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第2話 主人公宅にて

まだタイトル詐欺です。あと何話かタイトル詐欺続きます(ごめんなさい)。

自室の鏡を見ると、そこには渋めよりかはカッコいい系の銀髪、雪のように真っ白な肌、そして赤い目の男性がいた。


「間違いない...ゲームで操作してた俺のキャラだ...」


全く見当もつかないが、俺はどうやらゲームの世界に飛ばされたらしい。顔は光にやられて目を瞑って寝ている間に勝手に整形されて、部屋もその人の手によって模様替えされた可能性も否定しきれないが、常識的に考えてないだろう。いや、ゲームの世界に飛ばされる方が常識的には有り得ないのだが。おそらくこれは俺自身の希望があるのかもしれない。


ウン百、ウン千時間をかけてきた『M蒐』のデータがなくなった状態で現実世界を生きていくのは俺にとっては難儀なことだ。心の拠り所がなくなったので自分の行動を抑えることもきっと難しかっただろう。だから、ゲームの世界であってほしい、という期待をしている。


「とは言ってもなんでゲームの世界に...」


全く思い当たる節が....ないわけではない。正直なところこれしか理由がないんじゃないかとさえ思っている。


「流れ星...だろうな、3回もお願いした覚えはないんだが...」


どうやら「あいつらと冒険したい」というお願いが成就したらしい。...それだったら普通にデータ復旧するだけでいいよ!?なんでゲームの中に飛ばしたの!?とツッコミたくなるが、部屋で一人で大声を出すと主人公の...いや今は俺の母親に聞こえてしまうだろうから抑えている。


ゲームの世界に行けるんだったらキャラを女性にしておけばよかった...結局男のままじゃん...


がっかり感が大きいが、ゲームの中の異世界に転移できたのは喜ばしいことだ。俺が持っていた手持ちのモンスターと生で触れ合えるのだから。


「えーと...あれ、、?可愛い可愛いモンスターがいないな...?」


このゲームで仲間にしたモンスターは全て自宅の庭に保管されている。どんだけ庭がでかいんだよ、とゲーム開始当初はよく思ったものだが、その設定の方が都合が良いのだろう。


主人公の部屋がある二階の窓からは庭がよく見えるはずなのだが、その庭に、モンスターの姿は1匹も見えない。荒涼な土地がだだっ広くあるばかりだ。


ものすごく嫌な予感がした。いやしかしもし願いが叶っているならモンスターたちはいるはず...


しかしその希望は次に聞こえた声によっていとも簡単に失われた。


「いつまで寝てるの!?早く起きなさい!!」


外にいるツンデレちゃんの声が聞こえる....

ツンデレちゃんとは、俺がこの幼馴染キャラにつけたニックネームだ。実際の名前は...確かマリーンだったかメリーンだったかと言うのだが、ゲインロス効果を狙ったものなのだろうか、よく発揮されるツンデレな雰囲気から勝手にツンデレちゃんと呼んでいた。


「今いくよー...えーと.......マェリーン?」


「ちょっと誰よそれ!?私の名前はマドリンよ!マ・ド・リ・ンでマドリン!って、なんで今更あんたに名前なんて教えなきゃいけないのよ!?」


本当に申し訳ないことをした。ツンデレちゃんという名前で定着させてしまって本名などとっくのとうに忘れてしまっていた。今すぐに誠心誠意心から謝ろう。


「ごめんマドレーヌ」


「お菓子じゃないわよ!私の名前はM・A・D・E・L・Y・Nでマドリン!いい加減にしなさいよ!」


なんでマドレーヌを知っているんだよ....と考えつつも、申し訳ないなんて気持ちは微塵もなく翔は絶望の気持ちで胸がいっぱいだった。


なぜかというと、このマドリンもといツンデレちゃんが主人公の家の前に来てあのセリフを言うのは....



「せっかくあんたが今日からモンスターテイマーとして暮らしていくっていうからわざわざ来てやったのに、寝坊なんてしてんじゃないわよ!」


ゲームの最初のイベントだからだ。


.....なんで初期化された世界に飛ばされたんだぁぁぁ!いや、確かにね?『M蒐』のデータが初期化されてめちゃくちゃ辛いよ?現実世界でこの後どうやって生きていけばいいんだろうかとも思ったよ?でもさ、転移したらしたで結局初期化された世界からスタート!なんて仕打ちあんまりじゃない?っていうかお星様...!なんできっちりかっちりお願い叶えてくれないの!?あいつらと冒険したいって言ったよね!?


この世界に来てまだ30分も経っていないのに、はやくもこの世界に不満が募る。でもきっと冒険を進めていけばモンスターたちが俺を癒してくれるだろう。うん、きっとそうだ。


「早くしなさいよ!このノロマ!」


うーん、ちょっと前を向こうと思ったらこれだもんなぁ、全然ツンデレじゃない、こんなの鬼だよ鬼...これを機に鬼ちゃんに呼び方を変更しようかな...


しかしながらまだ朝食も食べていない状況なので、もうしばらく鬼ちゃn...ツンデレちゃんには待ってもらうことになる。


「ごめん、まだ朝食も食べてなくてお腹ペコペコだからもうちょっと待ってて」


「もういいわよ...本当に時間にルーズよねあんたって人は...」


なんかごちゃごちゃ鬼ツンデレちゃんが言っているが、俺はあることに気がついた。この世界にも普通に空腹という概念があるということだ。ゲーム内だからと言ってお腹が空かなかったり、喉が乾かなかったりするわけではなく、現実世界と同じようにしっかりとご飯を食べて、水分を補給しなければいけないらしい。


このことから考えるに、この世界でもし命がなくなってしまったら、おそらく現実世界と同じようにこの世からいなくなってしまうのであろう。


そう考えるとゾッとする。今まではこのゲームを楽しみつつ、もちろん安全に遊んでいたのに対し、この世界では楽しめたとしてもそこにはいつも危険がともなっているということだ。もちろんまだ推測に過ぎないし、今後も推測でしかあり得ないわけだが、確率はたかそうだ。


まあ、データが消えてしまった今はどっちの世界にしろいなくなってしまう危険は孕んでいるけどな...


そうこう考えているうちに母親が朝食を作ってくれた。


「ありがとう母親」


「は、母親...?」


ゲーム内で母親としか書かれていなかったせいで読んでしまったが、違和感全開すぎる。せめて母さんとかにするべきだった。というか母親の本名ってなんだ?全く記憶にないぞ。いやそれ以前に全く母親に関する情報を知らない。ゲーム内ではただ家にいるだけの存在だったからなのだが、子としてそれはまずいだろう。


俺は出されたものを食べながら母親に聞いた。


「母おy...じゃなくて母さんって名前なんだっけ?」


「何馬鹿なこと言ってんだい?もしかしてモンスターテイマーになることで緊張しているのかい?」


「いや、そうじゃないんだけど、ほら、もう直ぐ誕生日...だったりしない?」


「何よその聞き方?しかも私の誕生日はまだまだ先だよ?忘れっちまったのかい?」


忘れるもなにも、聞いたことすらない。というか名前全然教えてくれないぞ、こういう時って怪しみながらも教えてくれる場面じゃないのかよ!


「まぁいいわ、私の名前はミランダよ。ミ・ラ・ン・ダで、ミランダ。M・I・R・A・N・D・Aでミランダ」


さっきからなんなんだその自己紹介の仕方は、流行っているのか?とはいえ、俺の心の叫びが通じたのか、とりあえず名前が聞けたのは良かった。もう少し母親の情報が欲しいがとりあえず今はツンデレちゃんが先だ。


長い時間待たせるのはさすがに男としてまずいので、急いで着替えをして出かけようと思いクローゼットを開けた途端にあることを察した。



「あいつらってこれのことだったのかよ!!!!」



そこにはゲームの中で俺が着用していた装備一式が入っていた。



まだ家から出てない所に引きこもりの凄みを感じます(筆者が悪い)。ちなみに既に書き溜めはありません。詰んだ。

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