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サポート妖精の保身術  作者: 鮭茶丸
第1章【チュートリアルは簡潔に】
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第2話『チュートリアルその②2回目の召喚』

 風が吹き荒れ、真剣な瞳で魔方陣を凝視するノエルらの髪を揺らす。


「マスター‼来ます‼」


 召喚された者としての本能か、何かを感じ取ったノエルがそう声を上げた瞬間、魔方陣から溢れ出ていた淡い光が激しさを増した。その光にやられた二人が目を瞑った瞬間、バリンッと何かが割れるような音と共に、何者かの影が魔方陣の上に現れた。

 

「め、眼があぁ‼マスターこんなに光るなら事前に教えてくださいよ‼」


(こんな光るなんて聞いてぇねよゴラ‼ゲームでもこんな演出なかったぞ‼)


「ごめん、ノエルなら知ってると思って・・・」


「うぐ、わ、私にも知らない事はありますから・・・。それより何が来ましたか!?」


 ばつの悪そうにそう答えながら、ノエルは話を変えようと主にそう尋ねる。


「い、いや、僕もちょっと目がやられてて」


「貴方これ2回目の召喚なのでしょう‼なんでやられちゃってんですか‼」


「いや、忘れてて・・・」


 2人して光にやられた目を擦りながら、ぼやけた視界ながら、急いで魔方陣へと目を向ける。そこに居たのは、


「・・・カエル?」


「カエル、ですね・・・」


「・・・ゲゴッ」


 緑色の粘液質な肌に、大きな口、水かきのついた手と、発達した強靭な脚を持つ30cm程のカエルが不思議そうに周囲をきょろきょろと見渡していた。


(・・・いやいやいやいや、カエルなんて知らねぇよ‼ゲームでも確かにいたけど、マップ上にいる無害な野生動物的な立ち位置だったし、進化先はボスモンスターで基本討伐安定だから仲間にしたこともねぇ‼)


 ノエルは『AbyssGate』のプレイヤーの一人というだけであり、別段全ての情報を知っている訳ではない。そのため、自身のプレイングに関係のない情報には疎い。特にゲーム時代ノエルは水辺を戦場とするユニットを運用するのが大の苦手であり、両生や魚人などのユニットの事はてんで知らなかった。


(ダンジョンマスターの召喚ってんで、知らねぇ奴が来るのは覚悟していたが、初手で来るか普通!?)


 嫌な汗が噴き出るのを感じながら、必死にそのユニットの情報を記憶から探る。しかし、どれだけ頭を捻ろうとも、思い出すことができず、頭を抱え途方に暮れるしかない。


 そんな風にノエルが頭を抱えている横で、彼は召喚されたカエルへと近づき、しゃがみ込みむとそれと目線を合わせる。いきなり近づいてきた、大型の生物に驚いたのか、少し後ずさりをするカエルに対し、彼はそっと手を差し出した。


「ゲゴッ?」


「初めまして、僕は君の召喚したものだ。これからよろしく」


「・・・ゲゴッ」


 彼のその言葉にカエルは、少し悩む素振りを見せながらも、敵意が無いのが伝わったのか、彼の手に自分の手を重ねた。それを見た彼は、笑顔でその手を優しく握り上下に軽く振ると、ノエルの方を向き直り、彼女を呼ぶ。

 

「ノエルも挨拶しなきゃ」


「え、あ、はい‼」


 ゲーム時代のわずかな記憶から、カエルの運用方法を考えていた、ノエルはその言葉ではっと我に返り彼らの元へと飛んでいき、カエルの数センチ上空で止まり、その姿を改めて観察し、身を震わす。


(自分と同じサイズのカエルってなかなか怖いもんだな・・・)


 その姿に若干の生理的嫌悪感を抱きながらも、ノエルは相手の印象を悪くしないようにと笑顔でカエルへと話しかけた。


「初めまして、私はノエルと言います。同じ召喚物同士仲良くしましょうね!」


 随分と作り慣れ始めた微笑みでそう挨拶をした彼女に対し、カエルはガパリとその大きな口を開けた。


「・・・え?」


 瞬間、ノエルは伸びてきた舌に絡め取られ、頭からその口の中へと放り込まれる。瞬間的に目の前が、真っ暗で粘液まみれの場所に変わったノエルは、パニックを起こしたように暴れまわりながら、足だけがカエルの口から飛び出た状態で、声にならない悲鳴を上げた。


「〇※%◎#×$▼%×!?!?!?!??!?!?」


(し、死ぬ!!!!HPが!!!!HPが減って!!!!!!!!!)


「モゴモゴ・・・」


「ノエルぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!!」


 口の中で徐々に衰弱していくノエル。何食わぬ顔で咀嚼を続けるカエル。それを見て、彼女の足を引っ張りながら叫ぶ主。このカオスな状況は、痺れを切らした彼が、怒りに任せてカエルの脳天を殴りつけるまで続いた。

 





 数分後全身ベタベタになりながら、ノエルは放心状態で救助され、正気を取り戻した時には、彼にこっぴどく叱られたのだろうカエルが、彼女の前で少し申し訳なさげにうつむいていた。


 彼は上半身の服を脱ぎ、それで全身唾液まみれのノエルの体を拭く。ノエルは死んだ目つきでそれを受け入れ、目の前のカエルを睨みつけた。


「こいつ殺しましょう」


 そんなノエルの殺意のこもった呟きに、カエルの体がビクリと跳ねる。その様子を見て、慌てた主は彼らの前に立ち、ノエルを諫める。


「待って‼少し落ち着いて‼」


「止めないでください‼HP減ってんですよ‼なけなしのHPが‼今ので‼こちとら死にかけてんですよ‼」


 カエルはそのノエルの叫びに対し、申し訳なさげに頭を下げる。


「ゲゴォ・・・」


 その様子は先ほどまでの野性的な雰囲気は消え、どこか知性を感じる出で立ちであった。その姿に、(こいつ考える頭ある癖して仲間丸吞みにしやがったのかよ‼)とさらなる怒りがこみ上がってくる。


(動物的な反応って言うならまだ許せたが・・・こいつぅ‼)


「ほ、ほらガマ吉も反省してるし‼それに今は喧嘩してる場合じゃないから‼」


「う、それもそうですが・・・っていつの間にそいつに名前なんて付けたんですか‼」


「さっき君が丸吞みにされてる時って、そうじゃなくて、ほら‼ガマ吉のステータス確認しよ?彼がどういう子なのか~教えてほしいな~」


(なんだその口調。正面にいる癖に、わざわざ横向いてちらちらとこっち見てんじゃねぇよ腹立つな)


 子供をあやすような、もしくは煽るような態度に、イラつきながらも冷静さを取り戻したノエルは、一つ大きく深呼吸をし、顔を上げた。


「・・・まぁいいでしょう。許しはしませんが、時間は限られていまから、さっさとステータスの確認していきましょうか。」


「よし‼ガマ吉‼」


「ゲゴッ‼」


 彼の言葉に返事をするようにそう答えたカエル、ガマ吉は、自身の前にステータス画面を表示させた。


「・・・ガマ吉小さいから画面が見にくいね」


「マスターのメンバー一覧から確認しましょう。追加されているはずです」


 地面に伏せ、それを確認しようとする主に対し、ノエルはそういうと、ガマ吉の頭をポンと叩き、ステータスを閉じるように促す。


「・・・ゲゴォ」


 彼は床に座り、膝の上にガマ吉とノエルを乗せ改めて、自身のステータスから、ガマ吉のステータス欄を開き二人に見せる。



名前:ガマ吉

種族:フロッグ

LV:1

RANK:1

属性:▼両生 (中立)

   〈水中行動:LV——〉〈粘液肌:LV——〉


HP:7

MP:3


筋力:3

耐久:3

器用:5

敏捷:2

魔力:2

精神:2

魅力:1

知力:2

【スキル】

〈跳躍:LV1〉〈〉〈〉



「筋力は、3か・・・」


「まだ一回目です。気を落とさず。」


「ゲゴォ・・・」


「あ、別にガマ吉が悪いとかそいういう事じゃないから‼」


「まぁ器用が高いので、遠距離武器を持たせるか、アイテム作成係にとすると輝きそうですね。それに〈跳躍〉ですか。クールタイムがある代わりにMP消費しない移動スキル。これがあるなら敏捷低くても問題は無いです。あと、〈粘液肌〉もいいですね。物理ダメージと魔法ダメージどちらも軽減してくれます。」


(〈粘液肌〉両生の属性スキルだったんだな。知らんかった。それにフリーのスキル枠が二つあるのもおいしい。基本は初期で2つはスキルを持っているもんだからな)

 

 ステータスを確認しながらブツブツと、ガマ吉の情報を精査していくノエル。それを聞きながら、彼とガマ吉は必死で理解しようとするが、半分近くは理解できずぽかんと口を開けている。そんな二人に目もくれずに、ノエルは納得したようにうなずき、主の方を見上げた


「器用が高く、筋力も多少ある。建築と作成、〈粘液肌〉のダメージ軽減のおかげてある程度盾性能も有り。悔しいですけど結構優秀ですねこいつ」


「ゲェゴォ♪」


「調子乗ってるとすり身にしますよ」


「ゴッ‼」


 優秀という言葉に歓喜の声を上げるガマ吉を睨みながら、ドスの効いた声でそう恫喝したノエルは、ガマ吉から離れるようにひらひら彼の目線まで飛翔する。


「・・・つまり、ガマ吉はものづくりが得意ってことなのかな?」


「大体はその認識で合ってます。ただ、スキル構成によっていろんな使い道があるので、どういう役割を任せるかは、もう少し召喚してから決めましょう」


「わかった。じゃ、次の召喚にいこう」


 彼は返事を返し、ガマ吉を地面に置き立ち上がる。それに合わせるように、ノエルも飛び上がり、彼の肩の横を浮遊する。


「それと、マスター?今MPっていくつですか?」


「え、えーと、2だね。」


「では、空いてるスキル枠で〈MP増加〉を取得してください。そうするとMPの最大値と現在値が1増えますので次の召喚を行っても気絶せずに済みます」


「・・・確か、スキルってしっかりと考えて決めるものって言ってなかった?そんな場当たり的で大丈夫?」


「考えに考え抜いた結果です」


(〈MP増加〉はスキル説明には、MPの最大値を上げるとしか書いていないが、実際は現在値も上げてくれる良スキル。本当は、スキルレベルを上げるためにも召喚する前にとっておくべきなんだが、ダンジョンマスターだとな。ユニットによっては、特定のスキルが無いと言う事を聞かないとかもあるからな・・・)


 ノエルと彼だけであった時に、そういった言う事を聞かないものが召喚された場合、お互いに攻撃手段が無く対処ができなかった。だが、ガマ吉が召喚され、ユニットが3体となったこと。また、そのガマ吉がある程度の白兵戦闘適性があったことから、ノエルは主に〈MP増加〉を取らせる決断をした。


 ノエルの真剣な表情に確かな自信があることを感じた彼は、自身のステータス画面から、スキルを選択し、〈MP増加〉を取得する。すると、「2/5」とあった彼のMPが「3/6」に変化する。


「これでいい?」


「はい、では、2回目の召喚と行きましょうか」


「ゲゴ‼」


 短いですが切りが良いので今日はここまでです。

 やっと仲間が増えました。いや、本当はもう少し書きたかったのですが、ガマ吉だけでもそれなりに長くなってしまったので、これ以上やると凄まじい文章量を一話に詰め込むことになりそうだったと、少し言い訳を。

 次回には仲間もそろい、洞窟の外へと飛び出していけるはずです。

 ノエルたちの冒険はこれからだ‼


名前:ノエル

種族:レッサーイビルフェアリー

属性:▼邪悪 (悪)

  〈迫害対象:LV——〉〈善属性特攻:LV——〉

LV:1

RANK:1


HP:1/3

MP:10/10


筋力:1

耐久:1

器用:3

敏捷:2(+1)

魔力:4

精神:2

魅力:4

知力:4

【スキル】

〈飛翔:LV1〉〈妖精魔法:LV1〉

〈〉



種族:人族

LV:1

RANK:1

属性:▼人類 (中立)

   〈進化不可:LV——〉〈英雄の卵:LV——〉

タイプ:ダンジョンマスター


HP:5/5

MP:3/6


筋力:2

耐久:2

器用:3

敏捷:2

魔力:2

精神:3

魅力:2

知力:4

【スキル】

〈召喚魔法『ダンジョンマスター』:LV1〉〈ダンジョンクリエイト:LV1〉〈MP増加:LV1〉


・スキル解説

〈MP増加〉…MPの最大値に+(LV)する。



名前:ガマ吉

種族:フロッグ

LV:1

RANK:1

属性:▼両性 (中立)

   〈水中行動:LV——〉〈粘液肌:LV——〉


HP:7/7

MP:3/3


筋力:3

耐久:3

器用:5

敏捷:2

魔力:2

精神:2

魅力:1

知力:2

【スキル】

〈跳躍:LV1〉〈〉〈〉


スキル解説

・〈跳躍〉…自身の現在地点から、(LV)m先のまで移動する。このスキルはそのユニットの視界が通っていなければ使用できない。

・〈水中行動〉…水中でのペナルティを無効化する。

・〈粘液肌〉…自身が受ける、物理攻撃のダメージを-1、魔法ダメージを-(RANK)する。また、〈●●生成〉のスキルを取得した場合、このユニットに攻撃した対象も、効果の対象するとができる。

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― 新着の感想 ―
[一言] 他作品でも読める誤字は放置されたりするけど流石に、 「伸びてきたノエルは伸びてきた下に絡み取られ、頭からその口の中へと放り込まれる。」 はスタイリッシュ直訳を連想する文章だと思うの
[一言] 丸呑みの放心状態とは、見た目が事後であった
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