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第7話 舌蛞ずり

1週間毎日続きました。嬉しいです。

モンスターを集める意味でもお金を集める意味でも今日はさすがに冒険に出かけないとな....でも俺はまだレベル2、スライムもレベル1で水鉄砲もSPの残量的に一回ぐらいしか打てないだろうしなかなか苦戦を強いられそうだな....しかも結局なんの装備も買えなかったし....ツンデレちゃんが買ってたのもおしゃれ装備だし....


『M蒐』にも、もちろんHPやSPの概念がある。HPは言わずもがなヒットポイントのことで、いわゆる体力だ。これが0以下になるとそのキャラクターは倒されたことになる。SPはスキルポイントのことで、技を使うために必要となる数値のことだ。スライムの場合、体当たりは基本攻撃のため何も必要としないが、水鉄砲はスキルポイントをある程度消費する。レベル1の場合はSPが少ないから水鉄砲が一度しか打てないのだ。レベル1では打てないほどの技を持ったキャラクターもいる。


もちろんモンスターだけでなくこれは人間側にも適用される。NPCが倒されてしまった時、復活できるのかどうかはわからないが、あまり倒れている姿は見たくないのでできる限り仲間のNPCも倒されないようにしていきたい。


ツンデレちゃんの買った防具は機能性というよりも見た目重視なので、そこまで能力が高いわけではない。だから不用意に前線で戦ってもらうわけにはいかないのだ。


まぁしかし、スライムは後々のためにも絶対にレベルを上げるべきなので、スライムに今回は頑張ってもらうとするか。


ツンデレちゃんも合流し、今日はいよいよメリー草原へ出発だ。メリー草原には主に動物系のモンスターがいる。


「ねえ....どうかしら?今日の私の服装は....?」


昨日爆買いした装備一式を着用している。確かにおしゃれだ。ひときわ美しく見える気がしないでもない。でもやっぱりお金の問題が脳裏をよぎる....



「うーん....お金かかってるなぁって感じだな!」


「馬鹿っ....!」


バチン!!!


涙を湛えた目のツンデレちゃんからビンタされて顔が腫れた。少しくらい嫌味を言ったっていいじゃないか、俺のお金だし....と思ったが今回は俺が悪かったな、お母さんのお金だし。最近好感度爆下がり中だろうし、間違っても嫌味なんて吐くもんじゃない。謝ろう。


「ごめん....マテちゃん....」


バチンバチン!


もっと顔が腫れ上がった。マテ茶は体にいいんだぞ....!!


いつも通りの茶番をそつなくこなした後、ようやくメリー草原にたどり着いた。メリー村の近くにあるメリー草原なのだが、どちらが名付けになっているのだろうか。メリー村が近くにあるからメリー草原?それともメリー草原が近くにあるからメリー村?まぁ正直どちらでもいいのだが。


「ねぇ、あんた最近私に嫌われようとしてない?もしかして私と一緒に冒険するの嫌?昨日だって置いていこうとしてたし....」


なんだか勘違いしているようだ。てか情緒不安定すぎるだろう。さっきガチギレしていたように見えたのに今度はなんか感傷的になっているぞ。いつも通りのつまらないボケなのだが....うむ、心が痛むが、これを利用させてもらおう。


「....うん、ごめん、早めに言っておくべきだったね。ここから先は遊びじゃないんだ。やっぱりお前を危険に晒すわけにはいかないと前々から思ってたんだ。お前はついてくるべきじゃない」


よし、これは決まったんじゃないだろうか。ぶっちゃけて言うとツンデレちゃんという回復役がいなかったらかなーりきついだろうから真っ赤な嘘なんだけどね。


「あんたそんなこと考えて....!でも私は行くわ、ショウを救うために僧侶にもなったんだから....!」


うう、なんて優しいんだツンデレちゃん。


「ありがとう....じゃあ、一緒に来てくれるか?」


「...もちろんよ!」


無事(?)仲直りした。好感度は元に戻ったのではないだろうか。今後は極力ボケを控えるようにしようと自分自身に戒めた。ま、好感度なんてパラメータはないんだけどね。


「フィールドに入ってすぐのところはスライムばかり現れるから、そこでレベルを上げることにしよう」


「わかったわ」


スライムも目でわかったというアピールをしていた、と思う。


まあ俺はどうせレベル上がらないし、ツンデレちゃんは回復担当だし、結局スライムに頑張ってもらうのだが。


スライムが出てきた。スライムとスライムが戦っている。スライムの体当たり。スライムはダメージを受けた。スライムの水鉄砲。スライムは避けた。スライムの体当たり。スライムは倒れた。


うーん、なんだかあまり映えない戦闘だな。動きが遅いのに、超スピードの水鉄砲をひらりと避けたところは結構見ごたえがあったが、その後すぐに勝負がついてしまって余韻に浸れなかった。



うちのスライムの完敗だ。



「やっぱり1レベだときついか....」


「どうするのよ、これ」


倒れた自分のモンスターは生き返らない....というわけではなく、復活のポーションで復活できる。今はまだ持ってないのでとりあえずモンスターボックスに入れよう....そう思ってスライムを入れようとした時....


「ショウ....!後ろっ....!」


プルプルプルプル


ペッ


後ろから異音がしたすぐ後に何かが飛んできた。ツンデレちゃんの警告のおかげで俺はすんでのところでそれを躱した。


「ナメナメクジかよ....」


ナメナメクジ。スライムよりちょーっと強いぐらいの立ち位置。体全体が薄い褐色。いつも獲物を食べる際に舐め回すように食べることから命名された。大きさもスライムと同程度。ただ、こいつが吐き出してくる粘液には注意が必要。麻痺効果があり、一定時間体が痺れて動けなくなる。スライム同様に足は遅いので近づくのは容易。


スライムがいない現状、俺とツンデレちゃんで戦うしかないのだが....


「きゃあああああ!ナメクジと戦うなんて嫌よぉぉぉ!!!!」


ツンデレちゃんは戦闘不能のようだ。俺を救うとか言ってたのはなんだったのだろう。こうなっては仕方がない。俺一人で戦うしかないようだ。スライムよりも強い相手だが、勝ち目はある。


ナメナメクジは粘液攻撃にしろ体当たりにしろ技が大振りなのだ。よく攻撃を見極めて間合いを詰めればおそらく大丈夫だろう。


携えていたバッグの中からスライムを倒した時の木の棒を引っ張り出して、いざ尋常に勝負。


プルプルプルプル


この音はナメナメクジが粘液を出そうとしている合図だ...これを躱して一気に詰める...!


ペッ


距離があったので簡単に粘液を避け、一気に距離を詰め....た時に想定していなかった事態が発生する。


ベロン


「うわっ...!?」


ナメナメクジが舐めてきた。うえっ...汚い。物理的なダメージはあまりないが精神的なダメージが大きい。油断した。ゲームではしてこなかった攻撃だが、そりゃナメナメクジなんて名前なんだから舐めてきてもおかしくはない。しかもベトベトしていて動きも遅くなってしまっている....!


ナメナメクジは体当たりを繰り出そうとしている。ま、まずい....このままだと直撃する....!バッグをガサゴソ漁ってあるものを探す。



「間に合え....!」



ナメナメクジの体当たりがショウに直撃....せずに、ナメナメクジの体がみるみるうちに小さく小さくなっていく。そしてその小さくなったナメナメクジが一生懸命ショウに体当たりをしている。


見ているだけでとっても可愛いが、そんなことよりも唾液が不快すぎるのでさっさと木の棒で倒した。


ナメナメクジは倒れ、その場に残存した。捕獲がかなりしやすいので1発で捕獲できてよかった。


ナメナメクジをモンスターボックスに入れた俺はメリー草原を出て村へと帰還するのであった。






「......」


「あれ、これ本当に帰ってもいいの?」


前回は強烈なツッコミがあったのだが、なぜ今回はないんだろうか。さすがに何が怒ったのかはわかったのかな?


「当たり前でしょ....汚すぎるから早くそれを拭き取りなさい....」


あっ。そうだった、今唾液まみれなんだった。家の風呂で一刻も早く落としたい。


俺とツンデレちゃんは一定の距離を保ちながら村へと帰っていった。

蛞蝓ってだけでもあれなのに舐めてくる蛞蝓なんてもっとあれですね。戦闘シーンが相変わらず陳腐すぎる気がするので次からはもうすこし描写とか入れてみます。

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