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第27話 就寝前のワンシーン

久しぶりの投稿です。これからもこれくらいで投稿できるよう頑張ります。

「再放送かよ....」


湯船に肩までしっかり浸かりながら1人で呟く。治りかけていた両頬の痛みは再発して、お湯がかかるとヒリヒリして痛い。


俺は彼女たちの一糸纏わぬ姿を見てしまった....というわけではなく着替えのシーンに直面してしまった。まさかこんなラッキースケベが起こり得るとは思っていなかったが、気付く要素はあった。台所に母親しかいないのに、お風呂に行く道のりで2人と一切すれ違っていないことだ。しかし、ほんとにびっくりした。まさかあんなものが....


というか、そもそも全然お風呂空いてないじゃないか。まさか母親はこれを予測して嘘をついたのか....?後でしっかり事情聴取をしておこう。


お湯にただただゆっくり浸かるのも心がやすらいでいいものだが、今回は今後する事を考えながら温まることにした。


「とりあえず次は森エリアに向かうか....草原エリアにしか出ないモンスターはほとんど捕まえた気がするし....アイテムは後で回収すればいいよね....」


と言ったところで、草原エリア限定のカメムシの姿が脳裏に浮かび上がる。元はと言えばこいつのせいで俺の頬が腫れ上がっているんだ。そこにいるだけであれほどの悪臭を放つとなると、ゲットしたとはいえ、使う機会は訪れるかどうか....


まあでもカメムシのおかげで2人の着替えシーンを....いや、パーティリーダーとしてメンバーに対してこんな邪な事を考えるのはやめておこう。服越しでも大きかったとか小さかったとか体のアレとか、うん、何も見てない何も見てない。すぐ忘れよう。



「そろそろ出るか....」


その後も色々と思考を巡らせ(大半はどうでもいい事を考えていたが)、風呂を出る。体についた水滴を丁寧に拭き取り、あまり気乗りしないがローブへの着替えも済ませ、脱衣所を出たところで2人が目の前で待っていた。


「ショウ、あんたさっき見た事忘れなさいよね」


「あの、さっき見た事は....きれいさっぱり忘れてください」


「ああ、うん、もちろん」


忘れることはできそうにないが、会話であのことに触れるのはやめた方がよさそうだ。


「それよりさ、明日の事なんだけど....」


「それよりって何よ!?こっちはあんなに恥ずかしい思いをしたのに!?」


「そう、ですよ....!ひどすぎます....!」


また言葉選びに失敗してしまった。悪気はないのだが....


「ご、ごめん、忘れてって言われたからさ....」


「そうは言ったけど....!」


「....もう、いいですよ。それで明日はどうするんですか?」


呆れた表情で言ってくる。かなり心にくる。


「....えーと、明日は、胸....じゃなくて森エリアに行こうと思う」


「どうやったらその二つを間違えるのよ....」


ツンデレちゃんがボソボソとなんか呟いている。


「森エリアは夜になると、暗くて道に迷う危険性が出てくるから、日が落ち始めたらやっている作業を中止してすぐにみんな集まって帰還すること、いいね?」


「はいはいわかってるわよ」


「はい!」


ただの返事になぜか嫌な予感しか覚えない俺だったが、明日森に行くための準備をしなくてはならないのでそそくさと部屋に戻る。


「あ、そういえば懐中電灯ってどこにやった?」


「ああ、あれなら私たちの部屋にあるわよ」


「ん、了解」


まず必須なのは懐中電灯。夜になると木々のせいで月明かりすら届かないため必携。もし夜に持っていなければ足元すらおぼつかないような視界で出口を目指さなければならない。


あとはいくつか倉庫にあったアイテムをポケットにしまい、明日に備える。


森エリアは草原エリアよりもレベルが高いモンスターがわんさか(というほどでは無いが)出現してくるので、気を引き締めていきたい。何よりもボスとして戦うバウムトレントは一筋縄ではいかないだろう。色々と準備をしておかないと....


準備や今後のことを考えながら俺は寝床についた。





「ねえ、起きてる?」


「....起きてますよ」


一方その頃女子部屋では2人が話をしていた。


「....あんたはさ、なんで魔法使いになったのよ」


「急にどうしたんですか....?」


メリッサは真剣そうな話ぶりに少し困惑する。


「別に。なんとなく、ってやつよ」


「....前にも言ったじゃないですか。私には魔法使いの素質があって....」


「そうじゃなくて。素質があっても別にその職に就く必要はないじゃない」


「そ、そうですか....?」


少し俯きながらツンデレちゃんは答える。


「そうよ....別に素質がなくたって職に就いてる人だっているんだし....」


「....」


「その人はね、親が冒険職である僧侶だったから半強制的に僧侶になったの。でもその人にはあまり適性がなかった。だから必死の思いで訓練に訓練を重ねたの。でも当然泣かず飛ばずで、いっつもなんで僧侶なんかにならなきゃいけないんだ、他にもやりたいことがいっぱいいっぱいあるのに、って思ったの」


メリッサは黙って話を聞いている。


「それでも幼馴染の男の子からの励ましに助けられて、頑張って頑張って、努力してきた。そしたらね、回復魔法が撃てるようになったの。私嬉しくて....じゃなかった、その人とっても嬉しかったそうなの。今もとあるパーティのメンバーとして大活躍しているらしいし....だから」


「....だから?」


「もしあなたが落ち込んだり躓いたりようなことがあったとしても、乗り越えて行って欲しいの。素質がない人だって壁を越えられたんだから、素質があるあなたならそんなの簡単に突破できるはずだから」


そう言い終えたあと、少しの沈黙があって、


「....本当に急にどうしちゃったんですか、ツンデレちゃん」


「....わ、悪かったわね!」


「お風呂場の時の私を心配してくれたんですよね?」


「....べ、別にそんなんじゃないわよ!ただ私は....」


先ほどの悲しそうな俯きとは異なる俯き。


「大丈夫ですよ、私は。ただにおいが嫌だっただけですから」


「そ、そう。それなら、よかったわ....」


「ツンデレちゃんのデレの部分が見え隠れしてますよ」


「う、うるさいわ!」


「うるさいなら、私はもう寝ますね」


「....」


寝床に入るメリッサ。無言のままツンデレちゃんも続けて入る。


「おやすみなさい」


「はいはい、おやすみ」


就寝前の挨拶を交わす。そして、



「あと....ありがとうございます」



メリッサのその声はいつも通り臆病そうな声で、でもその中にも嬉しさが含まれているようだった。


「あんただってツンデレじゃない....」


そう呟いて眠りについた。



モチベーションになりますので、ブックマーク等よろしくお願いします!


次は戦闘シーン頑張ります。

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