夏休み2
浴衣って着たことないんだなぁ
二回目の勉強会の日の昼過ぎ。
「終わったー」
と琴が苦手な数学の宿題をみんなの力を借りながらではあるが、一人で終わらせた。
「そういや八月の一日と二日の祭り行く?予定空いてたら行こうよ」
「私は大丈夫だけど部活は大丈夫なの?」
「大丈夫その日は午前だけだし」
「俺もその二日間は休みになってるぜ」
後東君もOKマークを出し大丈夫だそうだ。
「じゃあみんな浴衣ね」
「任せとけ」
「え?私浴衣持ってないかも」
「あたしの貸したげるから大丈夫だって」
「悠宇も持ってるよな」
ウンと頷く。
「じゃあどっちにする?両方行く?」
と琴はノリノリだ。
「二日の日でいいんじゃないか花火もあるし」
「そうだね二日連続はさすがにダレちゃうよ」
「そっかーじゃあ一日は澄と二人っきりで遊ぼ」
「それだったらいいよ」
と八月一日二日の予定がうまった。
私の暮らしているこの街ではお祭りが毎年八月一日二日に曜日関係なく行われる。お祭りといっても丸太ごと崖を下ったり、神輿を担いだまま海に入ったりする訳でもなく、屋台通りの先の広場に櫓がありそこで盆踊りをしているといった地元の祭りと言えばという風なお祭りである。そして二日には花火が上がるので盆踊りの広場が観覧の場となる。なので一日は小学校低学年以下の子連れやお年寄り、二日は中高生の若者がメインになっている。私たちもその中に入っている。
八月一日の正午になる前あたりで琴から家に来いとの連絡が来た。昼ごはんもあるので食べないでいいらしい。
「お邪魔します」
「どうぞ〜澄ちゃん久しぶりね」
「お久しぶりです」
琴の母が出迎えて来た。
「琴の宿題ありがとうね」
「いえいえとんでもないです私の宿題も捗ったので」
「玄関で立ち話もなんだし上がって琴ならリビングにいるから」
「はいお邪魔します」
自分が呼び出しておいて琴はリビングで何をしているのだろうか。
そしてリビングにお邪魔すると、
「じゃーんどう?」
と琴が浴衣で待っていた。
「かわいいじゃんいいね」
「ありがとうってことで今日は澄が明日着ていく浴衣選びとその着付けをしたいと思いますいぇい」
とバラエティ番組の司会者のような言い回しと共に拍手をした。
「琴〜その前にご飯食べましょう」
「わかったー脱ぐから手伝ってー」
毎度感じるがこんな柔らかな雰囲気のお母さんからどのようにして琴が育ったのだろうか。顔は似ているからお父さんの性格に似ているのかもしれない。
といったところで琴の着替えが終わり、食卓に素麺が出てきた。
「ごめんね〜こんなもので〜」
「いえいえありがとうございますいただきます」
と社交辞令のぶつけ合いをしている間に琴はもう食べ始めていた。
昼ごはんを食べ終わり、改めて浴衣選びを再開した。とは言え阪元家はお屋敷という訳では無いので琴が選ばなかった物の二択である。どちらも捨てがたかったが私は水色基調で金魚が泳いでいる方にした。
琴というと黄色基調の何とも彼女らしい浴衣だ。
琴曰く私の選んだ浴衣も「絶対こっちを選ぶ」と思ってたそうだ。
家に帰る前琴が
「後東君どんな反応するかな」
なんてことを言ったから、ドギマギしながら帰路につくこととなってしまった。
そういや異性とお祭りに行ったことないな
ずるいぞ悠宇!!




