隠れ場所に…
不思議なこと、異界のモノたちは、いつもの日常の隣にいるのです
(本文冒頭に『かくれんぼ』と入れ、本文ラストと段落を修正しました。内容に変更はありません。2024・9/1)
私が小学生の頃。
その日、『かくれんぼ』の隠れ場所にしようと運動場の用具倉庫へ。
倉庫の裏には、休み時間や放課後に倉庫の鍵を借りなくても遊べるよう、古タイヤや買い替えなどで使わなくなった体育用具が置いてあった。
古タイヤの陰に隠れようと行くと、何かが置いてある。
最初は運動会の大玉転がしの古くなったのかと思った。
次に思ったのはソースと青ノリ無し、鰹節だけかかった少しつぶれた巨大なタコ焼き。
変なものがあるけど何やろ?と考える前に、
「アカン!見たらアカン!アレが動いたら終わり!早く!早く!」と本能のような恐怖感が頭の中に激しく鳴り響く。
そっと後退り、見えない位置まで行ってから、泣き叫びそうになる口を押さえ必死に走り、鬼役の子の側を走りながら「ごめん!お腹が痛くなったからアウトにしといて!」と言って、生まれて初めて『かくれんぼ』を棄権した。
―― 今、思い出しても嫌悪感と恐ろしさで涙が出そうになる、あの不気味な姿 ――
―― あの時、逃げ出して本当に良かった……だって ――
―― 古タイヤの上に浮かぶように膝を抱えて丸くうずくまる、立ち上がれば3メートル近くはありそうな裸の男は、 汚い黄土色の粘土みたいな体なのに、乾燥しているのか細かくひび割れ、割れたところから剥離したように、全身の皮膚が捲れ上がり、その皮膚の隙間から黒に近い緑色の肉が見えてしまいそうだったから ――
当時は力も経験も不足な小学生でしたが、放置&逃走が正解でした。(今でも正体不明…)