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第20話 固いプレゼント

まさかの同日更新。モチベがうなぎのぼりです。

「ただいま、母親、頼まれたもの買ってきたよ」


「あら、ちゃんとおつかいできたのね!偉いわぁ!」


今日の俺は3歳児に見えるのだろうか。恥ずかしいので今すぐにその認識を改めて欲しい。


「じゃ、お母さんもすぐに準備取り掛かるわね、頑張りなさいよあんた」


何の準備なんだ....何も聞いていないぞ....?と思ったがおそらく夕食の準備だろう。買ったものを母親はすぐに台所に向かっていった。まぁ少しくすねたが、おそらく気づかないだろう。


「色々俺も作業しなくちゃな....」


階段でメリッサとすれ違う。


「ツンデレちゃん、まだ怒っているのはもちろんですが....ど、どうやら怒ってしまったことを後悔もしてるようです....えと....これ以上下手なこと言わないでくださいね、、パーティの今後に直接関わるんですから....」


「大丈夫だ、俺に任せろ」


「が、頑張ってください、わ....私にできることがあったら言ってくださいね?」


メリッサももちろん俺らのパーティが解散することを望んではいない。これまでもこれからもこのパーティで冒険をしたいのだ。


そのパーティを俺のデリカシーの無さで壊すわけにはいかない。これが(母親含め)きっと全員の願いだ。


「じゃあ....合図を送ったら『渡したい物がある』って言ってくれるかな?」


「わかりました....!」


メリッサと別れて自分の部屋へと向かう。ここでツンデレちゃんと遭遇したら気まずいなぁとか思っていたが、何とか遭遇せずに済んだ。


自分の部屋に入るとすぐに作業に取り掛かる。まずはくすねてきたりんごを机の上に出す。これは()()()()()


そして雑貨屋で買ってきたあれとこれを使っていい感じにおさまりのいい形にして....そして後はこれをこうして、取り替えて....うん、これでいい感じだ!そして後は....買ってきたプレゼントを用意して、と。


準備は完了した。これでもしダメだったらその時はその時だ。


「夕食できたよ〜、降りておいで〜」


下の階から夕食の準備が完了したことを知らせる声が聞こえる。


「よし、いくか」


少し緊張しながら俺は階段を降りていく。既に女子2人は食卓についていた。


1日ぶりにツンデレちゃんと顔を合わせる。しかし目は合わせてくれない。メリッサもこちらの様子を窺っているようで口を開かない。


今日の晩御飯のメニューはオムライスに俺がおつかいで買ってきた果物をたくさん使ったフルーツジュース。オムライスやフルーツジュース(というよりミックスジュース?)はツンデレちゃんの好物らしく、母親が取り図ってくれたようだ。感謝。


「はい、準備もできたことだしみんなで食べようか。いただきます」


母親が音頭を取る。それに合わせてみんな食べ始める。食卓にはいつになく静かな空気が流れる。それもそのはず、俺の考えたプランでは食後が勝負だからだ。


食事中のことを全く考えていなかったわけではないが、食べた物が喉を通らないような空間だ。かなり重苦しい。一瞬この空気を霧払いするためにも食事中に渡してしまおうかとも考えたが、メリッサがツンデレちゃんと話してくれているようなのでやめた。


そして食後、緊張の時である。母親が、これまたおつかいのケーキを持ってくる。相好を崩して美味しそうにケーキを食べている。


ここだ。今しかない。


俺はメリッサにアイコンタクトで合図を送る。


「あ、そういえばツンデレちゃん、ショウさんが渡したい物があるらしいですよ!」


後はお願いしますよ、といった表情で俺の顔を見る。


「....何かしら、私に渡すものって。別に私は何も頼んでないのだけれど?」


相変わらずツンツンしている。これが本心から来ているものでないことはわかるがすこし足がすくむ。


しかしここまで来て止まるわけにはいかない。俺は勇気を振り絞り一歩前に出る。緊張の度合い的には告白する時ぐらいな気がするが、実際はプレゼントを渡すだけだ。


「えーと....ツンデ....じゃなくてマドリン。渡したい物があるんだ」


我ながらツンデレちゃん呼びしなかったことを褒めて欲しい。


少しツンデレちゃんも頬を赤らめているような気がする。多分。


「はい、これ」


俺はツンデレちゃんにプレゼントを渡す。


「これは....」


「ヘアピンだよ、ごめんこんな無難なやつで」


ピンク色の花の模様があしらわれたヘアピン。雑貨屋で購入したものだ。ミキサーより先に発見できたので買っておいた。


「....あ、ありがと。大事に使わせてもらうわ」


正直これだけで仲直りしようなどとは思っていない。しかしやはりペンダントだけよりも何か実用的なものをつけてあげたいと思ったのだ。


「これだけじゃないよ、はいこれ」


俺はアクセサリー屋で買ったペンダントをあげる。


「....ありがと、、アクセサリーなんて意外といいセンスしてるじゃない」


どういう情緒で言っているのかわからないが、喜んでくれたなら何よりだ。そして込み上げてくる思いを謝罪の意味も込めて綴る。


「YO YO」


しまった。出だしをミスった。緊張でラップ調になってしまった。過去に例を見ない大失態。みんなの視線がとっても痛い。でもこのまま突っ走るしかない!



「俺はモンスターテイマー、ショウだ

 このパーティをまとめる隊長だ

 でも迷惑をかけた、だから今日は

 謝るためにここに参上だ


 初ゲットしたモンスター、スライム

 先行く不安などはもう皆無

 この瞬間だってそうI'm

 a hero になるためのTime


 でも思いやりがなくてした失言

 怒られるのはそりゃ必然

 心を突き刺す数々の苦言

 それを受け止め改善し実現


 俺のせいで雰囲気は重い

 言葉は取り消せないもう遅い

 ならば明日のために尽くすさ勝利

 だから届いて欲しい俺の想い!」



全くラップに造詣がない俺はライムもフロウもリリックもなんだかよくわからないが、込み上げてくる思いを口から出そうとしたら何だかすらすらと言葉が出てきた。


そしてアイスブレイク(?)は終わり本題の謝罪の言葉を口にする。


「ツンデレちゃん、俺あまりにもデリカシーがなかったよ。親しき仲にも礼儀ありって言葉を忘れていたのかもしれない。だからごめん。こんな言葉じゃ信用してもらえないかもしれないけど、こんなことないように次から気をつけるから....本当にごめん」


心からの謝罪の意を告げる。果たして想いは届いただろうか....


「........私の方こそ、ごめん。あんなに怒ることなかったかもしれないってずっと思ってた。でも私の方から謝るのは絶対になんか違うって思って....意地になってたのかもしれないわね....悪いことしたと思ってるわ....ごめんなさい」


ツンデレちゃん側から謝ってくるとは考えてもいなかった。しかしメリッサの言っていた通りで、だいぶ後悔していたようだ。


仲直りの印(?)に抱きつく....なんてことはできず握手をして和解成功となった。


「よかった、です。えと....一時はどうなることかと思いましたよ、本当に....仲直りできないんじゃないかって....」


「若いうちは喧嘩してなんぼよねぇ、まあ関係を修復できることが前提条件だけれど」


2人からも安堵の言葉が聞こえる。本当によかった、これでこのパーティはもっと上を目指せるかもしれない。この機会にぜひ騎士さんに入ってもらいたい。


「あ、ところでショウ、このペンダントの石なんだけど、これってどういう石なの?何だかおしゃれな感じがしないんだけど」


ギクッ....やはり気づかれてしまうか....


ツンデレちゃんの言う通り、元々このペンダントに入っていたものではない。


「あぁ、それはあれだよ、『ラッキーストーン』だよ」


「へぇ、これラッキーストーンって言うのね、何だか縁起がよさそうだわ!」



そう、漬物石(ラッキーストーン)だ!




ラップは本当に知らないので色々間違っているかもしれませんがお許しください....


ブックマーク等励みになりますのでぜひよろしくお願いします!

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