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人間→吸血鬼  作者: 布渋
3/5

初めての生きた人間

 足音に警戒しながら洞窟の天井へ歩くとゴーグルをかけ、マシンガンを構えた小太りの軍人が歩いてくる。

「ワオ、狼の死体に下半身ミンチ、ヤバいな

オロロロロ」

 

 何だろう……これが普通の反応だったのか。


「ごぇ、もう見たくないのによ……オロロ」

 死体に吐瀉物を吐き終えると銃を構え直し、辺りの警戒し始める。

「全くよ、俺は殺しは嫌いなのに……、やっぱりこの洞窟は何かあるんだ、300年前から変死体が

出たって言われてるがまだ何かがいるんだって

何言ってんだ俺は」

 独り言を呟く軍人を眺めていると急に上を向く。

「お前!!」

「やば……殺る――」

「ちょっと待ってろ、すぐ下ろしてやるからな、

動くなよ」

 殺そうと拳を握ると何を勘違いしたのか軍人が

助けようと壁をよじ登ってくる。

「痛……落ちちまったが心配すんな、必ず助ける」

 5分後……

「痣だらけだと思うだろ、これはカモフラージュに使えるんだぜ、まぁ見えてないかもだけどな、

後少しで家に帰れるからな」

 

 何だろう……何か心が痛い。

 一応足が天井ににひっついてるだけで服も髪も

ずり落ちてるよ、ヒュドラは顎にひっかけて乗せてるし。

 でも普通に考えてただのガキをここまで助けようとするか?


 良心の呵責と戦っていると軍人の後ろに狼達が

群がり始める。

「あ、狼ども、失せろ……あっち行け、頼む……俺は殺しは嫌いなんだ」

 狼に説得を試みるが通じるはずもなく、狼が

近づき後ろにはスライムが群がり始める。

ガルルルル

「おい嬢ちゃん、俺が灯りをつけるからよ、うまく逃げろよ」

 済みきった顔で手流弾のピンを抜こうとする軍人を見て、我慢できなくなった少年は天井から

飛び降りる。

グシャア

バキィ

ドグシャァ

 飛び降り様に狼の頭を砕き、引きちぎり、蹴り

飛ばす少年を見て軍人は酷く混乱していた。

「え……何が……は?」

「あんたに自殺されても僕は嬉しくない、それに

周りを明るくしたとして普通のガキじゃ1人で

逃げられないよ」

「ま……まぁそうだな、えっと……捕まってた訳じゃ無いんだな、良かった良かった」

「それとさっきはごめん、いつ大丈夫か言おうと

思ったんだけど……ほら……あんたの熱量に負けて

言い出せなかったんだ」

「良いんだよ、お前に怪我は無かったんだろ、なら万々歳だ」

 謝罪をするが、すんなり受け入れる軍人に驚いているとナイフを1本渡される。

「取りあえず一緒に出ようぜ、これはやるよ、

使うときがあれば迷わず使えよ」

「あぁ……ありがとう」

 笑顔でナイフを渡すと軍人が先導を始める。

「気をつけろよ、ここにいるのは動物だけじゃねぇ」


 そりゃ防弾チョッキを着た軍人風の奴がうろついているんだ、普通の洞窟なはずが無い。


「ここには滅んだはずの戦争犯罪者がいる、そして入った奴を狩る奴がいるっていう……噂だ」


 もしかして遺跡で骨になってた奴らはそいつに殺られたのか、いや……不確かな情報を鵜呑みにするな。

 色々な確率を考えろ、まずはこの軍人が狂ってる可能性だ。

 極限状態の人間は幻覚を見たり幻聴を聞いたり

する事があるらしい。



 悪い方に考え続けていると目の前に岩で作った

バリケードが見える。

「ここの通り方は隙間を縫うように……縫うよう……腹がつっかえちまった」

ガラガラガラ

 つっかえた腹を抜くと岩のバリケードが崩れる。

「壊れた……ね」

「あ……まぁ作れば良いさ、取りあえず中で休んで

てくれ」

「バリケードがあるんなら警戒すべき何かがいるんでしょ、くつろぐんならバリケードを作ってからだ」

「お前……戦争孤児か? 警戒するにしても色々知ってんな」

 軍人の質問に少し戸惑う。


 ここで異世界から来ました~なんて言うとヤバい奴だと思われて殺されるかも。

 こんな時に足引っ張るのは気が滅入った奴だからな~。


「まぁ……そうだよ、戦場から逃げて点々としてる

うちにここに着いたんだ」

「そうか……すまないな、辛いこと思い出させて……」


 ………………心が痛い!! 何? 嘘をつくと雰囲気が重くなる空間は。

 多分こいつめっちゃ良い奴だよ、嘘つくのが心苦しいよ~。


 心を痛めながらバリケードを建て直す。

「お前……凄いな、人くらいの岩をぽんぽんと……

まぁ助かったから良いけどよ」

「あぁ……」

「バリケードも出来た事だし、くつろぐか」

「うん」

 軍人が壁にかかっている木の板をどかすと、電球が吊るされ、壁側に武器が入っているであろう木箱、そして机に色々なものが置かれた部屋が

見える。

「ちょっと待ってな、板を戻したら電気つけるからな」

 板を戻すとゴーグルを外し、電球にあるスイッチを手探りで入れる。

「小さい割に以外と明るいだろ、取りあえず

自己紹介するよ、俺はジョンだ、よろしく」

「僕は……ジンだ、よろし――」

「おぉ、お前名前が似てるのか、よろしくブラザー」

「よろしく……ブラザー」

 テンションの高いジョンに若干引いていると、ジョンが何かを取りに机へ向かう。

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