キューブ、美女となる。迫られるはムーさん!
「なんつー 自己中な存在なんだ!キューブは!!!」
あまりの結末?にムーは嘆息した。
なんでわしが 再び 神のような役割をせにゃならんのだ!!
「あら、神として生きるかどうかを決めるのは あなた自身よ」
突然 わしの横に姿を現した美女
「だ だ だれだおまえ?」
「あら わからない?」
嫣然と微笑む美女。
「も もしかして キューブか?」
「ピンポーン♬」
少女のように輝く笑みを浮かべた、彼女。
「私が あなたにお願いしたのは、調整者としての役割だけ。
私は いろいろなものを生み出す力をもって作り出された存在だけど
そこで暮らす者達の生き方は決めることができない
まして 好き勝手生きるもの達が 星を壊すことを
世界を再び私を生み出した世界のように混乱させることをとどめることもできない。
そもそも 何かを支配することは 私の責任でもないし、私ののぞむことでもない」
女は 大真面目に言った。
「だが わしも もはや 力をふるって 人を産みだしたり 文明を壊したり
とにかく 力をふるって 人間をコントロールすることに疲れたよ。
あやつらは どういう形態で送り出そうとも 結局 争ったり いがみあったり
負の感情を募らせて ものごとをめちゃくちゃにしてしまう。
かといって 単調な世界は 見ていて面白くない」
「あーたねぇ、人の生きざまを見て面白がろうッて発想がよくないのよ!」
ピシりと美女が言い放った。
「だから 寝ておったのに 起こしたお前がそれを言うか?」
「あんたが 勝手に目覚めて 起き出して 手を出してきたんでしょうが!!」
柳眉を逆立てる柳腰の彼女
よくもまあ 外見をころころかえるなぁ・・
そんな 内心の思いに呼応して彼女が言った。
「どうやら それが あなたの力のようね
あなたの心の中の思いが 現実に反映してしまう力」
「そうなのか?」わしは いささか いぶかしく思った。
「あんた気づいてなかったの?」
「ああ」
しばし思いを巡らす。
ここでの会話・キューブと出会う前のできごと・・・
「うーん 言われれば そんな気もする
が しかし・・」
「そういうことにしときなさい!」
逡巡する思いを断ち切るように 彼女がピシりと言い放った。
「何のために? 俺にどういうメリットがある」
「ふふ」彼女は いたずらっ子のように笑った。
「知ーらない。
説明するの面倒」
「あのなぁ」
「うーん あなたは 物事を調整するのは得意そうじゃない。
あんたの介入は 只のお節介で、介入された者にとって不満とストレスしか与えないけど」
「えっ そうなのか?」
「気づいてなかったの?」
「あー もしかして お前が 俺にすべてを丸投げしたのは・・」
「すべてじゃないわよ。 バランスをとることだけ。
私の世界に 何かを生み出すのは私だけ
私の世界には だれも介入させない
でも 私は あなたに 生まれ出る者たちの数の調整だけをお願いしたいの。
生き物って 数が増えすぎるとやっかいじゃない。
エサ不足に陥り 空腹でイライラして争い始めるし
他者を捕食して根絶やしにするし
たとえ飽食していても 今度は数の暴力で好き勝手はじめたり。
だから 生き物の数が増えすぎたら 出生数を抑えてほしいのよ。
あるいは 集団暴走しそうな気配が見えたら とりあえず出生数を抑えて個体数を減らす方向でよろしく。
逆になんか 足りなさそうだ、と思ったら 私に報告してほしいわけ
そしたら その時点で なんか新しい生き物なり 世界なりを作るから。
でも 産みだしたモノの管理はしない。 私には無理
それに 無限に むやみに なんか新しいモノを作り出すのもいや
そのへんは てきとーに、私のやる気次第ね」
真面目な顔の彼女の言い分に 啞然とした。
「よく言えば 役割分担」微笑むキューブ
「つまり わしは 発生数や発生の時期をコントロールし
君が 産みだす、もしくは産みだすものを決めるってわけか?」
「そうそう。
で 殺したり 壊す権利はないわよ、あなたには」
「ということは 君には?」
「あら 私にできることと言えば 失敗作を異次元に放り込んで新しい次元でやりなおすことよ」
「それだけは やめてくれ
全世界が崩壊する!」
「らしいわね。
だったら 私の世界を支配するのではなく、
私の作った世界の調整役を頑張って頂戴
出ないと ムーさん あなたごと ビックバンでぶっ飛ばすから」
突然 女がすごんだ。
心底 ぞくり とした。
やっぱり女は怖い。
というか 性別には関係なく こいつには勝てん!と思った。
俺とまったく 異なる感性・思考をもつからこそ
俺様ルールでの勝敗が付かない存在
そして 純粋な力量で言えば こいつの方が圧倒的に強い。
そうか それが 異性の恐ろしさというやつか・・
姑息にだまして・いじめて、相手の力をじわじわをそぐか?
いや おれは そういうのは好かん。
無視するか?
いやもう 目の前にいるし
なだめすかして 取り入って 媚びて ホイホイして 俺の思惑で引きずり倒すか?
それはできるかもしれんが めんどくさい。
その手のことはもう飽きた。
そうか、互いの存在を認め合って 協力?協調路線で歩むしかないのだな。
はぁ これが 男女の友情・夫婦の望ましきありかたってやつか・・・
いや 肉体融合しなければ夫婦じゃないし
だったら ただの友情・パートナーでいいか・・・
「肉体融合って あーたねぇ」
絶句する彼女
「いや 人間どもの場合は・・」
「あーだから 人間は いつも未熟なまま 愚かな路線に突っ走るわけね。
まずは ちゃんとしたパートナーシップを確立しないうちに融合を目指すから
破壊と混乱しか生み出さないのよ」
妙に納得した面持ちの彼女
「いや 人の一生は短い」
「それ言い訳ね。」と彼女
「少なくとも 私たちの場合は 悠久の時間があるし
強引に一方が迫れば力での全面対決、殺し合いよ。
双方合意の上での融合なら その時には 何が生み出されるか不明よ。
一言で言えば 私は 今は 融合なんて望んでません!!!!!!!」
「あ 俺たちはまだ 出会ったばかりだし。
俺たちは 人間じゃないから
ていうか たとえが拙速・稚拙すぎてすまん。
それと わしは君とは全面対決はのぞまん!
わしらが争えば わしらの勝敗・意志とは関係なく周囲を巻き込み 世界が壊れる。
それは わしの望むところではない。
それに負けたくないが 君を殺すのも嫌だ。
しかも 現状 おぬしの方がわしより強い。
だから 協力する。」
バチンと 俺の頬がなった。
「ひっぱたくやつがあるか!」
「失礼なことを言うからよ! 無礼千万
もーやだ! 」
やばい! 世界がひび割れる代わりに わしの心(力)にひびが入った。
とりあえず わしらの争いが世界に波及することは防いだが・・・
ムーは あきらめて 白旗の代わりに白いハンカチを振った。
「わかりました。降参です。
あー 君の気持ちを考えず 好き放題にふるまい 放言したことを謝ります。」
不機嫌な顔の彼女
「それで お詫びに とりあえず あなた様のご依頼をお受けしたいと思います」
「あっ そうよろしく」
氷の女王様のおかげで 俺たち二人の居場所の室温が氷点下までさがった。
やばい 凍り付きそうだ。
「とりあえず あなたの望みをかなえるために、あなたの力や思いが周囲に影響を及ぼさないルームを作りました」
そして不本意そうに彼女は言った。
「せっかく あなたが退屈しない遊び場を用意してあげたのに 人の気も知らないで!」
「はぁ~ なんだそれ?」