その十五
次が長いので短くなってます。
大体半分にきました。残りもよろしくお願いいたします。
「……………」
40以上もの鍵の中から玄関の鍵を見つけて入ると、そこに虎がいた。
いっとくけど、置物の虎じゃないよ。正真正銘生きた虎だ。
体長2メートル。黄色地に黒の縞模様。心臓が弱い人ならその睨みだけで死んでしまいそうな力強い眼。これを見て大きな猫とボケるやつ、いるなら出てこい。その大きな猫がいる檻に放り込んでやるから。
「……………」
左膝をつき、ぼくを見る虎の眼を見る───のも一瞬。ぼくから眼を反らしてしまった。
人に育てられた感じはするが、この虎は強い。そして、強い意思を持っている。なのに、この虎は威嚇もしなければ唸りもしない。まるでぼくとわかったから服従したみたいだった。
のそっと立ち上がった虎は、それこそ猫のように体を摺りつけてきた。
「……お前、ぼくを知っているのか……?」
動物園でなら何度も見たが、ここまでなつかれるような出会いなどなかったはずだが……?
「──ま、いいか」
こんな虎を狩ってみたい気もするが、仮にも神崎さんちで飼ってる虎である。お客の身としては大人しくしているのが礼儀でしょう。
「ここの人から家に入ってもいい許可を得てるんだが、入れてくれるか?」
頭を撫でながら虎に語りかけると、まるで『案内する』とばかりに反転し、中へと進んで行った。
「お邪魔します」
虎のあとに続いて家へと上がらせてもらった。
長い廊下を10メートルくらい進むと、リビングらしきところに出た。
広さはバスケットコート1面分くらいだろうか、手前に半月型のソファと正方形のテーブル、中央には大型のテレビとオーディオ機器が鎮座し、奥には20人用のテーブルとレストラン並のキッチン。窓の外はジャングルのように生い茂るガラス室。その反対側はカウンターバーのようなお酒を飲む場所と、なんとも統一感がなかった。
いや、神崎さんちの趣味は置いといてだ。あちらこちらに刺さっているナイフはなんだろう? インテリアか?
「───桃太郎~。どこ行ったの~」
ぼんやりリビングを眺めていると、右壁の向こうから声がした。
……なんだか入り組んだ造りになっているようだな、神崎さんちって……
まあ、そんなことはどうでもいいとして、この声は神崎さん。リビングに現れた後ろ姿も神崎さん。なのに、目の前に現れた女の子の髪は眼帯おばさんと同じ白銀色をしていた。
その声、その背丈、その気配、その全てが神崎さんだと語っている。なのに、その髪だけが神崎さんであることを否定していた。
「あ、桃太郎ここにいたの。え、なに?」
まるでお客だよと頭を振ると、パジャマ姿の女の子が振り返った。
「……夕太郎くん……」
「え、えーと。お邪魔してます」
ぼくが幻じゃないこと理解したとたん、目の前の女の子から血の気が引き、こちらがなにかいう前に脱兎のごとく逃げ出してしまった。
「……え?」
土日は『聖なる空の天女たち』を打ち込んでいるので先になると思います。
がんばれたら投稿します・・・




