コインランドリーの男
町外れにあるコインランドリーに溜まった洗濯物を持って行った。アパートの家に洗濯機はあるのだが、ずぼらな男のひとり暮らし、どうしても洗濯物を溜めこんでしまうものだ。俺だけかも知れないが。
それで洗濯槽にありったけのパンツやシャツやら上着類を突っ込んでいった。許容量を超えている可能性があったが、二回にわけると金額が倍かかる。
そうやって持ってきた洗濯物も全て突っ込んで、お金を入れて操作ボタンを押した。
途端、コインランドリー内が真っ暗になった。俺は驚いた拍子に「いやあんっ!」と情けない声をあげてしまった。ちょうど店内には誰もいないので、不幸中の幸いだったが、真っ暗で何も見えない。
携帯電話は車の中に置いてきたので、明かりになるようなものは何もない。
仕方ないので壁伝いに歩いて出口を探した。近くに街灯もないような場所なので、しかも深夜で小雨も降っているような天気だ。本当に真っ暗だった。
どうにか電気の通っていない自動ドアまで辿り着き、無理矢理こじ開けて外に出た。
雨が降っていても幾分外の方が明るい。車に戻って携帯電話を手に取り、コインランドリーの責任者に電話しようと考えた。
でもやめた。ある事に気がついたから。俺は車のエンジンをかけ、その場を去った。
翌日、地元のローカルテレビのニュースで、昨日のコインランドリーが映っていた。店主らしき初老の男性が、不安な表情で「うちの店には防犯カメラもないから、持ち主が誰なのか、わかりません」と答えていた。
そして、取り残された俺の洗濯物が映し出された。
セーラー服、ナース服、メイド服、魔女っ子服、レオタード、体操服とブルマ、スクール水着、女性物下着数十点。
店主は再度画面の中で「持ち主がわかればお返ししたいのですが、、、」と不安気だった。
スタジオのキャスターが笑いをこらえている。
そう、俺は、変態だった。