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究極のおうち=ダンジョン  作者: テラ
イントロ
2/10

開発秘話

 人類、と言ってもどの恒星系のどの惑星上の生物を指すのかはわからないが

「人類」と自称する生物がいた。


さて その人類は飽くことなき探求心により 無限エネルギー発生装置を発明した。

そして その発生装置の制御に失敗して 自分たちの住む惑星を吹っ飛ばしてしまった。


しかし すでに いくつかの銀河系に進出していたので、別の銀河系で新たな文明を築き上げ、ロストテクノロジーを最開発・再発明した。


 今度は前回の轍を踏まぬように、無限エネルギー発生装置の開発実験は

母星とは別の恒星系にある衛星でおこなった。

 前回の惑星大破のときは 人の住む惑星5つを同時に居住不可能にしてしまった反省からである。


 試行錯誤の末に 無限エネルギー発生装置の開発に成功した。

その結果 この無限エネルギー発生装置は、止めることができないということが分かった。


「エネルギーの発生が止まらない、いいじゃないか。使い放題で」


「何バカなこと言ってるんですか?

 使い切れないと恒星系どころか銀河系を丸っと吹っ飛ばすんですよ」


「だったら使い切ればいいじゃないか?」


「無理です!」


と馬鹿な議論を積み重ねたあげく

「そうだ! テラフォーミングしよう!」ということになった。


「テラフォーミング?」


「そうです 生物居住不可能な惑星を地上の楽園にかえるんです。

 資源の宝庫にしたっていい」


「いいね それ」


人類は 夢の惑星改造計画に全精力を注いだ。

 今では 使い切れない量のエネルギーがどんどん湧いてくる

 そのエネルギーで 資源も食料も作り、DNAの改編もして

 やりたい放題の研究成果をぎっしりと詰め込んだキューブを複数作った。


 無限エネルギー発生装置から 無限に生み出されるエネルギーを受け止め 何かに変換させる装置、それがキューブ。

 

とにかくエネルギーが無限に湧いてくるのだから その受容体兼保存タンクであるキューブも次々と作り出さなければいけない。

 そして 受け取ったエネルギーを消費するために、宇宙空間を移動し続け、

 移動だけでは、エネルギーを消費しきれないので、蓄積限界点を超えるまでにどこかの惑星に着陸してテレフォーミングを開始するのだ。


キューブが母星の無限エネルギー発生装置と離れたら、エネルギーを受け取れなくなるのではないかって?

 いえいえ大丈夫。

 どれほど離れようと、キューブは 無限エネルギー発生装置から発信されたエネルギーをきちんと受け取ることができるように設計されている。


 その原理は? それは設計者に聞いてください。

 単なる歴史の語り手にはわかりません。

 もしかしたら キューブに搭載されたデータの中には書かれているのかもしれませんが

 いや書かれているはずですが、読んだところで理解できる人はどれほどいるのでしょうか??



「自分達が住んでいる銀河系爆発を回避したい!」という心からの願いを込めて

人類はキューブ搭載無人探査船を何億、何兆、無量大数、光年のかなたにまでばらまいた。


 その心は? 「キューブが爆発するときは、我らに影響を及ぼさないくらい遠くで爆発してくれ!

 できるだけ長い間、無限発生エネルギーを消費し続けてくれ!」です。



 時は流れた。


エネルギー無限発生装置を持つその世界では、

 ヒトは皆、生存に必要なものはすべて無限に受け取ることができるようになった。


 しかし 人類が生存し続ける為に、ヒトは皆、毎日キューブ制作に協力することが義務となった。



えっ?そんなんベルトコンベアー式に つまり機械的に人が関与することなく作ればいいんじゃないかって?

 いやいや 機械的に同じものを作っているだけでは 消費する分が少ないんです


 もともと無限発生エネルギー装置を求める必要ができたのは、なんでもオートメ化して物を作り

 その結果公害とか資源の浪費とか廃棄物とかが大量発生して

 それを解決するために さらに資源やエネルギーを大量消費して

 何もかもが枯渇していしまったから。


 だからこそ 無尽蔵にエネルギーを発生させて、必要なモノすべてを生産して、廃棄物処理して・・と言う需要を永久に賄いたいという目的で作られたのが エネルギー無限発生装置。


 というわけで 一度に発生するエネルギー量も無限に多く、その生産が無限に続く

 ある意味夢の装置、魔法の装置なんですな。


それゆえ、人間一人一人が 毎日最大限にエネルギーを消費する活動はなにか?と言う研究も進み、出た答えが「創造的な活動=多様な・複雑な活動をランダムに発動すること」こそが、消費エネルギーを最大にする、でありました。


 俗にいう、無駄こそ発明の母ってやつです。


 試行錯誤・総当たりであれこれ試す、その膨大なエネルギーに着目!ってやつです


 つまり試作品を作るのに一番に金がかかる。

  生産が軌道に乗れば、おのずとコストダウンできる ってやつです。



 ゆえに そういう ランダムな多様性・創造的複雑性を持った活動をプログラミングすること それが人類の責務となったのでありました。



しかし 毎日、創造性・創造性・創造性の追求を!と尻を叩かれても、

それが毎日の日課になれば 新鮮味が薄れてマンネリになる。いわゆる創造性疲れですな。

それが人類のサガ。


無制限にエネルギーが使え、そのエネルギーでも資源でも製品でもなんでも使える状況になってくると、子供達の遊びまでもが キューブ生産・開発活動に組み込むことができるようになった。

 というよりも 創造的活動・遊びがそのままキューブ生産という仕事になる世に中になったのだ。


 そのような状況で ある若者が中心となって作り上げたニュータイプのキューブ

それは自意識を持ったキューブであった。


「なにも人間がテレフォーミングの細部をデザインせずとも

 過去のデザイン例を参考に、

 キューブが自分でテラフォームをデザインすればいいじゃないか!」


「そうだ! そうだ! 僕達だって 過去の事例を参考にして組み合わせをかえているだけだったりするもんな。」


「目からうろこ! それでいこう!」


というわけで 自意識をもってテラフォームするキューブが 母星から新たに放出された。


・・


これから始まる物語は、自意識を持つテラフォーミング装置=キューブの物語である。


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