第24話 水魔法・スライムバレット
とにかくこいつのステータスを明らかにしなくては。
俺は続けてスチールを発動する。
「スチール!」
スライムゼリーをスチールしました。
スライムの胃袋1をスチールしました。
「スチール!」
スライムの胃袋2をスチールしました。
「スチール!」
スライムの胃袋2をスチールしました。
スライムの胃袋が5個もある。
、
「スチール!」
防御外皮2をスチールしました。
「スチール!」
HP1をスチールしました。
知力1をスチールしました。
次は知力を狙う。
HPが先になくなれば、取りつくす前に死んでしまうからだ。
「スチール!」
知力2をスチールしました。
「スチール!」
知力2をスチールしました。
「スチール!」
HP2をスチールしました。
知力を取りつくしたためにHPを取ってしまったらしい。
どうやら次で終わりそうだが、想定外のものを持っているかもしれない。
狙いを定めずスチールを発動した。
「スチール!」
HP2をスチールをしました。
スライムが崩れ、水貯まりに変わる。
その中央に魔石が落ちていた。
どうやらこのスライム、レベル3のスライムのステータスはこうらしい。
HP 5
MP 5
力 0
防御外皮 2
知力 5
速さ 2
器用さ 0
スキル
スライムの胃袋 5
消化液 3
水魔法・スライムバレット(消化液を弾丸として飛ばす。消費MP1)
スライムゼリー 1個
レベル3ともなると、奪えるものがだいぶ増えるな。
特に水魔法・スライムバレットが嬉しい。
これで、俺も魔法が使えるかもしれない。
ここはやっぱり試してみたいよね。
壁に向かってスライムバレットを撃ち込む。
「スライムバレット!」
腕を伸ばし、掌を開いて壁に向ける。
発射される消化液の弾丸。
蛍光石の岩壁は、あたりを柔らかく照らしていたが、俺の掌から飛ばされた水の弾が当たったところは白い泡を吹いて溶けだしていた。
消化液を弾丸として飛ばす――蛍光石も溶かす消化液か、凄い。
これ、骨をも溶かすんじゃね?
蛍光石の岩壁の消化液が当たったところを覗き込んで確認すると、10センチくらいの穴ができていた。
うん。これ魔物を一撃で殺せそう。
消費MP1の表示を確かめる。
俺のMP表示に〈ー1〉の表示が追加されていた。
MPを1使ったと言いたいらしい。
こうしてみるとステータスは、カッコ内の数字との合計なのは間違いなさそうだ。
だってそうでなかったら俺のMPは0だもん。
間違いない。
俺は魔物のステータスをスチールして自分のステータスをアップできる。
強くなり放題?
それから俺は、またスライムを狩り始めた。
この辺りはまだレベル2がほとんどだったが、先に進むにつれレベル3のスライムが増えてくる。
だが距離を取り、攻撃される前に敵の攻撃手段を奪って倒し続けた。
スライムバレットを撃たれたこともあったよ。
初めての時は正直ビビったけど、何とか躱せた。
速さのステータスが結構上昇していたおかげかな。
二度目以降は、余裕だったぜ。
慣れれば簡単。
3メートル離れていればね。
だから近づかれたら、しっかり距離を取る。
走るスピードだって俺の方が全然早いから余裕だった。
奥の方は、もうレベル3だけになったけど、複数相手でも距離を取りながら、少しずつ削っていけばいいだけだった。
……余裕。
でも流石に眠くなってきた。
頭の奥がぼんやりしている。
もう、4時くらいかな?
やっぱり徹夜は厳しい。
寝ぼけながら戦うのは危険だと思って、俺は引き返すことにした。
寝ることのできる公園なんて、どこにでもあるじゃん。
ロッカールームに戻って、ここで寝れば良いやとも考えたが、すぐに嫌な考えが頭をよぎった。
他の探索者が来るんだったわ。
寝ているところを――グサりとか……ないよね?
おびえ過ぎかな。
リュックに今日の収獲物を詰め込んでクロークに提出。
買取査定だ。
今日は夜通し狩っていたので、魔石もスライムゼリーも大量にある。
「今度から、ここで換金までするようになりましたからねー。受付での換金はなくなりましたー」
今まで二度手間だったから、このシステム変更は嬉しい。
合理化って必要だよね。
「……えっと」
カウンターの向こうで端末を操作していた職員のお姉さんが、少し目を見開く。
「魔石とスライムゼリー、どちらも156個ですね。買い取り額は……9万3千6百円になります」
9……9万!
凄い稼ぎじゃん。
渡された万札を数えなおした。
中坊にとっては大金である。
ましてや、俺のように親ガチャ失敗の者にとっては。
眠気が一気に吹き飛んだぜ。
「すごいね! きみ。まだ第一階層しか行ってないんでしょう?」
クロークのお姉さんが、素直に感心したような目でこちらを見る。
二十歳くらいの綺麗な人だ。
受付のお姉さんも綺麗な人だったけど、この職場は綺麗なお姉さんが多いのかな?
ゲートの守衛さんはやたら強そうだったし、公務員さんって、全体的にレベルが高いのかも。
ダンジョンを管理しているのは国だ。
それを守るように建てられている各地の探索者ビルの職員も公務員だと思う。――根拠はないけど。
「は、はい! まだ、十四歳なので……」
「きみ。ドロップ品が異常に多いのは、何か変わったスキルでも持ってるの?
盗賊職の人が持つ、スチールみたいな?」
「すごいですね。ズバリ、その通りです。僕はスチール持ちです」
俺は、照れ隠しに頭を掻く。
「内緒ですよ」
「もちろんですよ。個人情報は外部には漏らしません。それにしても、魔石の数とスライムゼリーの数が一緒なんて、すごい成功率! 何度もスチールしたんですね」
……………………?
スチール成功までに何度もスチールするのが、一般的ってこと?
普通はそんなに失敗するものなのか?
俺のスチール成功率って、異常に高いのか?
俺、今まで100パーセント、何かしら盗めてるぞ!
――ユニークって、このことか?
まあ、何でもいいや。考えたからって、何かが変わるわけじゃないしな。
「はは、ラッキーですかね?」
「それもあるけど、努力家なんじゃない?」
「努力家……ですか?」
俺が努力家なわけがない。
「ええ、そうだと思うわ。こんな時間まで、頑張ってたみたいだし」
「ありがとうございます」
勘違いで褒められたようだが、わざわざ間違いをただすのもな……。
ここは素直に感謝しておくことにしよう。
俺は、頭を下げて踵を返す。
綺麗なお姉さんは好きだけど、寝床を探して寝なくっちゃな。
守衛のマッチョマンに頭を下げながらゲートをくぐる。
西池袋探索者ビルの一階に出て、階段を見る。
二階のレストランなら寝ていても大丈夫だろうか?
営業時間はとっくに終わっているけど、鍵のかかる扉はなかった気がするし、テーブルに突っ伏して寝ていても許されそうな気がしてきた。
行くだけ行って、ダメなら外に出るか?
眠れるなら、近いし無駄に歩かなくて、ラッキーだよね。
階段を上り、レストランに入る。
照明は普通についていて、寝るには明るいが、俺の睡眠の邪魔にはならない。
なんだ、他にも寝てるやついるじゃない。
俺みたいな探索者って、意外と多いのかも。
……て! あそこで寝てるの、このあいだの3人組じゃん!
赤嶺天心 ヒューマン 14歳 レベル3
職業 怪盗紳士
HP 9→10(+840)
MP 0 (+703)
力 9→10
防御外皮 9→10(+342)
知力 8→9 (+698)
速さ 9→10(+335)
器用さ 13→14
スキル スチール(ユニーク)レベル3
スライムの胃袋(526)レベル2
消化液(373)レベル2
魔法 スライムバレット(92)レベル1
装備 なし
アイテム リュックサック




