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第九話 めいぼくそうの大家さんのお話

彼岸花の咲く季節になると、何故か寂しい気持ちになります。

「なあ夢、ぬしは聞いたことがあるか?」

「…何ですか?」

庭の掃き掃除をしていたら、縁側に現れたつづみ姐さまが愉快そうにおっしゃいます。

「隣街のはずれにある、小さな泉…ですか?」

「そう!何でも彼岸の夜に訪れると、死んだ人間に会うことが出来るらしい」

死んだ人に会える…?

「どうやら、街で流行っている噂らしいが…どう思う?」

「………そうですねぇ」

幽霊は、成仏出来無い人の魂が、現世に残ったものだと言います。

ちゃんと弔われて浄土へ渡った人の魂が、現世に戻ってくるなんて…

「しょうもないことをお言いでないよ、つづみ」

呆れた声でおっしゃったのは…杏珠さま。

「占い師がそんな噂なんぞに惑わされるなんて…馬鹿馬鹿しい」

「はーい、申し訳ございません」

澄まし顔でおっしゃって、つづみ姐さまは草履をつっかけ庭に出ます。

すれ違いざまに…

「女が男になる世の中じゃ、魂があっちからこっちに戻ってきても不思議ではないじゃろ」

私にだけ聞こえる声で囁いて、姐さまは裏口から館を出ていかれました。

背中には…いつかと同じ。

「またお昼からお酒…ですか」

「何だって?夢」

「いえっ…何でもありません!」

姐さまが担いだ徳利に気づいていないご様子の杏珠さまに…慌ててお返事をします。

と。

「ゆめちゃーん!」

部屋の中から楽しそうな声が聞こえてまいりまして。

見ると、赤い蜻蛉柄の着物を着た瑠璃ちゃんが、青い目を輝かせてこちらを見ておりました。

なあに?と尋ねますと、赤と金の混じった紐をくいっとこちらへ差し出します。

色鮮やかで綺麗な紐は、大きな輪っかの形をしておりまして。

「これ、あやとり?」

尋ねますと、瑠璃ちゃんはうん、と首を大きく使って頷きます。

「みことちゃんがつくってくれたの!」

「あら、よかったわね」

瑠璃ちゃんは、すっかりこの『めいぼくそう』に慣れた様子。

変わった風貌の瑠璃ちゃんに物珍しい視線を向ける客人さまもいらっしゃいましたが、最近では無邪気で明るい彼女に会いに、足繁く通って来られる方までいらっしゃるのです。

新しいおもちゃが嬉しくて仕方ないという様子の瑠璃ちゃんは、不意に私の手を取りにっこり笑って言いました。

「ねえゆめちゃん、あっちでいっしょにあそぼっ」


するすると指の間を滑る、絹の感触が心地良く感じられます。

「はい!じゃあ次は瑠璃ちゃんの番よ。これ、とれる?」

「えっと………こう?」

「あっ…違う違う、そっちじゃなくてほら、こっち!」

「んーーー………こうか!」

「あっ………だから」

瑠璃ちゃんがえいっと紐に指を通した瞬間、綺麗な網の目の形をしていたあやとり紐は、元の輪っかに戻ってしまいました。

ぎゅっと眉を寄せて、口を尖らせる瑠璃ちゃん。

と。

どこからともなく、楽しそうな笑い声が聞こえてまいりまして。

「いづこだ!!!」

どうやら、不機嫌の虫はどこかへ行ってしまった様子。

駆け寄る瑠璃ちゃんをひょいと抱き上げ、いづこさんは小さな手の中にある綺麗な紐に目を留め、あやとりかぁ…とどこか嬉しそうな声を上げます。

「いづこもいっしょにやろ!?」

「瑠璃ちゃんてば…あの」

「いいよ!懐かしいなぁあやとりなんて」

…いづこさん、男の人なのにあやとりなんて出来るんだ。

ちょっと感心して見つめる私の前で、いづこさんは長い指を紐に通すと。

それは目を見張るほど鮮やかに、次々と色々な形を作って見せました。

「これが吊り橋で…これが」

「うわぁーすごい!いづこってすごい!!!」

いづこさんって…何でも出来ちゃうんだな。

思わず私も、感嘆のため息を漏らしてしまいました、

尊敬の眼差を向ける私に照れたように頭をかいて、いづこさんは笑っておっしゃいます。

「ガキの頃、こういうのさんざん付き合わされたからね…みこととか、ゆづきとかにさ」

「あ………なるほど」

ゆづきさんとみこと姐さまといづこさんは、この街で小さい頃から育った幼馴染なのです。

「みことは今とおんなじ、器用だからすいすいこなしちゃうんだけどさ、ゆづきが…」

可笑しそうに笑って、いづこさんはあやとり紐に懐かしそうな視線を落とします。

「もう全っ然駄目で…半泣きで何回も何回も挑戦してるの横で見てたら、何か傍で見てる俺まですっかり覚えちゃって」

「でも…いづこさん、女の子の遊びにばかり付き合わされて、退屈だったんじゃありませんか?」

「意外とそうでもないよ。面白いじゃん、こういうの」

「ちゃんばらとかしなかったの?いづこ」

瑠璃ちゃんは、街の男の子達のちゃんばらごっこにご執心なのです。

お行儀が悪いからお止し!と…杏珠さまに叱られたのを、どうやら根に持っている様子。

「ちゃんばらもしたよ」

可笑しそうに笑って、いづこさんは頷きます。

「同じ年の道場仲間とね。最初は遊びなんだけど、いつの間にかお互いムキになっちゃって、大喧嘩になってさ…よく杏珠さまに叱られた」

「…あんじゅさまは、いづこがちいさいころからこわかったの?」

「こら…瑠璃ちゃん」

そうだねと困ったように笑い、いづこさんは懐かしそうに空を仰ぎます。

「けど、杏珠さまってなんだかんだ言って優しい人じゃない?俺達が悩んでる時はちゃんと道を示してくれて…母親みたいな人だよ、俺にとっては」

いづこさんのお母様は、いづこさんが生まれてすぐに亡くなったのだそうです。

杏珠さまといづこさんに、そんな関わりがあったなんて。

長いこと『めいぼくそう』にいるつもりでいても、知らないことは沢山あるのだな…としみじみいたします。

それにしても…

いづこさんにそんなに仲の良い男友達がいるというのも、初耳です。

と申し上げては…いささか語弊があるかもしれませんが。

「その道場仲間という方は、今もこの街にいらっしゃる方なのですか?」

「いや…今は」

穏やかな瞳が…一瞬曇ったように感じたのは、私の気のせいでしょうか。

にっこり笑って私をご覧になると、いづこさんはいつもののんびりした口調でおっしゃいます。

「今はね、武者修業っていうのかな…旅に出てる」

「…そうなんですか」

「今頃は一体どの辺りにいるんだろう。便りもほとんどよこさずに…本当困った奴なんだ」

「私…一度もお会いしたこと」

「夢ちゃんって、杏珠さまの所へ来たのは?」

「そうですねぇ…五年くらい前です、確か」

「あーそうだったそうだった!あいつ、もうそんなに帰ってないのかぁ。しょうがないなぁ」

ふーん、と瑠璃ちゃんは目を丸くして。

「はやくかえってきてくれるといいねぇ、いづこのともだち」

「…そうだね」

笑って応えるいづこさんは…やっぱりどこか寂しげで。

それ以上聞いてはいけないような気がして、私は瑠璃ちゃんに『おうちに入りましょう』と声を掛けようといたしました。

ちょうど…その時です。

「おやおや、館のちび助が一宮の若旦那をたぶらかして、随分と楽しそうじゃあないか」

意地悪なおじいさんの声が…通りの向こうから聞こえてまいりました。

「やっぱり占いだなんだと言って、てんで嘘っぱちなんじゃないかね?半人前がこんな風に遊んでおれるなんざ…占いが本当ならば大層厳しい『修行』を積まねばならんのだろうて」

いづこさんが怖い顔で、大家のおじいさんをきっと見据えます。

「紫堂さん、それは随分な言い方ではありませんか?それに、私は夢さんに誑かされた覚えなど…一切ございませんし」

「おー。そうでしたか!それは失敬失敬…にしても」

『占いなんざ嘘っぱち』と…いつもの口癖を再び口に出そうとした大家さんに。

杏珠さまの…怖い声が飛びました。

「嘘っぱちと思うか思わぬかはあんたの勝手だろう。こっちはきちんと家賃を払って住んでるんだ。変な評判が立って客足が遠のいて、稼ぎが減ったら…家賃が入らずに苦労するのはそっちじゃないのかね」

「あ…杏珠さま」

「そうなった時はそうなった時さ。家賃が払えぬなら出てってもらうだけのこと。お前さんのように胡散臭い婆様に貸さずとも、借り手ならいくらでも見つかるさ」

「…なんだって?」

「杏珠さま、落ち着いてください!」

青筋を立てて大家さんを睨む杏珠さまを抑え…私は努めて落ち着いた声を出します。

「それで…今日はどういった御用ですか?今月分はもう、お支払いした筈ですが」

「あの…隣町の泉の話じゃ。杏珠…お前さんが一枚噛んでおるのだろう?」

「…何だって?」

「何でも、死んだ人間の魂が彼岸の日に泉の底から戻ってくるというじゃないか。そして、『こっちへ来い、こっちへ来い』と呼ばれるままに泉に引きずり込まれて…春の彼岸には死人まで出たというから穏やかじゃない!もしそれが事実ならば、そんな恐ろしい泉なぞ周りを高い塀で覆って誰も近づかぬようにせねばいかん!そう思わぬか?」

亡くなった方まで…?

杏珠さまはご存知だったようで、怪訝そうな顔をして頷いておられます。

「ああ…そう思うよ?」

それがどうした、と言いたげな杏珠さまに、だが!と…大家さんは声を張り上げます。

「街の連中は面白がってその話でもちきりだ!特に、この館によく出入りしてる若い衆に限って、馬鹿げた噂話をまことしやかに語りあう!こんな不健全なことがあっていいと思うかね!?そこで儂は思ったんじゃよ!この噂には、きっとここの占い師達が一枚噛んでいて、何か良からぬ金儲けでも企んでいるんではないかとね」

「…馬鹿馬鹿しい!」

叫んだ杏珠さまは、鼻息も荒く大家さんを睨みつけます。

「証拠があるなら持っといで!そうじゃないならとっとと帰っとくれ!ここはあんたの持ち物かもしれないが、他人が住んでる家の敷居をずかずか跨いできて良い道理はない筈だよ!さあさあ帰った帰った!!!」

長閑に晴れた秋空に…ごろごろ…と雷の音が遠く聞こえました。

「ゆめちゃん、あんじゅさまのかみなり………」

瑠璃ちゃんの口を慌てて塞ぎ、私は杏珠さまに笑いかけます。

「杏珠さま…落ち着いてください」

「さっきからごちゃごちゃとうるさいねえ!半人前は黙っておいで!!!」

「………はい」

「じゃ、一人前かは分からへんけど…大人が口出させてもらいましょか」

おっとりした口調で玄関から現れたのは…みこと姐さま。

大家さんは急に顔を赤らめ、言葉に詰まります。

「一体何事ですの?お二人があんまり大きい声で騒がはるから、中の客人はんがびっくりしてはりますわ」

「い…や…その………邪魔したな!」

私達にくるりと背を向け、いそいそと帰っていく大家さん。

呆然とする私と瑠璃ちゃんをよそに、おおきにーとにこやかに手を振るみこと姐さまと、まだお怒りが収まらないご様子の杏珠さま。

小さくため息をついて、いづこさんがおっしゃいます。

「相変わらずですねぇ、お二方」

「…生意気な口をお聞きでないよ、いづこ」

腕組みして苛立った声で、杏珠さまは館の奥へと帰って行かれました。

まだ空の高いところでは、ごろごろという雷の音が…遠く轟いています。

ぺこりと頭を下げると、不思議そうに笑うみこと姐さま。

「私、別に何もしてへんけど」

「そうそう!本当にあのじいさん、みことがお気に入りなんだね」

みこと姐さまは、何年か前に亡くなった奥様の若かりし日の姿に、大層よく似ていらっしゃるのだそうです。

「にしても…困った人やなぁ。いちゃもんつけてくるんはいつものことやけど」

考え込むように顎に手をやり、みこと姐さまは意外なことをおっしゃいました。

「大家さんなぁ…あの噂に随分ご執心らしいわ」

「噂って、あの泉のこと?」

いづこさんの言葉に頷いて、この数日の客人はんから聞いた話やけど…と、姐さまは声を潜めます。

「客人はんが館出て来はるの待ち構えてて、一人ひとり捕まえては尋ねるらしいわ。占い師は泉のことを何か話したか…て」

「…なんか、ひどい嫌がらせにも程があるなぁ」

首を捻って、いづこさんが眉を顰めます。

「あのかわいいおばあちゃんが亡くなってこっち、あの人の偏屈も磨きがかかって困ったもんだね。よく言うじゃないか、『男やもめに蛆がわき、女やもめに花が咲く』」

「…ほら、そんな不謹慎なこと言わんと」

「なんじゃ?みんなして、こんなところにつっ立って」

不思議そうなつづみ姐さまの声が、背後から聞こえてきて。

振り返ると、姐さまの肩越しに見えた空は、いつの間にか茜色に染まっておりました。

「…いっけない!お夕飯の支度!!!」

「るりもおてつだいする!」

手を挙げて嬉しそう瑠璃ちゃんに、つづみ姐さまがいじわるな笑みを浮かべます。

「瑠璃が手伝うと、余計に手間が増えるんじゃないのかぁ?」

「そんなことないもんっ」

「本当かのぉ?」

「まあまあ…私も手伝うわ、夢」

「ありがとうございます、みこと姐さま」

「じゃ、俺はそろそろ」

「えーーーいづこかえっちゃうのぉ?」

「瑠璃、いづこは色々と忙しいんじゃ、あまり長いことお引止めしてはいかんぞ」

「………つづみ?」

ふと、館の外に目をやりますと。

わいわい賑やかに話している私達を遠くから、ぼんやりとした瞳で見つめている…

夕日に赤く染まった、大家さんの姿がありました。


その夜。

すやすや眠る瑠璃ちゃんに、布団をかけ直してあげながら。

外から聞こえる虫の音に…じっと耳を澄まします。

『死んだ人間の魂が彼岸の日に泉の底から戻ってくる』…か。

ぼんやりとした…幼い日の記憶。

『おいで、夢』

お父さんの優しい声と…優しい笑顔。

あったかくて大きな手は、私の手をしっかり握ってくれて。

お母さんの待つ、あったかい家へ。

………そう。

あの頃は、お母さんも一緒だったのに。

ぞくり、と背筋が寒くなりますが。

回り始めた記憶の歯車は、止まる気配がありません。

お父さんが、急な病で亡くなって。

お母さんは、一人でじっと考え込むことが多くなりました。

ふう、と深い溜息をついて、遠くの山に視線を向けるお母さん。

私なんて…まるでそこにいないみたいに。

ずきん、と胸が痛くなって、私はその場にうずくまります。

「………どうして?」

お母さん。

「どうして…いなくなっちゃったの?」

私を置いて。

一体…どこへ行っちゃったの?

「…お母…さん」

目から、熱い涙が溢れ。

ひくっ…と、喉から嗚咽が漏れた。

その時です。

「なんじゃ?夢…こんな夜更けに何を泣いておるのだ?」

不思議そうな…呑気な声が、頭の上から聞こえてきました。

どきっとして顔を上げると。

「人間、泣いておっても何も始まらぬぞ?」

赤い顔で、へらへらと笑うつづみ姐さま。

「…つづみ…姐…さま」

いつからそこにいらっしゃったのか。

顔が熱くなって、思わず顔を伏せますが。

きっと私は…姐さまと同じくらい、赤くなっているに違いありません。

「どうじゃ?ぬしも飲まぬか?」

酒瓶を掲げて見せる姐さまは、どうやら相当酔っ払っていらっしゃるようです。

「お一人で…飲んでらっしゃるのですか?」

「なんじゃ悪いか」

「いえっ…そんなことは」

「今日は良い月夜じゃ」

お腹の底から楽しそうな声で、つづみ姐さまは感極まったように呟いて。

ぐい、と私の腕を引っ張りました。

「どうじゃ!?飲まぬなら飲まぬで良い、ちょっと散歩に付き合わぬか?」


道を行ったり来たり、ふらふら歩く姐さまが、ちょっと心配になりながら。

私は…内心ほっとしておりました。

あんな風になると、自分ではどうすることも出来ないのです。

苦い思い出から抜け出すことが出来ずに、ただ…じっとやり過ごすしかなくて。

だから、酔っ払いでもなんでも、つづみ姐さまがひょい、と救い出してくださって、助かった…という思いでいっぱいだったのです。

時々、何か思い出したようにけらけら笑う姐さまに、ご近所迷惑ですから…と声をかけ。

私は、小さな声で尋ねました。

「………何も…お聞きにならないのですか?」

「…何をじゃ?」

「ですから…『何で泣いていたのか』…って」

そんなの、と明るく笑って。

姐さまはバシン、と私の肩を叩きます。

「…いたっ」

「わしもそこまで無神経ではないぞ夢!人間生きておれば泣きたいこともあろう!野暮なことは聞かぬ主義だ!だがな、朝になれば日も昇り、新しい一日が始まるのじゃ!うじうじしておっても仕方がない!」

「…分かりました、分かりましたから…もう、叩くのはやめてくださいっ」

そんなことをしていた時でした。

静まり返った道の向こう側に、人影が見えて…思わず足を止めました。

暗がりに目をこらすと。

「姐さま、あれ………」

「おお!あれに見えるは石頭の大家ではないか!?」

「こっ………声が大きいです、姐さま」

「かまわぬかまわぬ!おーい大家どの!一体こんな夜更けに何事じゃ!?」

ぎくりと振り向く大家さん。

「そっ…そなた達こそ何事だ!?若い娘がこんな夜更けに出歩くなぞけしらかん…」

「どこぞへ向かう途中のようだが…なんじゃ、もしやあの噂の泉へでも出向くつもりだったのか?」

「ちっ………」

大家さんの顔が、見る見るうちに真っ赤になっていき。

「違う違う!断じて、断じてそうではない!」

姐さまはこちらに視線を向け、ちろりと舌を出します。

「ほれ、当たりじゃ」

「なっ…なぁにを失敬な!」

だん、と足を踏み鳴らす音と、どこか悲しげな怒鳴り声。

「おぬしらには…おぬしらになぞ、わしの気持ちが分かってたまるか!!!」

そして。

大家さんは、逃げるようにして暗がりの中へと去って行きました。

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