誰が呼び声にて来る者
戦闘経験皆無のアルフには、その早業を見きることなど出来なかった。
「…え?」
「厄介事だったな。」
「ですね。」
「ま、待って待って!私敵じゃないから!」
「だってよ。信じられるか?」
「少なくとも竜を召喚するような団体の言うことは聞けないですかね。」
「ち、違う!あれは暴徒化した信者であって私は断固として違う!!」
「証拠がねぇな。首跳ねられたいか?」
「駄目ですよ。殺したら。永遠ともとれるような無間の牢獄に閉じ込める方がいいです。」
双方リオンのことがあってか気が立っていたようで、そこに【竜の使徒】などと怪しい輩が首を突っ込んでしまった。結果がこれだ。
「わ、私…ナニモシテナイカラ…。」
「そうか…嘘をついているようじゃねぇな。」
「少し…話を聞きましょうか。ただ嘘の情報を流そうものならその時は…。」
ケイスケの言葉によりフレアの剣がより突き立つ。
「永遠に死の苦しみを味わうかもな。」
その後、2人の臨戦態勢は解除される。
「それで、竜の使徒が何のようだ。」
「そのベオル殿からは…。」
「なにも聞いてねぇ。行きゃわかるだとよ。」
『この2人…相性は最強と聞いていたけどこういうことか…扱いづらい。明らかに化物過ぎる。』
「わ、わかりました。ではことの顛末を─────。」
そうして、アルフは現状と【人魔の黄昏】について話し始めた。
「暴徒化した竜の使徒の信者…人魔の黄昏…完全に面倒事じゃねぇか。」
「でもこれ…本当なら無視できない案件じゃないですか?」
「んまあ、そうだけどよ…どうせギルマスから請け負った仕事だしな…テメェが本人だってなら私たちもやるしかないわけだ。」
「まあ、そうなりますね。」
ケイスケ達のその反応を見て、アルフは少し安堵する。
「な、ならこの件、協力していただけますか?」
「ああ、やるしかないからな。」
「やることは…暴徒化した竜の使徒の鎮圧。それと人魔の黄昏の解体。それでいいですか?」
「…はい。お願いいたします。」
そういうと、アルフは頭を下げた。
「ならまずは、人魔の黄昏の方ですね。」
「そうだな。どうする?」
「ムスカスみたいなのがいたら厄介ですからね…捕虜の2人…いましたよね?」
「ああ、脅しか。いや、ムスカス見てたろ?あいつ仲間殺してたぜ?」
「あぁ、駄目か…まあ、まだ使えるかもしれません。」
「そうだな。」
「あ、あの…一応さっき規模言いましたよね?魔族と亜人が数百人単位ですよ?お二人がいくら強いからって流石に数が…。」
「あ?たかだか塵が数百集まったところで塵は塵だろ。埃にもなんねぇ。」
「え…えぇとぉ…ケイスケさんはことの重大さ、わかっていただけますよね?」
「その軍勢で落ちてくる星を止めることが出来るのであれば、その時点で僕たちは敗けですね。」
「生物である以上止めれるわけ無いでしょ!?」
「そうですか。じゃ行きましょう。」
『あぁ…駄目だぁ…この人達感覚がおかしい…なんでよりにもよってこんな2人をベオル殿は…。』
「そんで、その人魔の黄昏のアジトは?」
「の、乗り込むんですか!?」
「じゃないとどうやって戦うんだよ。」
息をついて、アルフは渋々と話し始める。
「…壁の山を越えた先…ディファム王国が拠点みたいです。」
「ディファム王国ねぇ…。」
「フレアさん、行ったことあるんです?」
「いや、無い。だけどたしかシウがそこの出身って聞いてな。案内役に連れて行くのもありなんじゃないかと思ってな。」
「確かに…少しでも地理感覚ある人の方がいいですね。それに、いざとなれば戦える…。」
「じゃあ、ギルドの方に寄るか。」
「そうしましょう。」
そうして、ギルドに向かう道中。アルフは不安であった。出会った2人は最強と言えどあまりにも感覚が飛びすぎている。こんな2人に任せても大丈夫なのだろうかと心底動揺していた。そもそも、アルフは直に2人の戦闘を見たわけではない。最強の力がどれ程なのかもよくわかっていない。そんな不安からかため息をついたそのときだった。不意に、妙な気配を感じ取った。
「魔力の揺らぎ…。」
口にしたのはケイスケだった。
「どこだ?」
臨戦態勢に入るフレア。
「お二人とも…これは…。」
アルフはこれを何度か目にしていた。暴徒化した彼らが引き起こす災害。だがそれは街中で引き起こされることなどいままでなかった。
「…竜が来ます。」
アルフが呟いた瞬間、魔力が空を馳せた。それは、頭上からやってくる。影が空を覆う。翼を広げた巨体は、ケイスケとフレアの前に現れるのだった。
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