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実話怪談「向かいのホームの少女たち」

作者: ローペン

 あらかじめ、前置きいたします。この作品は実際に私が体験した実話怪談ですが、不思議なことは何一つ起きません。

しかし、起きたことのひとつひとつが嫌なリンクをしていて、あの時のことは、個人的に本当に鳥肌が立ちました……。


 もう何年も前の話です。私は電車通勤をしていて、いつも最寄りの無人駅を利用しています。そこはなんの変哲もない無人駅ですが、踏み切りの近くに花がよく供えられています。

おそらく昔に誰かが事故で亡くなったのでしょうけど、どんな事故があって、どんな人が亡くなったのかは、私はまったく知りません。まあ、私は特に気にしていませんでしたが。

幽霊が出るとか、祟りとか、そんな噂はまったくありませんでしたし。私自身も、おかしなものを見たとか、そんな体験もありませんでしたしね。あの日の夕暮れの時以外には……。

あの日の夕暮れ時、私は普段通りに電車から駅に下車しました。そして、その時に向かいのホームでけしからんものを見たのです。それは二人の制服姿の少女。年齢は中学生ぐらい。

それだけなら別に珍しくないですが、その少女たちは、ホームの白線を越えて、点字ブロックの上に腰を下ろし、ベンチのように足をぶらぶらさせながら、何やら会話してました。

何やら楽しそうに。その少女たちは不良っぽいという感じはしませんでしたが、私は明らかにモラルがなっていないと思いました。落ちたらどうするんだ。お前ら死にたいのかと。

注意してやろうかとも思いましたが、相手は向かいのホームです。わざわざ向かいのホームに行くのもどうかと思いましたし、相手はJCです。逆に変質者呼ばわりされる危険性も。

だから、私は悔しさを胸に秘めて、駅を出て、帰宅することにしました……。ここまで読んで、本当に何一つ、不思議なことは起きていないと読者の方もしびれを切らしていますよね。

しかし、この話の後味が悪いのはここからです。帰宅すると、母が嫌なニュースをわざわざ私に伝えてくれたのです。今日の昼間にあの駅の次の駅の踏み切りで起きた嫌なニュースを。


「--電車止まってなかった? 昼間に中学生の女の子が電車に飛び込んで自殺したのよ。見に行ったけど、鉄道の人たち、迷惑そうに死体を回収しててね……。まあ、本当に迷惑でしょうね。電車が止まっちゃうんだから! ドサッと担架に載せてブルーシート被せてたわ……。人間なんて死んだらゴミみたいなものね。でも、「片付け」が終わったのね。電車が動いてて良かったわ!」


私はそれを聞いて鳥肌が立ちました……! 自殺した中学生の女の子にまったく同情していない容赦なき私の母はともかく、昼間に自殺したのが、私が見た向かいのホームの少女たちと同じ「中学生の女の子」という点がすごく嫌な感じがして……。

以上がこの怪談の全てです。全てに因果関係があるとは言いません。ただ、ひとつ思ったことがあります。花が供えられている踏み切りは向かいのホーム側の踏み切りでした。もしかしたら、昔、死んだのは中学生の女の子だったのではと。

まあ、個人的に思ったことです。あくまで個人的に思ったことですが……。ちなみに、私は今でも同じ駅を利用していますが、あの少女たちを私は見ていません。しかし、思うのは、あの少女たちを注意していたら私はどうなっていたのかと……。

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― 新着の感想 ―
[一言]  何だったんでしょうね。ホームに腰を掛けるなんて、普通あり得ないですもんね。  後になってパズルのピースがはまっていく、怪談てそんなものかも知れませんね。
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