序章
初連載ものです。感想いただけると嬉しいです。
「多嚢胞性卵巣症候群ですね。
簡単に言うと排卵が起こりにくい病気…というか体質ですね。
原因不明で根治は出来ないんですよ。
まぁ、排卵の可能性が全くないって訳じゃないし、卵子に異常があるって訳じゃないから大丈夫ですよ…」
高校生の頃からなかなか生理が来なくて、3か月に一回来ればいい方だった。
しかし、大学入ってから半年以上来なくなってしまった。
母からは「妊娠したんじゃないか」と疑われ、ショックを受けた(生まれてこの方彼氏もいないのに…)。
どうにか意を決して病院に行き、言われたのがこの言葉だった。
その日は深刻な病気で無くてちょっぴり安心して家に帰った。
むしろ、たまにしか生理が来ないなんてラッキーだとも思っていた。
しかし、一応ネットで自分でも調べてみたら、「不妊症」の文字。
もちろん、同じ病気でちゃんと子どもが出来てる人もいた。
−でも不安だった。
もし結婚して自分に子どもが出来なかったら?
もしそれが原因でパートナーと不仲になっていったら?
そんな人と結婚しなければいいって思われちゃうかもしれないけれど、今の日本でもまだ子どもを産めない女性を軽蔑する文化は残っている。
子どもを産めなくて姑や舅と上手くやっていけなくて肩身の狭い思いはしたくない。
間近で母と父方の祖母が言い争っているのを見てると余計思う。
−だから決めた。私は誰とも結婚しないと。
…そんな決意をした翌年、私に彼氏が出来てしまった。