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31 結婚式



 色々なことがあったが、今日はいよいよ私たちの結婚式だ! 天気も良く、絶好の結婚式日和だった。


 こちらでの結婚式は教会で誓いを立てて、屋敷で大宴会をする形だ。王都では、もう少し格式ばった式を挙げるが、こちらでは式が済めば皆で飲んで踊って騒ぐ感じになる。


 私は結婚式用のドレスに身を包む。アニカが綺麗に仕上げてくれて、これから私はバートさんのお嫁さんになるのだと緊張してきた。


 部屋に迎えに来てくれたバートさんは、正装でとても素敵だった。初めて夜会で会った時のことを思い出して、胸がときめく。バートさんは私の前に立つと、顔を真っ赤にしている。


「……ヘンリエッテ、とても綺麗だ」

「バート様も素敵です」


 私もとても緊張しているが、バートさんも緊張しているようで手が微かに震えている。バートさんの手を握ると、握り返してくれた。


「失敗しないように頑張りますね」

「ヘンリエッテなら失敗しても可愛いし、何かあれば俺に頼ってくれ」


 なんだか緊張がほぐれた気がした。バートさんの震えも止まっている。そうしているうちに、フランクさんが私たちを呼びに来てくれた。



 そうして二人で教会に入る。たくさんの人に見守られて、神官様のいる祭壇まで歩き、愛を誓った。これで私はバートさんの妻だ。私の旦那様が隣にいると思うと、嬉しくて仕方ない。


 隣のバートさんを見ると目が合って微笑んでくれた。この素敵な方が私の旦那様ですよー!と大声で皆に伝えたいくらいだ。しないけど。


 教会から出ると、領民も集まってくれていた。皆、私たちの結婚を祝ってくれている。私たちは馬車に乗り込んで屋敷に帰る。これから屋敷の庭で宴だ。


 領民たちにもお酒が配られているので、街中で祝ってくれているのだろう。馬車から外を見ると、皆が手を振ってくれていた。嬉しくって手を振りかえすと、おめでとうございます、と色んなところから聞こえて来る。


「バート様、みんなに祝ってもらえて嬉しいです」

「俺もだ」


 なんだか幸せで泣きそうな気分だった。



 屋敷に戻りドレスを別のものに着替えて庭に出る。屋敷の庭では、招待された人たちが飲んで食べてと大盛り上がりだ。音楽が演奏されて歌って踊って、とても賑わっている。


「新郎新婦も踊りましょう」


 カテリーナさんが私たちを誘いに来てくれた。バートさんと二人で参加すると、大きな拍手で迎えられる。社交ダンスとは違うので慣れない動きだけど、体を動かすのは楽しい。バートさんと一緒に踊るのは、とても楽しくて幸せだった。


 踊り終わって席に戻ると、アマーリア様が話しかけてくれる。


「ヘンリエッテさん、おめでとう。これからバートのことをよろしくね」

「はい! 私のほうこそ、これからよろしくお願いします」


 アマーリア様は次にバートさんにも話しかける。私はその間、他の人から挨拶を受けていたので、二人が何を話しているのかわからなかった。


「では、またね」


 アマーリア様は微笑んで去っていく。バートさんを見ると顔が赤い。どうしたんだろう? お酒に酔ったのだろうか?


「バート様どうされました?」

「い、いや、何でもない」


 バートさんが焦っている。何でもない訳なさそうだけど。でも深く聞かれたくなさそうだし、そっとしておこう。


◆◇◆


 宴会も終わり、私たちは屋敷に戻った。髪を解いてドレスを脱ぎ、ゆっくり入浴する。幸せな一日だったけど思ったより疲れていたようで、温かいお湯が気持ち良い。


「お嬢様、ご結婚おめでとうございます。幸せになってくださいね」

「ありがとう」


 準備が出来ると、アニカがお祝いの言葉をくれた。そして私は夫婦の寝室に入る。初めて入ったその部屋には、大きなベッドが置いてあり、なんて言うか、恥ずかしい。


 挙動不審になり部屋の中をウロウロしていると、扉がノックされた。


「ヘンリエッテ、入るぞ」

「は、はい!」


 バートさんが部屋に入ってくる。私は急いでベッドの端に座り、バートさんが来るのを待った。バートさんは気まずそうに首を掻きながら近付いてくる。


「そうだな、少し話しをしようか」

「はい!」


 バートさんも、私の隣に腰掛ける。私は緊張してしまって、はい!しか言えてない……。


「ヘンリエッテ、大丈夫か?」

「はい!」

「……大丈夫じゃなさそうだな」

「はい!」


 バートさんが耐えられないようで笑っている。いや、私も、はい!以外の返事がしたいんですよ? でも無理です。


 バートさんが私をベッドの上に正座するように座らせて、向かい合うようにバートさんも胡座をかいて座った。そして笑うのをこらえて、真面目な顔を作り私の目を見る。


「ヘンリエッテ、俺と結婚してくれてありがとう」

「はい!」

「これからも、きっと俺は嫉妬したり自信をなくしたり、ヘンリエッテに迷惑をたくさんかけると思う」

「はい!」

「でも、見捨てないで俺のそばにいてくれると嬉しい」

「はい!」


 バートさんが笑うのを我慢しながら、私に語りかける。そろそろ私も、はい!以外の言葉を伝えたい。


「あの。バート様」

「どうした?」

「あの、私、嫁、頑張る」


 何でカタコトでしか話せないのよ……。無理。こんな素敵な人とこんな場所で、緊張しながら普通に会話するなんて無理。


 バートさんが吹き出した。そして、私を引き寄せて抱きしめた。


「ヘンリエッテは本当に可愛いな。これから、末長くよろしくな」

「はい!」


 私は、また元気良く、はい!と返事をしてしまった……。





正座と胡座に代わる言葉が思いつきませんでした


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