バレンタインデー前日譚
お菓子の名前とかよく分からないのでクッキーみたいなやつって言ったら烈火の如く怒られた記憶ならあります
「澄は手作り?」
「何が?」
「出たよ分かってるくせにとぼけないでよ」
しかし今回に関しては本当に心当たりがない。
「もう二月だよ。っていうことは?」
「ああバレンタイン?」
「そう!で後東君には手作りあげるの?」
「どうしようかな」
私は壊滅的に料理ができない訳では無い。だが上手かと聞かれればそうではないと答える。更にいえば悠宇君は日常的に料理をしているのでそういった人にお粗末な手作りチョコなどあげたいとは誰も思わないだろう。
「喜んでくれるよ」
「じゃあさ、琴も一緒に作ろうよ」
「いいね。でもあたしあげる人いない」
「いやいるじゃん」
「へ?どこの誰?」
「矢上君」
「それは無いわ」
「別に本命とかじゃなくて素直にいつもお世話になってるんだからあげればって言ってるの」
「そうゆうことか。それだったらそうしようグッドアイデアだね澄」
正直に言うと私は琴と矢上君には早く付き合えよと何度心の中で言ったか分からない。更に琴は私の恋愛には積極的に手伝って(?)くれたが、自分のこととなると小学生低学年くらいの恋愛脳しか持ち合わせてない。だから私は琴に手伝ってくれた恩を返すために二年生の夏までには二人に引っ付いてもらうように作戦をたてている。悠宇君にも実は協力を要請して了承を頂いている。
「じゃあ明日家においで練習しよう」
「いいの?澄の家久しぶりだな」
「いつも琴の家だもんね」
「何持ってけばいい?」
「そうだなどんなチョコ作りたいかのアイデアと材料を買うお金かなあとエプロンと」
「了解!楽しみになってきたぜ」
悠宇君に渡すのが二の次になってしまっているのが申し訳ないが、クラス中のお前ら早く付き合えよの圧力の隣から解放されるためにも必要な事なのだから。
「どんなチョコにするか決めた?」
「うんなんか色々見たんだけどよく分かんなかった」
「琴らしいね」
「褒められてない」
「褒めてないでもそこがいいところ」
「いやん」
「そんなことより簡単なのでいいよね」
「当たり前じゃん」
「じゃあ材料買いに行こうか」
スーパーまで材料を買いに行った。材料と言っても板チョコ、生クリーム、その他諸々のものだけなのだが。
「溶かして固めるだけで手作りって言っていいのかな?」
「じゃあカカオ豆から作るの?」
「まあそうなんだけどさ」
「大丈夫だよ。生クリームとかバニラエッセンスとか入れるし」
「あと愛情もね」
琴がニヤついて私に言ってくる。
「琴も矢上君に入れてあげなよ」
「あたしは友情を入れるんだよ」
今日はそういうことにしておいてあげよう。
家に帰り練習したが、琴のセンスが良く直ぐにコツをつかみ美味しい生チョコが完成した。私のお母さんからもお墨付きを頂いた。琴もまたお菓子作りが趣味になりそうとまで言っていたので楽しかったようだ。
ヒソヒソ
「見ろよアレで付き合ってないらしいぜ」
「どう見ても付き合ってんだろ」
ヒソヒソ




