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第3話 いざ王都へ

タイトル詐欺はもう少しだけ続きますが、作ってて楽しい作品に出来ているので作者はそれだけで満足です()

クローゼットを開けるとミスリル装備一式が入っていた。この世界には、装備として、服、ズボン(女性キャラの場合はスカート)、小手やグローブ、帽子(兜)、そして靴の5個で1セットとなる。普通の家庭のクローゼットにこれが入っていることに違和感しか抱かないし、下に置いてあるほかの服とか潰れてるんじゃないかとか思ったが、まさかまたこの装備と再会できるとは思ってもいなかった。


もちろん嬉しいんだけど、なんというか、こう、モンスターが良かったよね。愛着が全くないってわけじゃないけど、ゲーム終盤でようやく手に入れた逸品だからモンスターと比べると見劣りしちゃうよね、うん。いや決して悪くはないよ?強いし。でもおそらくこれ...まぁいいか、一回試しに着てみようか。



ドスン



「やっぱりな...」


持つのがやっとの重さのミスリルの服を着用した...途端に、音を立てて自分の手前に落ちてしまった。結構な音だったから、クッションを俺の前に置いておかなかったら母親から苦情が来ていただろう。


「はぁ...」


俺は深くため息をついた。なぜ落ちてしまったのか、その理由は明白だ。


この世界にはレベルという概念がもちろんある。手に入れたモンスターなどは敵を倒せば倒すほど経験値がもらえてレベルが上がるのだが、主人公の場合は違う。仲間にしたモンスターの数で経験値がもらえて、それに準じてレベルが上がっていくという形式だ。


そしてもう一つ、この世界の防具には全て、装備するための必要最低限のレベルがある。今俺の家にあるミスリルの防具は、終盤でゲットできるかつ、ミスリルドラゴンが所持している特殊性能の影響で、その必要最低レベルが90とお高めに設定されている。


今の俺はレベル1、いや言ってしまえばまだ冒険者としてはレベル0のひよっこなのでレベル90のにわっとりになるには恐ろしいほどの仲間が必要なのだ。あ、今のはひよことひよっこをかけt...(ry


とーっても面白いボケはさておいて、そんなわけで俺はこのミスリル装備を使える日はずっとずーーっと後になるだろう。


宝の持ち腐れすぎる。なんで引き継いだのがよりによって防具なのだろうか。そしてなぜよりによってこんなに終盤のものなのだろうか。というか普通に考えて防具が引き継がれるなら必要最低レベルの問題はどうにかしておいてくれよ!最強とまでは言わないけど防御面は最強に近いところまで行けたはずなのに!


それに薄々感じてはいたのだが、俺が装備していた武器がないのだ。クローゼットではない所にもしかしたら転がっているのかもしれないが、今のところ自分の部屋には見当たらない。もちろん剣にも扱える最低レベルはあるのだが。


そうこう考えて、絶望の淵に落とされていたが、ハッと思い出した。ツンデレちゃんをめちゃくちゃ待たせてる。これはまずい。一連の流れですっかり忘れていた。早く行かなくては。


とりあえずミスリルの下敷きにされていた服とズボンを着て、トイレを済ませ、歯を磨き、顔を洗い、そしてまた二度寝のために部屋着に着替えてベッドへ...


「遅すぎるだろうがぁ!!いつまで待たせんのよ!!」


「すまんすまん、今すぐ行くから」


窓から顔を出して答えた俺は急いで服を着替えて靴を履いて出かける準備をした。


...そういえば外に出るのも久しぶりだな、、


「あっ、ちょっと待って、念のためにも、これを持ってきなさい、でも人間以外には使っちゃダメよ?」


「母さんありがとう!」


外に出ようとして母親から渡されたものは回復のポーションだった。回復のポーションなどのポーションは人間用とモンスター用で分かれていて、人間用のは丸型フラスコのような容器に入っており、モンスター用は三角フラスコのような容器に入っている。


「行ってきます」


俺は母親にそう言って家を出た。思ったけど職を手に入れるっていう年齢になってもまだ母親と暮らしてるんだな俺は...


「行ってらっしゃーい」


母親はそんな気持ちに気付くはずもなく、元気に子を送り出した。


「...ったく、本当に遅いわね...あれから何分経ったと思ってるのよ...しかもなんなのよそのヨレヨレな服は...」


「しょうがないだろ、クローゼットの下でぺしゃんこになっていたんだから...」


「どうなってんのよあんたのクローゼットの中身は....」


ツンデレちゃんに転移してきたことを言おうか逡巡したが、言っても信じないだろうし意味がないと思いやめた。


「さ、行きましょっ!楽しみだわ〜」


なんかさっきまで怒ってたのが嘘のようにウキウキしているな、もしかしてこれをデートとか思ってるのかな?うわ、もしそうだったらめちゃくちゃ可愛いな、さすがツンデレちゃん。


「あ、あれよ?王都にはいっぱい可愛いお洋服とかがあるから楽しみなだけで別にあんたと歩くのがデートだと思ってるから心踊って楽しみって言ったわけじゃないんだからね!?」


何かに気づいた様子で顔を赤らめてツンデレちゃんが言い放った。


あ、これ本当に怒ってるやつなのかツンデレなのか生でやられるとまじでわからないものなんだな、と切に感じた。


主人公やツンデレちゃんの家があるメリー村から王都までは徒歩でおよそ20分ほどで着く。


かなり王都に近い村なのに意外と時間がかかるが、モンスターがいない現状では徒歩以外の交通手段を持っていないので、仕方ないといえば仕方ないのだが。


これくらいの時間なら俺は平気なのだが、隣で歩いているツンデレちゃんはというと、


「あつーい...もう疲れた〜...!」


まだ歩き始めて5分しか経っていないのに先程の楽しみでウキウキしていた気持ちはどこへ言ってしまったのだろうか。


少し焼けている肌に長い金髪ツインテールがチャームポイントとなっているツンデレちゃんは、いつもに増しておしゃれしている。ヒールなんて履いちゃって、本当に浮かれているなこりゃ。ただそれでも俺よりも身長が小さいのは可愛いな、ゲームでいつも見ているとはいえ隣で歩くとやはり可愛い。現実世界の俺にとっては縁遠い存在だが、この世界はやはり素晴らしいな!!!


村を出て15分ほど経ったところで俺はふと思った、これ道にモンスターとかって出てこないのだろうか?すごい不安しかないのだが。


「この道ってモンスター出るとかないよね?」


「うーん、基本的にあっちの草原がモンスターの住処らしいし、出てこないんじゃないかしら?」


確かにゲームでも最初に王都へ向かう時はモンスターが出てこなかったな。というかさっきまでツンデレちゃんは文句ばっかりだったのに質問したら真面目に答えてくれるのはありがたい。


「そうなんだ、なら良かった」


「これからモンスターを仲間にする職業になるのにそんなんで大丈夫なの?」


「いや...今来たら捕まえることもできないし、無駄に体力使いたくないし...」


実際、王都の豪華絢爛さは俺の目には毒だ。だからたくさん体力を残しておかないと、俺の身に危険が及ぶ。うん、自分で言ってて悲しくなった。


そんなこんなで王都についた。いつもならここの道でスライムの一匹や二匹でてきてもおかしくないので、ゲームのイベントのおかげだろうか。思い返すと、ツンデレちゃんが来るイベントや、回復ポーションを渡されるイベントもゲーム通り起こったので、どうやらイベントは順調に流れているらしい。


「やっと王都についたわね」


「やっとってほどじゃないけどね...」


二人は軽く談笑しつつ、門番に用件を説明して王都の中に入り、職業ギルドへと向かっていった。


「本当にすごい建造物ね〜、将来こんな家に住んでみたいものだわ!」


本当にすごい。すごい目に毒だ。外の明るい光を浴びているせいもあるが、村と違い建物が所狭しと並んでいてすごく窮屈な気持ちになる。いや、窮屈なのは実際には住んでいる人たちなのだが。


さらにそれに追い打ちをかけるかのように人混みがすごい。何だこれは、近所の夏祭りよりもすごい人の量だ。王都は毎日がお祭りかよ。


出来るだけ俯いて歩き、やっと職業ギルドについた。これこそやっとじゃないわよとツンデレちゃんに言われそうだ。


扉を開けると、予想はしていたが人が多かった。王都の中にある最も近い職業ギルドを選んだが、失敗だっただろうか...


「何で嫌そうな目をしているのよ、あんたが一番近い場所がいいって言ったんでしょうが」


ツンデレちゃんには外で待っていてもらった。幸いにも初めて就職する人の受付のところは空いていたため、すぐに自分の番がきた。女性と話すのは久しぶりだが、ツンデレちゃんと話しているように話せば大丈夫...!


「え、えーと、...............!!」


緊張してうまく喋れない。


「えーと...就職受付です、よね?」


あぁ、優しい人で良かった...助かった....


「も、もん...モンスター...!」


モンスターに就職しようとしている主人公なんて前代未聞だ。そもそもそんな職業はない。


「.....もしかしてモンスターテイマーですか?」


「何だこの人は、神か?」


声に出てしまった。何でこれは声に出るんだ。俺の声帯を検査してくれ。異常が見つかるはずだ。


「ははは、面白い冗談を言う方ですね」


さらっと流してくれて助かった。本当に神だ。いや女神様と呼ぶべきだろう。


「では最後にあなたの名前を聞かせていただけますか?」


そうか、名前。ここで名前を決めるイベントがあるんだった。ゲームでは早々にここにたどり着くのだが、色々あったせいで完全に存在を忘れていた。まあここは無難にショウでいいだろうか。いや待て、ちょっとカッコつけてナイトスターとか...!?もしくは地獄の業火(ヘルフレイム)とかも....!?!?....いやここで興奮して決めた名前とか、冷静に考えた時に恥ずかしくなるのは間違いない。うん、ショウにしよう。



「...............!!」


あ、また喋れない。


「なるほど、     さんですね?」



「.......はい?」



「おめでとうございます!今日から     さんはモンスターテイマーです!」


名無しになってしまった。



残念ながら装備でチートにはなれませんでしたね。それと少し書き溜めができました。やったね。

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