冬休み5 クリスマス4
ゴールデンウィーク編より長くなる確定
賑やかなご飯が終わり、デザートのケーキも食べ終わった。
「ほんとに今日は早く帰れてよかったよ」
篤史さんは独り言のように呟いた。
「いつもはもっと遅いんですか?」
「遅いよ遅すぎて嫌になっちゃう。なあ咲ー」
と咲ちゃんを頬擦りして、咲ちゃんもキャッキャッと喜んでいる。
「ねえねえそれでどっちから告白したの?」
単刀直入に聞いてきた。
梓さんは悠宇君は学校での人間関係が全く見えてこないというような事を言っていたので篤史さんもそうなのだろう。
「俺からだよ」
恥ずかしそうに悠宇君は答えた。
「なんで悠宇が答えちゃうんだよ。澄ちゃんから聞きたかったのに」
「なんでてすか」
「そっちのほうが可愛いじゃん」
「もう息子の彼女を口説こうとしないの」
梓さんがいい具合に割り込んできてくれた。
「酔っ払いは早くお風呂に入っちゃいなさい」
「わかったよ。日向、咲一緒にお風呂入ろうか」
「やだよ」「入るー!!」
二人の答えが別れた。日向ちゃんはもう中学生なので思春期の女の子としては当たり前の反応であるが。
「じゃあ咲行こう」
「うん!!」
と二人はお風呂へ向かった。
「澄ちゃんごめんね、あの人酔ってなくてもあんなんだけど、酔うともっと酷くなるから」
「大丈夫ですよ愉快な方ですね」
「そうなの、子供が四人いるみたいだわ」
そして少し落ち着いた時間が流れ、炬燵でテレビを見てゆったりとしていた。
目が覚めた。
「あれ?寝ちゃってたのか」
テレビがついていたのでテレビの時計を見ると午前一時を過ぎていた。
篤史さんと梓さん、日向ちゃん咲ちゃんは見えない。ということは四人は自室で寝ているのだろう。起こしてくれてもいいじゃないか。
「あっ起きた?」
悠宇君の声が聞こえた。
「うんごめんね寝ちゃった。と言うか起こしてよ」
「ごめん。今日は疲れただろうからと思って」
「そっかありがとう。悠宇君は?ずっと起きてたの」
「ううん、俺もさっき起きたとこ」
と言いつつ着替えて髪も少し湿っている。
「みかん食べる?」
剥いていたみかんを差し出された。
「ありがとう」
ひとつ頂く。甘みの強い私好みのみかんだった。
「うち朝とご飯時以外起こさないから気をつけてね」
「肝に銘じます」
「シャワー浴びる?」
「いいよもう帰るから」
「深夜だよダメ」
「でも迷惑じゃない」
「ううん親は泊まってもらうつもりだったみたいだから」
と指を差した方向には『澄ちゃん用』と書かれた袋がありその中には下着とスウェットが入っていた。
「ではお言葉に甘えさせてもらいます」
「うんタオルとか後で出しとくから。シャンプーとかもテキトーに使ってね」
「どこまでもありがとう」
まさかクリスマスの日に他人のしかも彼氏の家でシャワー浴びるなど思ってもみなかった。
お風呂から上がり着替えてまた炬燵の中に入ってゆったりとテレビを見ていた。
「これいつも見てるの?」
「ううん」
「そっか」
夜も遅いため声も小さく単語での会話が途切れ途切れあるだけという時間を過ごしていた。
「澄ちゃん」
「なに?」
「こっち向いて」
「ん?」
私はほとんど働いてない頭で悠宇君の方を向いた。
唇に何かが触れた。そして離れた。一秒ほど経ちようやく頭が追いついた。
キスをされた。私は悠宇君にキスをされた。どんどん心臓が高鳴ってきた。服の上からでもわかる。
悠宇君は炬燵テーブルに突っ伏している。
そして今度ははっきりとした意識の中
「悠宇君」
と彼を呼び、今度は私から。
初めてのキスの味は甘酸っぱいみかんの味がした。
ファーストキスは覚えていますか?




