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秀吉の天下を予言した男ー1分で読める1分小説ー

作者: 浜口倫太郎


豊臣秀吉は、天下統一を果たした。



秀吉は、大阪城の天守閣から城下を見下ろした。その光景を見つめながら、万感の息を漏らした。



百姓の出自でありながら、よくぞここまでのぼりめたものだ。

辛酸をなめ、権謀術数の限りを尽くし、何度も命を失いかけたが、秀吉はある言葉を頼りに生き抜いた。



それは秀吉が織田信長に使える前、まだ農民だった頃だ。ある坊主にこう言われた。



「そなたの顔相をつらつら見るに、必ずや天下を取る。天下を取った暁には、わしに千両くれんか」



何を馬鹿なことを、わしは百姓だぞ、と秀吉は大笑いした。だが信長に仕え、出世を果たすうちに、「あの言葉は真実かもしれぬと」と信ずるようになった。



そこに石田三成があられた。

「殿、その坊主生きておりました」

「生きておったか!」



 草の根をかき分けてでもあの坊主を探せと、秀吉は命じていた。

「わしが天下人となれたのは、そやつの慧眼のおかげだ。千両どころか、万両あたえてやる。はようつれて参れ」



「……本当によろしいのですか」

ためらう三成に、秀吉は激怒した。



「おみやぁ、なんだその奥歯に物が挟まったような物言いは! 

言いたいことがあるならさっさと言わんか!」



三成はまだ迷っている様子だったが、「されば」と意を決したように口を開いた。

「実はその言葉をかけたのは殿だけではござりませぬ。




その坊主は会う人間すべてに、『おぬしは天下を取る。取ったら千両くれ』と申しておりました」


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