第14話 日は沈む
思い立ったので一気に書きました。久しぶりなので設定や話し方がブレてないかとてつもなく不安です。
スライムにはモンスター用のSP回復ポーションをあげて水鉄砲をまた打てるようにしてあげた。
しかしスライムが防御に回っている以上攻撃はスライムを除いた3人と1匹で行わなければいけないのだが....
1人はモンスターを連れているただの人間、1人は回復専門職、1人は攻撃できない魔法使いなので実質はナメナメクジ1匹で戦わなければいけない。
またスライムが水鉄砲を打てる回数もSP的にせいぜいあと1、2回だろうからその間にかたをつけないと全滅の可能性すらある。
「ナメナメクジ....!なんとかしてくれ!」
「そうよ!あんた頑張りなさいよ!」
「頑張ってください....!ナメクジさん!」
みんなひどい他力本願ぶりだ。粘液が当たって麻痺になれば俺もポコスカと木の棒で殴るつもりではあるが、相当弱ってないと倒し切るのは難儀なことだろう。
ナメナメクジはいつも通り粘液をプルプルとしながら出す....と思いきやヒマワリマンに向かって走って(?)いった。
「近寄っちゃダメだ!」
不用意に近付くと切り裂き攻撃を警戒する必要が出てくるだけでなく、火の魔法を見てから避けることが困難になる。
しかしナメナメクジは止まらない。モンスターがテイマーの指示を聞かないことは基本的にないが、このときは事情が違った。
ナメナメクジの方もSP切れを起こしていたのだ。粘液を吐く攻撃はSP消費量が少なめだがそれでも打てる数は有限。それなのでナメナメクジはダメージを与えるために体当たりをしに行っているのだ。舌舐めずりかもしれないけど。
それを止めようとしても先程スライムに使ったポーションでSP回復ポーションは切らしていてナメナメクジのSPは回復することができないのだ。
そんなナメナメクジに対してヒマワリマンは容赦なく火の魔法をぶつけてくる。火傷になったナメナメクジはもう満身創痍だ。
「まずいな....このままだと攻撃担当がいなくなる....ツンデレちゃん....!」
「今やってるわよ....!」
ツンデレちゃんにヒールをかけて延命措置をとりなんとかナメナメクジは1回体当たりをヒマワリマンに当てることができた。
しかしナメナメクジは火傷と切り裂き攻撃によりヒールが間に合わなくなってここでダウン。ターゲットが変わる。
「どうすれば....スライムを攻撃に回すしかないか....?いやそれとも逃げるか....?」
逃げてまた夜に来れば太陽がないためヒマワリマンは弱体化する。昼よりも夜の方が強いモンスターがいるのは間違い無いが、作戦としてはありかもしれない。
しかし追いかけられて逃げてる途中に火の魔法に当たってしまう可能性も十二分にある。火傷になった場合家まで持つかどうか....
「ど、どうすんのよ....!」
「攻撃手段が足りなすぎる....ここは引くしかないかもしれない」
「すみません....私が攻撃魔法を使えれば....」
確かにあまりにも攻撃できる人員やモンスターが少なすぎたのかもしれない。メリッサがシャドウしか打てないのは魔法使いの仕様上仕方ないので謝らなくてもいいのだが........いや待てよ、これならいけるかもしれない。
「待て、撤退はやめよう。メリッサ!あいつにシャドウを打ってやれ!」
「で、でも動きが速い敵に目眩しは意味ないんじゃ....すぐ抜け出されちゃいますよ....?」
「いいから早く!」
「しょ、、しょうがないですね....そこまでいうなら....漆黒の闇よ....」
「それもいいから!」
というか前と詠唱前の文言が違くないか?慣しとかじゃなくてそういう趣味あるんじゃ....
「シャドウ!」
ヒマワリマンのあたりがみるみるうちに暗く染まっていく。まあ確かに漆黒の闇ではある。
「いまだ!スライム、水鉄砲!」
と同時に俺もヒマワリマンに向けて走っていく。
「うおおおおお!木の棒の痛みを知れえええ!」
ダサめの文言と共に俺が思いっきり振りかぶったその一撃はヒマワリマンに....は当たらず地面にぶっ刺さった。
「あれ....?まさか逃げられた....?」
闇がはけるとそこにヒマワリマンの姿はなかった。
「ごめん....逃したかもしれない....」
「い、いや逃げ出してはないと思います....」
「え、そしたら....」
俺はスライムのレベルを確認する。
スライム Lv.4
「あの水鉄砲で倒せてたんかい....無駄に叫んで恥かいたわ....」
それにしても意外とレベル上がったな。やっぱり強いと言われるだけのことはある。歯応えのありすぎる敵だった。
「今日のところはひとまず帰ろう....」
「ちょっ、ちょっと待ってください!」
「うん?」
「いやその....どうして倒れたのかな....?と思って」
前回まではツンデレちゃんの役目だったがメリッサに取って代わられている。
「わからないのか?」
「....恥ずかしながら、、」
これくらいは分かって欲しいものだが、頼まれたら仕方がない。
「ヒマワリマンは向日葵を模して作られたモンスターだから太陽がない夜に弱体化するんだ」
「....つくられた?神様にってことですか?」
ついゲームの世界だと思って口走ってしまったが勝手に違う解釈をしてくれたようだ。
「....あーうん、そうそうそういうこと。だからシャドウで辺りを真っ暗闇にすれば短い時間だけど擬似的に夜を作り出せるってわけ」
「それで弱体化したヒマワリさんに攻撃を与えて倒したということですね....!さすがですスライムさん....!」
さっきから気になっていたがメリッサはモンスターにさん付けするんだな。決して邪な思いを抱いているわけではないが、なんだかちょっと愛らしい。
「ところでツンデレちゃんは?」
「....あそこにいますよ」
メリッサが指差した方を見ると木の陰に隠れたツンデレちゃんがいた。
倒れたナメナメクジを持ち上げて忘れずにモンスターボックスにしまい、ツンデレちゃんの方へ向かう。
「木陰に隠れて一体どうしたんだ?」
「暗闇....怖いわ....」
いやこれもう3回目だぞ。いい加減慣れてくれ。
ナメナメクジと同様にツンデレちゃんも持ち上げ....るのは憚られるので落ち着くまで待つか....それにしてもこのまま帰ったら何かを忘れてるような....
あ。
モンスター捕まえるの目的で来たんだった....別に逃げてもよかった....
シャドウを2度も活躍させてしまった....




