通勤電車は危険がいっぱい
初エッセイです。なろう新人作家のくだらない日常ですよ。
通勤電車は危険がいっぱいだ。
別に痴漢がどうとか怖いお兄さんに絡まれるとかそういう話ではない。
私にとっては大事件だが、他の人にとっては、どうでもいいことだと思われる。いや、間違いなくどうでもいいだろう。
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さて、今日も今日とて通勤電車に乗った私だが、すぐに違和感に気付く。
近くの男性のスマホの画面に太陽光が反射して、私の左目を的確に刺してくるのだ。
眩しい、めっちゃ眩しい。痛いまである。
仕方がないので、少し身体の角度を変えてみたりするのだが、敵もさる者、私の左目のロックオンは外される気配がない。こちらを一切見ることなく、この手際……この男……ただ者ではない。
だが、私は善良な小市民。組織に狙われる理由などない。となると、この男の目的はなんだ? 私の目を潰してなんの得がある?
わかったぞ! この男、なろう作家もしくはユーザー登録者か?
社畜の私が通勤電車で執筆していることを知って、妨害工作を仕掛けてきたか。
ふふふ、私もビッグになったものだ。
そうとわかれば遠慮など要らない。さっさと車両を移れば済む話だ。
だが、男の口角がわずかに上がったような気がする。単にスマホをみて笑っている可能性もあるが、違う。間違いなく私に対する挑発だ。
ふふっ、逃げるのですか? なんともお可愛いことで。 そんな幻聴が聞こえる。
結局、片目をつぶりながら、最後まで刺客と激闘を繰り広げることになってしまった。ふふっ、私ぐらいになれば、片目でも小説ぐらい書けるのだよ!!
電車を降りてゆく男の背中は、敗北感にまみれているような気がしないでもなかった。
私の精神的完勝である。
だが、この程度で見逃してくれるほど通勤電車は甘くはなかった。
次の刺客は『蛾』だった。
そう、この時期になると虫が飛び交うことになる。
私は虫は好きだが、蛾は嫌いだ。小学校の頃は、蛾がいる道を避けて、遠回りして帰ったほど苦手だ。
だが、世の中上手くいかないもので、私は蛾に好かれている。
クラスでも、職場でも、電車内でも、奴らはピンポイントで私を狙って飛んでくる。
おそらく私のユニークスキル『蛾に愛されし者』が発動しているせいだろう。やれやれだ。
昔の私なら、大騒ぎして逃げ惑う不審者に早変わりするところだが、舐めるな!! 人間は学習するのだ。逃げても無駄だということは理解している。無様に背中をみせることなどない。
とはいえ、私の苦手属性である『蛾』にたいして対抗手段がないのもまた事実。
悔しいが、私に出来ることは祈ることだけ。
つまりは信仰心の戦いとなるのだが、勝算はある。私は神道、仏教はもちろん、ミッション系の学校に通っていたので、キリスト教という聖属性魔法も使用可能だ。たかが蛾にたいしてオーバーキルだとは思うが、それほど嫌いなのだ。許せ。
勝敗のゆくえ? ふふふ、私の完敗だと言っておこう。しくしく。
通勤電車は危険がいっぱいだ。
今日も明日も私は戦い続ける。