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待ち受ける者

 ─────ディファム王国へ向けて。1日目。


「普通に行けば壁の山を越えなきゃいけません。そこからさらに徒歩でとなればいくら手練れでも2週間はかかります。逸れる道を使っても、馬車で2週間ってとこですね。」


 アルフは懇切丁寧に道の状況を教える。


「なら半日だな。」


 フレアは一言でアルフの常識をぶち壊す。


「…なに言ってるんです?半日ってどうやって…。」


「走っていくに決まってんだろ。それが一番速いんだから。」


 さも当たり前かのようにそんなことを言うフレア。アルフは状況を理解しきっていないようである。ケイスケもそれが当たり前かのように振る舞う。


「は、走っていくって…。」


「んじゃ、いくぞ。」


 そう言うと、フレアはアルフを担ぎ上げケイスケはなにも言わずにフレアに身体強化を施す。そうして次の瞬間、鬼のようなスタートダッシュを決め込みその街を後にしたのだった。


 ─────ケイスケもそれに続き飛び立ってから、はや半日。ディファム王国へとたどり着いた。こうして数日はかかるかと思われた旅は、またしても一瞬で終わったのだった。


 さて、肝心の王国であるが2人の目には一見目だった変化は無いように見える。町並みも、レイスと似通ってはいるが王国と言うだけあって賑わい具合は圧倒的である。今はもう日が落ちていると言うのに、それでも騒がしいと思える程だ。


「平和な街ですね。」


「だな。んで…いつまで寝てんだよ!」


 背中のアルフに罵声を浴びせるフレア。


「いやぁ、どちらかと言うとこれ気絶じゃないですかね?」


「はぁ…ったく。とっととアジトぶっ潰しに行きてぇのによ。」


「まあ、そうは言っても今日はもう暗いですし。早いとこ宿を見つけましょう。」


「んまあ…それもそうか…。」


 そうして2人はディファムの街を散策することにした。如何せん、土地勘のあるものが延びているのでそこは手探りとなる。あちこちを回って情報を聞くと、この国ではギルドに宿が併設されているようで、2人はギルドを目指した。


「ここか、ディファムのギルドは。」


「結構早く見つかってよかったですね。」


「だな。」


 そうして2人はそのギルドの扉を開け─────戦慄した。転がっていたのは死屍累々。立っていたのは仮面をつけた、見知った髪色の少女。白髪の間から覗かせる赤い触手には見覚えがあった。


「─────おまえは…。」


「ネリウム…さん…。」


 仮面をつけた少女はなにも答えない。だが、その姿は間違いなく、ネリウム・ストロファントスそのものであった。


「殺したのか…こいつら全員…。」


 フレアがそう問いかけた。


「…これは私からの忠告だ。」


 ネリウムはそれだけ答える。仮面をつけてでも、その瞳に宿る殺意はよく感じ取れる。次の瞬間、ネリウムは脱力し、踏み込んだ。こちらに向かうその姿はまさしく悪魔にも思えた。臨戦態勢を取ったが刹那、その影は2人の間を抜けて闇夜に消えた。


「…フレアさん…。」


「しゃべんな…私も頭が回ってねぇんだから。」


 呆然と立ち尽くす2人。


「………っ!フレアさん!」


「だから、黙れって─────。」


「この人達!全員生きてます!!」


「なんだと!?」


 死屍累々に思えたその人々。だが、傷はあれど致命傷は皆避けられている。


「あいつ…いったい何を…。」


 ただ、フレアはそう呟くことしかできなかった。


 ─────夜のディファムの街。それを一望できる時計塔。そこには2人の影があった。1人はネリウム。そしてもう1人は、あの赤髪の女剣士だった。


「いやぁ、流石に手加減が過ぎないか?ネリウム。それとも、かつての仲間に躊躇しちまったか?」


「威力偵察なら、別に殺す必要はないでしょ。ガーネット。それに…やろうと思えば私はいつでもやれる。」


 毒の滴る刃を見ながらネリウムは呟いた。


「そっか…にしてもあいつ速いなぁ…。まさかこんなに早くこられるなんて。」


 フレアの事を思い出したのか、ガーネットは拳を握った。


「あいつ…次こそは私が…。」


「…そんなに自棄にやったってしょうがないんじゃない?それに、リューク様にはどのみち敵わない。違う?」


「あぁ。リューク様には敵わない。だけど、そればかりに頼ってちゃ恨みは晴れないだろ?」


「…そうだな。」


 その答えから一拍おいてガーネットはネリウムに問いかける。


「ネリウムは私のこと裏切らないよな。」


「…さあな。」


「まあ裏切れないか。んじゃ、偵察頑張れよ。私はもう1個用事があるから先に行く。」


 そう言うと、ガーネットは時計塔から飛び降りる。ふわりと宙を舞う大きな体躯を見ながら、この先を思う。

 リュークに怖じ気づいたあの日を思い出す。


「フレア…ケイスケ…この件には関わるな。」


 それだけ呟く。毒の刃は月光に照らされ怪しく光った。

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