表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『親ガチャ失敗・俺の親、泥棒ですが何か!』 怪盗紳士は『スチール』極めて成り上がる。  作者: 米糠


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/24

第20話 球技大会の余韻

 


 翌日俺は、家に戻り服を着替えると、にぎり飯を作って食べ、学校に向かった。


 なぜだか、いつもなら寝ているかーちゃんと男はいなかった。

 ……別にいなくてもかまわないけどね。


 学校につくと、クラスのみんなは昨日の興奮が冷めやらない様子で、委員長の平田の周りを、たくさんの女生徒たちが囲んでいた。


 まあ、昨日のヒーローは委員長の平田だから、当然かな。

 勉強も運動もできる平田、モテモテで羨ましい。


 俺は、目立たないように自分の席に着く。


 昨日、俺も少しは活躍したような気がしていたが、そんなことは全然なかったらしい。


 キーパーは点を取られたら駄目なのは分かってる。

 PK戦で、ゴールを守ったのはこの俺で、厳しいシュートを止められたと思うんだが……そう思ったのは俺だけか。


 まあ、ボッチの俺が少しくらい頑張っていたって、誰も声をかけてくるはずないんだよ。


 俺は、机のパソコンを開いて株取引を調べる。


 ……ふむふむ。


 なんだかわからねー!!


 やっぱり、俺には無理だな、これ。


 パソコンを閉じると担任の田淵が教室に入ってくるところだった。


「昨日の球技大会、男女とも一組に勝利した。よく頑張ったぞ! 特に男子は、一人、人数が少ない中、よく守り通してPK戦にもつれ込み、辛くも2-1で勝ちをもぎ取った。先生は感動したぞ! 佐藤、平田、よくやった!」


 先生も、担当クラスが勝つと嬉しいらしい。


「特に赤嶺! お前、よくゴールを守ったな。何度も点が入る状況で、奇跡のようなセーブをして見せた。素晴らしかったぞ!」


 あれー……俺、田淵に褒められてるよ。

 クラスのみんなの反応は、そんなことなかったのになあ?

 これは、あれか?

 この前、犯人扱いしたことへの、埋め合わせか……?

 罪滅ぼしか?

 ご機嫌取りか?


 まあいいや。聞き流しておこう。


「赤嶺でも、やればできるんだ。自信を持って、頑張って生きるんだぞ!」


 俺でもって、なんだよ?

 でもって?


 自信を持ってって、何だよ?

 これ、俺の評価、メチャ低くねー?


 田淵、お前、褒めてるつもりだろうが、しっかりディスってますけど。


 まあいいや。

 今日も保健室いこー。

 

「みんなも赤嶺を見習って、しっかり頑張ってくれよ」


 頑張らなきゃいかんのかい! 

 俺は頑張らなきゃ、ちゃんと生きていけないのかい?

 けっこう傷ついてるんですけど。

 俺は、普通に生きていければいいんだよー。


「先生! 保健室に行ってもいいですか?」


 俺は、早速許可を求める。

 これ以上、ディスられ続けるのはつらいです。


 田淵は話の腰を折られて顔を歪めたが、それでも行くことを認めてくれた。


 俺は、静かに教室を出た。

 背後で扉が閉まると、さっきまで耳にまとわりついていたざわめきが、嘘みたいに遠のく。


 廊下を歩き階段を降りて保健室へ向かう。

 ――やっと、逃げられたぜ。


 白いカーテン越しに柔らかな光が差し込む保健室には、、保健室の松本先生(25歳前後、女性)が机に座っていた。


「あら、赤嶺君。今日も体調不良なの?」

 

「はい……」

 小さく頷き、見え見えの嘘。

 ……分かってるなら、聞かないでほしい。


「昨日はキーパー、凄かったわね」


 見てたのか。

 まあ、先生だし、そういうこともあるよね。


「そうですか?」


「うん。赤嶺君、凄くキーパー上手だったよ。運動神経いいんだね?」


「…………」

 返事に困る。


「普通は、あんなシュート取れないよ。まるでプロのサッカー選手みたいだった」


「……ほめ過ぎですよ」

 嬉しい、より先に、疑う気持ちが出てしまうのは、たぶん癖だよな。


「そんなことない。君、サッカー選手を目指したら? 高校に行ったら、サッカー部に入ってさ」


 ――ああ、やっぱりこうなるか。


「俺、高校いけないんで」


「え…………いけないって?」


「就職するんで……」


 一瞬、松本先生の表情が固まった。

 俺の家庭のことを思い出したのか、何かを察したのか、声の調子がふっと柔らぐ。


「……そっか。……就職か。そうだよね……」


 それ以上、何も言わなかった。 


 俺は、ベッドのカーテンを開けて潜り込んだ。


「すみません。寝ちゃっていいですか?」


 松本先生が、こんなに話しかけてくれたのは初めてだった。

 でも、うっとおしかった。

 高校だの、サッカー部だの、そんなの俺とは無縁の場所だ。


「あ、ごめんね」

 松本先生が、申し訳なさそうに、でも優しく言った。


 俺は仰向けになって目を閉じた。

 松本先生がベットのカーテンを閉じてくれた。

 消毒液とシーツの匂いがした。


 俺は気持ちを切り替えて、探索のことを考える。

 昨日発見した、レベル2のスライム。


 第一階層には、スライムしか出ないって話だけど、スライムにもいろいろあるんじゃないかな?


 奥に行けば、レベル3、レベル4……って、強くなるのかも。

 でも、ドロップするのは、スライムゼリー1つだけなんだよなあ。

 でも…………強くなるためには強い魔物を倒した方が良いんだよね?

 

 そろそろレベルアップしないかな?

 もうしそうなものだけど……。


 薄暗いカーテンの向こうを想像しながら、俺は考え続ける。


 今俺ってレベル2だよねー。

 俺は探索者カードを取り出し、ステータス・オープンと唱える。


 赤嶺天心 ヒューマン 14歳 レベル2

 職業    怪盗紳士

 HP    9(+219)

 MP    0(+93)

 力     9

 防御外皮  9(+94)

 知力    8(+88)

 速さ    9(+87)

 器用さ  13

 スキル   スチール(ユニーク)レベル2

       スライムの胃袋(86)レベル1

       消化液(82)レベル1

 魔法    なし

 装備    なし

 アイテム  なし


 探索者カードの表示が現在のものに更新された。

 

 …………そっかー。


 やっぱりレベル2だった。

 レベル3になるとたぶん1づつくらい上がるんだよね?


 少しづつだが、強くなればスライム以外とも戦えるようになるかもしれないし、そうすれば第二階層に行く実力が付くってもんだ。


 まあ、15歳までは第二階層に行く許可が下りないけどね。


 それと、武器や防具を買う金をためることも大切だ。


 それにしても、()の中の数字は何なのかな?

 +のマークがるってことは、足すんだよね。


 そうすると、HPは228ってこと?


 …………まさかね。


 速さは、9+87で、96?

 だから、シュートを止められたのか?

 知力は、8+88=96って、天才級じゃない?

 メッチャ頭良いはずじゃん。

 ……でも、俺そんなに頭良くなった感じはないんだけど。


 あまりにも数字が大きくなりすぎてるので、この仮説は却下かな?

 でも、他にどう考えればいいのだろう。


 まあいいや。

 今日も地道にスライムを狩るだけさ。

 

 

 



 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ