0 プロローグ
新人です。そんなにペース早くないので毎日とか無理だと思います。それでも読んでくださる方、先にお礼を申し上げます。
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【2004年1月24日】
朝方。俺こと城崎宏樹はランニングをしていた。
(…寒いな。)
辺りを見ると木の枝には霜が降り、吐く息は白い。俺はそのまま、いつものランニングコースになっている公園に入っていった。いつもならここでコーヒーを買って、ベンチで休む……のだが、この日の俺は何を思ったか、いつもの自販機でなく公園の反対側にある、もう1つの自販機を使ってみようと公園を歩き始めた。すると、珍しいことに自販機の前には大きな男と小学生くらいと思われる少女がいた。
(親子か?こんな時間なのに…)
時刻はまだ午前5時半。子供にはまだ早い時間である。
そう思いながらもコーヒーを買おうと自販機に並ぶ。すると、女の子が話しかけてきた。
「お兄さん、お早いですね~」
ませたしゃべり方だが、まだまだ舌足らずなところが可愛らしい。
「うん。ランニングをね。」
「へぇ~」
などと他愛もない会話を交わす。その間、お父さんらしき人は全く話には入って来ない。少し違和感を覚えつつも、その親子と別れ再び走ろうとした。振り向くと女の子が手を振っている。こちらも手を振り返す。
「はっ!?…、えっ…!?」
突然柄の悪そうな男たちが草の影から現れ、女の子を抱えあげた。宏樹は突然のことに頭がついていけない。男たちはそのまま走り去っていく。女の子は一瞬驚いたような顔をこちらに向けたが、すぐに元の笑顔に戻るとこちらに手を振りながら連れ去られて行く。一切抵抗しようとしていない。すぐに姿が見えなくなってしまった。
「今の…、誘拐っ!?」
驚いてお父さんの方を見ると、特に慌てる様子もなく何処かへ電話しようとしていた。
「ちょっ…!あの子誘拐されちゃいましたけど?」
「んっ?ああ…。君、今のやっぱり見ちゃったよね。でもあれは 大丈夫だよ。」
あくまで落ち着いているお父さんに、何か言おうとしたが、その前に電話がつながったようである。
「あっ、もしもし?千草さん。予定通り実行しました。でも、1人見られちゃったみたいで…はい…大丈夫です。ちゃんと後始末はやっときますから。じゃあ、失礼します。」
どうやら彼の上司みたいだな…ってそんなことは今はどうでもいい。
「あの…予定通りって…」
「んまぁ、取り敢えずついてきて。今からあいつのところ行くから。」
「えっ!?場所わかってるんですか?」
「その辺も後で」
ついていくしかない俺は言われるがままに公園の脇に停めてあった車に乗った。
俺はこのあと、世界の裏側へと足を踏み入れることになる。