者ビルの中にあるらしい。

 池袋西探索者ビルは、池袋駅から西に1キロほどの位置にあり、バスも通っているが、ここから走っていけないこともない。


 池袋西F級ダンジョンかー。

 F級ダンジョンってことは初心者の俺にうってつけかな?


 ダンジョンの種類を調べるとA級に始まり、B、C、D、E、Fとなっていた。

 一階層で出現する魔物の脅威度によって分けられており、F級が一番脅威度が低い。

 つまり、A級ダンジョンは、初めから強い魔物が出るため、Aランク探索者でないと危険ということらしい。

 もちろんF級ダンジョンでも、二階層、三階層と深く潜っていくほど、強い魔物が出現するので、初心者だけが利用しているわけではない。


 この世界にダンジョンが現れて五年、いまだ最深部まで到達できたダンジョンはなく、最深部がどうなっているかは謎のままである。


 ダンジョンに生息する魔物は、倒すと煙となって消滅し、魔石と呼ばれる石を残す。

 この魔石は、未知の物質ということから研究され、ミステリウムと命名。

 今では電気を取り出すことに成功している。


 魔物は消滅時、魔石以外に時々何か別の物を残していくことがあり、これは、ドロップ品と呼ばれている。

 ドロップ品は、魔物の種類によって、いくつか特定の品が決まっているようで、例えばスライムと呼ばれる魔物は、スライムゼリーと呼ばれる物質を十回に一回程度の確率でドロップすることが知られている。

 また、稀に違ったものを落とすこともあるらしいが、何が落とされるかは定かでない。


 池袋西F級ダンジョンの一階層で出る魔物は、スライムかー。

 最初はこれだよな…………。


 スライムは魔核を破壊すれば倒せるけど、つるりと滑って攻撃がそれるので、プルプルの中の魔核を狙うのは難しいらしい。 


 スライムの魔石の買い取り額は100円かー、スライムゼリーは500円と。

 10匹倒して魔石が10個とゼリー1個で1500円ってところか。


「……やっす!」

 思わず小声でつぶやいた。


 ……一時間で10匹倒せるのかな?

 ……5匹だと時給750円か。

 10分で1匹倒せればまあまあかな?


 10分で1匹見つけて倒す……そんなにすぐ見つかるのかな?


 そんなことを考えていると、担任の田淵が入ってきた。


「みんな席につけー! 授業を始めるぞー」


 その声に生徒全員が席に付く。


 俺もパソコンを閉じて歴史の教科書を出し、田淵を見つめた。田淵の講義が始まる前に俺は手を上げいつものように保健室へ歩き出した。


 田淵はちらりと俺を見たが無言で頷き視線で早くいけと指示をした。


 廊下を抜けて一階に降り、保健室に直行する。

 今日も保健室の松本先生に会釈するとベッドに潜り込む。

 俺と松本先生の間に会話はない。


 若くて綺麗な先生だし、泥棒の息子と話なんて、したくないんだろうな――。


 少しするとお約束のように松本先生は職員室に向かったので俺はタイミングを見て校外へ逃げ出した。


 今日は歩いて、池袋西探索者ビルを目指した。

 電車を使っても歩く距離はそれほど変わらないのはチェック済だ。

 

 石神駅まで歩き池袋から池袋西探索者ビルまでバスに乗ればそれなりに金がかかる。

 駅やバス停を乗り継ぐことを考えれば、直接歩いて行っても着くまでに時間が倍になるということはないだろう。


 俺は口笛を吹きながら、南東に向かって歩き続けた。

 15分ほど歩いて池袋西探索者ビルを見つけた。


 人家の中に突然堅牢な壁に囲まれた一角。

 その中に三階建ての建物がそびえている。


 一階の窓は少なく、玄関は鋼鉄製の分厚い扉が開け放たれ、その奥にガラス製の扉が閉められている。


 奥のガラス扉を抜け中に入ると広いロビーの向こうに受付カウンターが四つ並び、右手に二階へ上る階段と、その横にはダンジョン入り口という表示の下に鋼鉄の扉が開け放たれていた。

 そしてその奥がダンジョン入り口に通じているらしかった。


 二階は、レストラン、三階は探索者用の物品を売る店になっているらしい。


 俺は、階段を上ってレストランをスルーし、三階の探索者用の物品を売る店を覗いた。












 

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