第24話 悪臭の権化
連日投稿できていて自分でもびっくりです。
「ふぃ」や「ふぇ」などは普通の話し方に戻しています。
臭い。早く勝つ方法を考えなければ。臭い。カメムシで一番厄介なのはもちろんこのにおいだ。臭い。当たらないように近づけば....いやそれも臭いもし連発してきたらやられてしまう臭いかもしれないし何より一撃で臭い倒せなかった時のリスクが臭すぎる....
「あああだめだ!!臭さで思考がまとまらない!!!」
「何よ、急に大声出して」
「ご、ごめんあまりにもにおいがキツくて....それよりクサデレちゃん、何かいい案ない?」
「誰がクサデレよ!!私はツンデレよ!!........ツンデレでもないわよ!!今ふざけてる場合じゃないでしょ!!??」
日本刀のように切れ味の鋭いツッコミがとんでくる。確かに今ふざけている場合ではない。ふざけている時もカメムシは待ってくれない。
ピュッ
言ったそばから俺の方に攻撃が飛んできた。
まずい!俺は咄嗟に避ける。しかし....
「あぁ....!スライム....!だいじょうウ゛ぇっ....ゲホッゲホッ」
攻撃はスライムに当たってしまった。瞬間、とんでもない異臭がスライムを包み込む。周囲にいる俺らにも(におい的に)ダメージだ。
「こ、これは本当に....やば、、いです....」バタッ
メリッサが異臭のあまり気絶してしまう。いよいよマズくなってきた。
「メリッサ!?スライム....戻ってくれ....!」
俺は急いでモンスターボックスにスライムを戻す。
異臭は一旦は治ったが、カメムシを倒さないと根本的な解決にならない。
「大丈夫メリッサ!?しっかりして!?」
ツンデレちゃんは目に涙を浮かべながらメリッサの元へ駆け寄る。ヒールをしようとするが、ただ単に気絶しているだけでダメージはないので効果はない。
「まいったな....これはさすがに一旦引くしかないか....」
俺たちはその場から撤退することにした。モンスターをボックスに戻し、メリッサを担いでその場から離れた。
「でも、やっぱり悔しいわ....!あんなやつ相手に逃げなきゃいけないなんて....!」
「まあまあ、、落ち着いて....」
「でも....!」
俺とツンデレちゃんが話していると、メリッサが気絶状態から回復したようだ。とりあえずは良かった。ツンデレちゃんもホッと一安心しているようだ。
「メリッサは起きたとこすぐで悪いんだけど、作戦会議を開こうと思う。何か意見がある人は言って欲しい」
「はいはいはーい」
「はいツンデレちゃん」
「やっぱりヒマワリに火の魔法を撃ってもらうしかないんじゃないかしら。一発でも当たれば一気に攻めていけるだろうし」
確かにヒマワリマンの火の魔法は強力だ。が、しかし。
「俺たちは人間だからにおいも何とか我慢して理性的に行動できるけど、モンスターは身の危険を感じたら本能的にその場から離れようとしちゃうと思うんだよね。だからその作戦は厳しそうかな....」
事実としてモンスターたちは揃って後ろに引いていた。
「ああそうなのね。モンスターたちは自由に使いっぱしれるもんだと思ってたわ」
なんだか怖い発言をしているぞこの人....モンスターも頑張って戦っているので使いっぱしるのはやめていただきたい。
「そ、それにしても本当に....すごいにおいでしたね....」
ナイスな話題変更だ、メリッサ。
「そうだね、、においでバリアを張られてるみたいだよ、何とかあの守り(?)を突破しないと....」
「えと、そうですね。あの、広い平原だから良かったですけど、もし密閉空間だったら....か、考えるだけで恐ろしいです、、」
「鼻の機能が失われちゃうわね、、」
密閉空間であれを浴びせられたら、鼻がひん曲がるほどのにおいに悶えながら永遠の眠りにつくことになるだろう。そんな大喜利みたいな最期だけは嫌だ。
いや待てよ....
「それ、使えるかもしれない」
「....はい?いや、えと、な、なんの話です....?」
言った当人はもちろん気づいてないようだがナイスアイディアだ。
「今から2人に作戦を話すね。臭くなりたくないならちゃんと聞いておいて」
「も、もちろんです....!」「わかったわ!」
◯
「よし、行くぞ!」
「「おー!」」
作戦を話した後少しして俺たちはもう一度カメムシのところへと赴く。今度は倒すために。
「えいっ!」 「くさい!」 「てやっ!」 「きゃぁぁぁああ!」
さっそく作戦の通りツンデレちゃんに石を投げてもらい、狙いをそちらに向けてもらう。これぞ悲鳴とも呼ぶべき悲鳴が草原中を木霊する。
そんなツンデレちゃんを尻目に俺とメリッサは準備をしていた。
俺はナメナメクジを出し、チャンスを待つ。臭さは相変わらずだがここだけは我慢だ....メリッサはシャドウ詠唱をし出す。
「漆黒の王よ....イカ墨スパゲティよ....女性アイドルの裏側よ....」
なんだこのふざけているかのようなシャドウの詠唱は。2番目はまあ黒いとしても、最後なんて腹黒いだけじゃないか。
「きゃああああ!!早くしてぇえええ!」
ツンデレちゃんは悲鳴を上げながら逃げつつ、カメムシを挟んで俺たちと向かい合う位置まで来る。これなら急に俺たちの方に向けて攻撃をしてくることはないだろう。
「今だ....!」
「大黒柱よ....シャドウ!」
最後に名前に黒が入ってるだけで黒要素がほとんど見受けられない単語を言ってシャドウを撃つ。
それとほぼ同時にナメナメクジも麻痺粘液を出す。この後、ナメナメクジには同じ場所にSPの許す限り撃ち続けてもらう。
攻撃に気づいたカメムシはこちらに攻撃をしかけようとするが、間に合わない。シャドウがかかり、その後粘液が飛んでいく。
俺はそれに合わせてカメムシに近づく。シャドウがあるため向こうからこちらの姿は見えないし、こちらからカメムシの姿も見えない。しかし、
「こっちはにおいの元を辿ればいいだけだ....!」
こちらは悪臭の源を探るだけでカメムシを発見できるのだ。もちろん容易に探し当てられるわけではないが、こうでもしないと向こうからの攻撃ですぐに体中が臭くなってしまう。
俺はシャドウの中に飛び込み、鼻をくんくんと嗅いで、どこから来ているものなのかを必死で探る。シュールストレミングもびっくりの臭さだが、今はそれを嘆いている場合ではない。
「シャドウ、もうすぐ切れます....!」
ツンデレちゃんの声を聞き、焦る。このシャドウが消えると次のシャドウを展開するまでには時間がかかるため俺が真っ先に狙われる。
血眼になってにおいの元を探していると、ピリピリと痺れている緑色のものを見つけた。あいつだ。シャドウの展開中かつ麻痺で痺れている間にことを済ませないと面倒なことになっていたのでよかった。
俺はすぐにポケットからあるものを取り出した。
「よし、これで....!」
勝ちを確信した俺はシャドウの外へと引く。
「大丈夫だった?ツンデレちゃん」
「え、えぇ....何とかね、、ほんと、臭いのはもうごめんだわ....」
シャドウが晴れて、カメムシはまた攻撃を再開する。しかしそれはもう俺たちには届かない。
そして何回か攻撃を試みた後、カメムシはその場で倒れてしまった。
全滅の危機は逃れたようで俺もホッと一安心だ。
「やったわね!」
「うん、なんとかね。....あれ?」
よくみると、まだカメムシがいる。倒したように見えたはずなのにいるということは仲間になったということか....?いやでももしこれでまだ敵として生存していたらどうしよう....
「これ、開けて大丈夫だよね....?」
「い、いや、、まだカメムシさんの姿見えますけど....」
「や、やめておきましょうよ、倒したとはいえそもそもこの中も臭いでしょうし....ってかこんなやつ仲間にしなくていいわよ!ウチが臭くなっちゃうじゃない!」
俺たちは討伐後もなおボウルの中にいるカメムシに困らされた。
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戦闘続きと言いましたが次回は非戦闘になると思われます。




