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ギルドへ

「バケモンじゃん…。」


 少女はそう呟く。対してケイスケはまさかここまでの破壊力が出るとは思わなかったので少し恐怖におののいている。


「んま、ありがとよ。あんた名前は?」


「え、えとケイスケです…。」


「ケイスケか。私はフレアって言うんだ。おかげで助かった。」


「いや…その…お役に立てたなら…。」


「にしても…そんな力があるのに知らない名前だな。新参か?」


「し、新参?」


「冒険者だよ。」


「冒険者…?」


「え、なに本当に知らねぇの?変わった奴だな。」


「すみません…。」


「冒険者っていうのは…そうだな、まあ雇われの傭兵みたいなもんだ。聞くよりも見た方が早いだろ。ちょうど私もギルドに帰るところだったんだ。ついてきな。」


「え、あ、はい。」


 語気の強い彼女に苦手意識を持ちながらもケイスケはその少女についていくこととなった。

 気がつけば、森からは抜け一気に整備された道となり少し活気づいているようにさえ思える場所となる。それは目的の街が近いということを表していた。


「いやぁ、しかし普段あんなところじゃ見ない魔物なんだけどな…。」


「さっきの虎のことですか?」


「おまえほんと世間知らずなのな。あれはヘルライガーつってここら辺じゃ割りと恐れられてる魔物だ。かく言う私も大分体力持ってかれてたからまずかった。」


「そ、そんなに強いんですか?」


「まあ、人にはよるな。特にあれは魔術が弱点ってのが分かりきってるからそこさえ突きゃ簡単だよ。」


「そうなんですね。」


「まあ、万全なら斬れたんだけどな。変なもんもらっちまったよ…。」


 そんな風にこぼすフレア。その後に続いていると、やがてその街並みが見えてきた。活気づいたその街並みにはどこか鎧をまとった人物が多いように見える。


「あれが目的地だ。レイスって名前の街でダンジョンやらあの森が近いから冒険者達で成り立ってる。」


 そんな説明を聞き、その街へと帰ってくる。するとこちらを見てヒソヒソと話をする住人達。


「チッ…うざってぇな。」


 フレアがそんな風に呟く。聞こえてきた声は「あの孤高のフレアが誰かをつれている?」「邪竜退治に行ったときは1人だったのに…。」だとかそんなことを言っている。


『じゃ、邪竜退治?』


 そんなことを思いながらもフレアに案内されるがままその建物へと入っていくこととなった。

 扉を開け、受付の女の子がこちらを見る。すると彼女は目を丸くして叫んだ。


「フレアさん!!無事ですか!?」


「見りゃ分かるだろ。無事だよ。まあ最後しくじって呪いは食らっちまったけどな。まあ私のことはいいさ。特効薬あんだろ。こいつを観てやってくれ。」


 そう言って、ケイスケの方に視線を向ける。


「こ、この子は?」


「帰り道に助けてくれてな。ヘルライガー3体を一撃だ。腕は立つと思う。」


「ヘルライガー3体を…観てやってくれってことは冒険者としての登録ですか?」


「ああ。」


「まあ…フレアさんが見込むほどの人なら…。」


 そう言うと、その受付の子は一度カウンターに戻り書類を取り出して帰ってくる。


「じゃあまずは、ここに名前の記入を…それとあとは簡単な実技のテストがありますので…。」


「は、はい…。」


 実技のテスト。その言葉に少し動揺する。今まであの魔女の元で受けてきた実技のテスト。それはことごとく指1本で打ち消されてきた。そんな自分に、はたして何が出来るのか。そんなことを考えながらも、必要記入事項は埋める。


「じ、じゃあこれで」


「はい、承りました。じゃあちょっと、この子お借りしますね。フレアさん。」


「ああ。」


「じゃあ、こっちに試験場があるから。」


 そう言って、ギルドの裏手へと案内される。曰く、普段は訓練場として使用され武器の素振りや魔術の訓練の場として利用されると。


「それじゃ、試験官を呼んでくるのでちょっと待っていてくださいね。」


 そう言って彼女はその場を去る。訓練場には既に1人、人影があった。物腰柔らかそうな女性。年はケイスケとそう離れていないように思える。


「あなた…新入り?」


「え、ま、まぁ。」


「その装備なら…魔術師ね。」


「分かるんですか?」


「当然よ。まあ魔術師なら…。」


 そこまで言ってチラリと遠くの的を見る。


「このくらいはしないと。」


 そう言うと、指先に炎を灯しその的にめがけて投げる。見事それは的に命中し、それを破壊するに至った。


「今日、試験なのよね。私も見ててあげるわ。」


 その姿。ケイスケにはどこかあの魔女と重なるものがあった。さらっとこなす姿から、彼女もただ者ではない。それだけははっきり分かった。


「お待たせしました。本日の試験官のルイさんです。」


 連れてこられた好青年はにこやかに話しかける。


「君がケイスケ君だね。よろしく。じゃあ、あの的めがけて、好きな魔術を打ってくれる?」


「魔術…ですか…。」


「そう、魔術。」


『魔術…何一つ使えないんだけどな…どうしようかな。やっぱり僕には…いや、師匠に言われたんだ。死ぬほどの努力をしろって…。』


 思い浮かべたのはさっきの女性。彼女がやってたようにすればいい。魔法の基礎は叩き込まれている。なら、自分にも出来るはずだと奮い立たせる。

 そうして的に向き合い、魔力を回す。腕をつきだし、魔法陣を展開する。


「「ん?」」


『さっきの人も見てるんだ…師匠に一撃でも…食らわせれるようにならなきゃ!!』


 強く願う度に魔法陣は重なり、強固になる。


「「んん?」」


 そうして、その力を解放する。展開した魔法陣からは光の槍が現れる。バチバチと空間を弾く音が辺りに響く。


「堕ち─────!!」


 その腕を振り下ろそうとしたとき、声が響いた。


「そこまでよ。」


 それと共に、その魔法陣は稼働を止めた。声のする方を見るとさっきの女性が立っていた。


「あ、貴女は…シウさん…。」


 受付の女の子はそんなことをこぼす。


「彼の実力。今ので分かったでしょ?この試験はここまでよ。」


「そ、そんな…。」


 その声と共に、光の槍が消失。辺りに漂っていた緊張は解かれた。


「ま、まあそうですね。ケイスケさん。ロビーで待っていてもらえますか?」


「…はい。」


 渋々と言われたとおりにロビーへと戻ったケイスケ。対してその場に残った3人は話し合いをしていた。


「シウさん…あの子は…。」


「さっき訓練場でみかけて声をかけたのだけど…あれは想像以上ね。」


「シウ様、あれ、どんな魔術なんです?僕はあんなの見たことが…。」


「ああ、あれは魔術じゃないわよ。」


「「え?」」


「あれは魔法よ。」


「「え、ええ!!??」」

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