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第12話 また水色のあいつ

1日に2話....これが続けばいいんですがね....

「そういえば言ってなかったけど今日は例のメリッサが襲われそうになったヘビとやらを倒しに行こうと思う」


「ヘ....ヘビ....」


「ちょっとショウ!メリちゃんが怯えてるじゃない!トラウマを呼び起こすような発言は慎みなさい!」


いつのまにか仲良くなっていたこの2人だが、こうなったらこうなったでまためんどくさいな。


とはいえ、確かに昨日の今日でヘビに挑もうというのは厳しいだろうか。


「い、いえ....大丈夫、です。せっかくパーティの一員になったので、頑張ります....!」


「それならよかった、ツンデレちゃんも大丈夫だよね?」


「まぁメリちゃんがそういうならいいわよ、ただあんたまだモンスター2体しか持ってないのに大丈夫なの?」


「んー....確かにそれもそうだな」


ツンデレちゃんのいう通り確かに戦力が心許ない。今のままでも勝てる可能性はあるが、確実を取るならもう一体ぐらいモンスターを捕まえた方がいいだろう。それにレベルアップもしておきたい。


「じゃあ、今日はモンスター捕獲&レベルアップに目的を変更しようか」


「わかりました....!」


「わかったわ」


大寝坊した俺たち一行はメリー草原に向かった。寝坊の原因はあからさまに女子組のせいなのだが、なぜか俺のせいにされる。理不尽な世界だ。


遅刻の原因を俺だと断言された後、メリー草原に着いたのでレベル上げと新モンスター獲得の両立のため、前に団体戦を行った場所よりも少し奥、かつ森の手前のところまでいくことを提案した。


「あ、ツンデレちゃんと後メリッサも一応先に言っておくけど、森の中に迂闊に入っちゃダメだからね、ヘビとか他にも色々強いモンスターが出てくるから」


「メリちゃんはまだしも私は入らないわよ!?」


「えぇ....!?ツンデレちゃんの方が入りそうじゃないですか....!」


なんだか2人で言い合ってるみたいだが、ドングリの背比べだからね?どっちも一回やらかしてるからね?


「まぁ2人とも落ち着いて....とりあえず俺の近くにいてくれ」


「はいはい、わかったわよ」

「わ、わかりました....」


2人からの承諾の声が聞こえたところで、森の前に移動しレベル上げを始める。


とりあえず近場にいたスライムと戦闘を行う。


こちらはスライムとナメナメクジと魔法使いと僧侶のパーティだ。まず負けることはないだろう。


メリッサが詠唱を始める。


「地獄の深淵の暗黒世界より誘われし邪悪の根源たる闇の精霊よ....!シャドウ!」


「早々に『地獄の深淵の暗黒世界より誘われし邪悪の根源たる闇の精霊』なんて呼び起こさないで!?俺らまで巻き込まれそうじゃない!?あと助詞の『の』の使いすぎでキャパオーバーになっちゃってるからね!?肩書き付きすぎちゃって逆にダサくなっちゃってるからね!?それにそんな柄にもないような詠唱は....」


「う、うるさいです....こういう風に詠唱を唱えるのが慣しなんですよ!べ、別に魔法名言うだけで本当は打てるのは知ってるんですよ!」


恥ずかしそうにこちらを見ているメリッサであったが、その声自体はとてもハキハキとしている。きっと昔からこのようなツッコミを受けたことがあるのだろう。というか最後の方なんだかツンデレちゃん要素が入っていたような気がする。


「そんなくだらないこと話してないでさっさとスライムを....って何よこれ!?暗いわ!怖いわ!黒いわ!霞んでるわ!見えないわ!」


スライムの近くの空間がまるで皆既日食が起きた時の空のような暗闇に包まれた。範囲は小さめだったので俺たちにはかからなかったが、スライムには命中したようだ。若干1名かかってもいないのに騒いでいるようだが。


これで無事スライムを撃破した....と思ったのだが。


「なんで生きてるのよ!?あんなに黒くて怖かったのに!」


いや正確にいえば俺は倒せないことがわかっていたので、思っていたのはツンデレちゃん1人だっただろう。


「な....なんで、倒せてない.....?」


いや唱えた人も思ってたんかい。


「倒せてないってことはその魔法は目眩し目的で作られた魔法なんじゃないか?」


自問自答するのも恥ずかしいが俺の言っている通りで、剣と魔法が蔓延る世界観の魔法使いは攻撃魔法を主に使っているイメージがあるが、『M蒐』の魔法使いは攻撃魔法はあまり強力でなく、どちらかというと味方にバフをかけたり、敵にデバフを付与したりなどといったサポート魔法が主だ。


ただ、攻撃魔法を使うキャラはいないのかと言われるとそうではない。この世界には上級職として賢者という攻撃魔法を主に使う役職があるので賢者に取って代わられたという感じだ。


上級というくらいだから何かしらなるために制限がありそうだが、主人公はどうせモンスターテイマー以外にはなれないのでそう言ったことはプレイヤーとしてこのゲームをやっていた俺はまったく知らない。


クエストを受けられたら他の職業に転職できるクエストもあったのかな、と少し後悔しつつ、今は戦闘中だったことを思い出し身構える。


俺はナメナメクジとスライムに敵のスライムを攻撃するように指示する。


スライムは体当たりをしに動き出し、そしてナメナメクジは....


プルプルプルプル


ペッ


相変わらず粘液を放っている。


惜しくも遠距離攻撃である粘液は外れてしまったが、こちらのスライムが体当たりをしに向かっているので、おそらくスライム同士での対決となりそうだ。そうなるとナメナメクジが遠距離から援護してくれているこちらに分がある。


しかしスライムが取った行動は、後方に向かって全力でダッシュ(といえるのだろうか)だった。


「スライムが逃げるぞ!」


敵のスライムはどうやら数的不利を感じ取り逃亡の手段を講じるつもりのようだ。しかしスライムのどこにそんな思考を司るような器官があるのだろうか、本当に謎だ。


敵のスライムの逃げ足は早いわけではないが、こちらのスライムとナメナメクジの遠距離攻撃を見てから躱しているのかと思うほどの身のこなしでなかなか当たらない。なんかこのスライム強くない?個体差があるよねこれ?っていうかもっとエイムを向上させて?


「ちょっと!このままじゃ逃げられちゃうわよ!?」


正直な話、スライム一体ぐらい他にいくらでもいるのだが、このパーティでの初戦闘で敵に逃げられるのはなんだか釈然としないのでなんとかして倒したい。


「メリッサ!さっきのをもう一回唱えるんだ!」


「え...急にそんなこと....い、嫌です....!どうせ倒せないですし....」


「いいから!スライムに向けて撃ってよ!」


「本当は嫌ですが....仕方がない、ですね....じゃあ行きますよ

.... 地獄の深淵の暗黒世界よr....」


「それもいいから!!」


「慣しだと言ってるじゃないですか....!地獄の深淵.......シャドウ!」


結局慣しに背くんかい。


ともかく、これでスライムのあたり一面が暗闇で覆われた。


「何よこれ!?暗いわ!怖いわ!黒(ry」


2回目なのにまたやってるぞこの人。


「今だスライム!ナメナメクジ!あの暗闇に向かって攻撃しまくれ!」


スライムの水鉄砲とナメナメクジの粘液が暗闇に向かって放たれる。


そして少しして暗闇が晴れたあと....



そこには何もいなかった。



いやかっこよく言ったけど目眩しの本来の使い方をしただけなんだけどね。見てから避けているような敵には有効な手であることに間違いはないが。


「やったわ!倒したわ!」


「やりました、ね、ツンデレちゃん....!」


メリッサはともかくツンデレちゃんは何もしてないだろうに。


ただ最後の一撃はスライムだったようで、スライムに経験値が入ってくれたのは嬉しいことだ。これからめちゃくちゃ育てなくてはいけないだろうからな。


仲間の経験値に関してはおそらく勝利に貢献したかどうかで判断されるのだが、メリッサにはどうやら経験値は入ったらしくレベルが上がったらしい。敵に目眩しのデバフを付与して勝利に貢献したからなのだろうか。もちろんツンデレちゃんには微塵も経験値が入ってない。おそらく回復魔法を唱えず、勝利に貢献したとは言えないからであろう。


そんなこんなで無事このパーティでの初戦闘を制した。手強くはないはずの相手になかなか手こずってしまったが、苦労の先にあるものを掴んだ気がして悪い気はしない。



うん、でもやっぱり高火力な剣士とか欲しいな....



次はしっかり新たなモンスター出します

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