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プロローグ:彼女の夢は、運命を告げるサイン

 暗雲に覆われた空、鳴り響く雷鳴。重苦しい空気と枯れた大地、凶暴さを帯びた植物。

 そんな荒廃した土地に、一際目立つ城があった。

 全てを拒絶するかのような高い壁に囲まれ、歪に重なる塔が聳え立つ。

 人々に恐れられた魔王の住まう城だ。


 そこへ、一人の来訪者がやってくる。魔王唯一の脅威、勇者だった。

 身軽さを重視し、最低限の防具しか身につけない。

 死闘の果てに辿り着いた、生き残るための最適解。

 素早く首を落とす者が勝つ。一瞬の躊躇が死を意味する。


 勇者が握りしめるのは、全ての悪を断つ聖剣。

 無数のモンスターの血を吸いながら、勇者の力となる刀身は青く輝いている。

 玉座の間に辿り着いた勇者は、魔王へと聖剣を向ける。


「魔王よ、約束通り一人で来た」


「クックック、さすがは勇者だ」


 魔王が求めた条件、それは勇者が一人で城に来ることだった。

 仲間を置き去りに、正義は条件を守り、ここに立っている。


「もう終わりにしよう。どちらかが倒れれば、戦争は終わる」


「光か闇か……面白い、勇者よ!」


 立ち上がる魔王。ついに直接対決の時が来た。

 一進一退の攻防。死を譲らず、勝利を信じる二人。

 紙一重の死闘が繰り広げられる中、互いの存在を認め合うようになっていた。


「その聖剣も懐かしいな!」


「壊された時はどうなるかと思ったよ!」


「吾輩の最強魔法を見せてやろう」


「受け止めて、前へ進もう!」


 魔王が放つ漆黒の闇、全てを飲み込み滅ぼす最強の魔法。

 しかし、聖剣の光はそれを弾き飛ばし、勝利への道を切り開く。

 勇者の一撃が魔王の身体を切り裂く。久方ぶりに自分の血を見た魔王は、敗北を悟った。


「グッ……その聖剣は厄介だったな……!」


「最後に言葉はあるか。永久に語り継ごう」


「そんなものはいらん」


 敗北が永遠に語り継がれるくらいなら、潔く死を選ぶ。


「なら、これで終わりだ」


 勇者が振るう聖剣。光の軌跡に導かれ、魔王の命は尽きる。

 ……そのはずだったのだが。

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