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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

小さな禊の代償

作者: 三角時次
掲載日:2019/01/10

 

『---さてこれからお話ししますのが、これからあなたに起こることの予言(よげん)です。』


 息を()む。


『この後家に帰る前に、必ずこれからお伝えする(みそぎ)を行ってください。』


 禊とはなんのことだろう、と考えるやいなや老婆(ろうば)は言葉を続ける。


『徒歩で帰るならば、電信柱を一度、足で蹴り、足の裏に付いた土を落とすようにしなさい。電車で帰るならば、きっぷを一度(くち)にくわえなさい。』


『何を言っているのかわからないと思うが、そうしないと必ず悪いことが起こる。』

 何を言っているのかわからないのだが、そんなことをしなくても、悪いことなんて起こるわけない。


「そうか、それじゃ」


 (うらな)い料の2000円を置いてそのまま歩いて家路(いえじ)についた。


 こんな寒い夜に道の(すみ)で座って人を(うらな)っているなんて、よほどの物好きなのだろう。

 そんなのに捕まって2000円を払うなんて俺も馬鹿(ばか)だなぁ。


 歩き携帯で親にメールをする。

「いまから帰る」


 寒いしさっさと家に帰って温かい風呂(ふろ)に入って炬燵(こたつ)でみかんを食べたい。

 この十字路(じゅうじろ)を曲がったらすぐ家だ。


 曲がることができたら、家に帰ることができたのに。


 自転車が(もう)スピードで突っ込んで来た。体が吹っ飛び、急ブレーキの音があたりに響く。

 そしてもう意識はない。




 ---次の日、22歳男性が家の近くの十字路で亡くなったというニュースが小さくローカルニュースで取り上げられた。自転車は、時速30キロ、無灯火(むとうか)で運転しており、もれなく捕まったとのことだ。

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