客人
二章、始めます
リオン救出から1週間が経ったその日、ギルドマスターであるベオルはまさかの客人に頭を悩ませていた。悩みの発端は3日前に届いた一通の手紙である。救援要請ともとれる内容が綴られたその文末には【竜の使徒 司教 アルフ・ニール】と記されていた。
『これまで目立った動きを見せなかった竜の使徒…いったいどういうつもりなのだろうか…。』
書斎で1人考える。なんでも、竜の使徒は現在統率の取れない状況下にあるらしく、一部暴徒化しているそうだ。そのため、ギルドからの協力を仰ぎたいとのこと。3日後の今日返事を聞きにアルフ本人がここを訪れるとそう記されてあった。
『プレッシャーのかけ方が上手い輩だ。相当後がないように思える…どれ程酷いのか…。』
そう思案していたとき、その扉が鳴った。
「失礼します。エリファです。アルフ様がお見えになられました。」
「わかった…行こう。」
そう言って、ベオルは席を立つ。ギルドのフロントには見かけない青年が1人立っていた。直感する。あれがアルフなのだと。
「貴殿がベオル殿で?」
まっすぐな目に偽りは無いように思える。
「ああ。アルフ・ニール司教で間違い無かったですかな?」
「ええ。さて、早速ですが手紙の方は読んでいただけましたか?」
「ああ、にわかには信じがたい内容であったがな。」
「警戒されるのも無理はないでしょうね。話は聞いております。謎の集団からの襲撃を受けたとか。しかし、我々としてもその集団、少しばかり心当たりがあるのです。少し…ここでは話しづらいのですがね。」
「心当たり…わかった。俺の部屋はこちらだ。案内しよう。」
「はい。」
なにかを察したように、ベオルは彼を書斎へと招き入れた。
「早速だが聞かせていただこう。心当たりと言うのは?」
「ここを襲撃した人物。それは仮面をつけた集団と聞いております。」
「ほう。」
「そして我らが竜の使徒にある噂を流したのも、出所をたどればその仮面をつけた男にたどり着いたのです。」
「それがここを襲った集団であると言う確証は?」
「…ムスカス…その名前でどうでしょう?」
「………わかった。情報は信頼しよう。」
「なかなか手厳しいですね。」
「ここ最近、竜の出現が多発しているからな。」
「まあ仕方ないことです。彼ら夢を見せられた暴徒は我々の言葉など聞きませんから。尚且つ…今や彼らの方が戦力は上。最悪、命と引き換えに竜を召喚するような輩です。以前も壁の山で唆されたものが竜を召喚したらしいですからね。」
「まさかだが…あの時いつの間にか張り出されていた竜の討伐依頼は…。」
「ええ、私です。何せ緊急でしたから、そこら中回りましたよ。まあ結局…唆した本人が討伐したみたいですけど。」
「ムスカス達について…どこまで知っている?」
「私が調べたかぎり集団の名前と所属するもの達の特徴でしょうか…【人魔の黄昏】それが奴らの名です。そして彼らは全員、亜人と魔族で構成されています。」
「亜人と魔族だと!?規模は!!」
「数百人規模です…ですが人間のそれとは訳が違います。亜人と魔族がそれだけ集まれば人の都市など容易いでしょう。」
「そこに加え…現在は暴徒化した竜の使徒と来たか…。」
「そうなります。」
「最悪と言っていいな…と、言うかなぜその事を手紙に書かなかった?」
「いやぁ…我々も警戒されている身なので信じては頂けないだろうなと。」
「はあ…そういうことか…しかし、こうなってしまえばもうギルドは首を突っ込まざるをえなくなった。2人寄越そう。それでどうにかなる筈だ。」
「2人?た、たった2人ですか!?」
「まあ心配はするな。どんな魔族よりも、どんな亜人よりも強い奴らだ。相性は最強だから気にするな。」
「は、はぁ…。」
そうして、2人の会談は終了した。翌日のことである。フレアとケイスケはベオルに言われ、レイスの市街地にて待機していた。
「行けばわかると言われたけれど…なんなんですかね?」
「さあ?また厄介事じゃないと良いけどな。」
「ああ…でもありそうですね。」
「ったく。困ったらこっちに投げるのは勘弁して欲しいってのによ。」
「この先、こういうこと増えるんですかね。」
「うわぁ、超嫌だ。」
そんな会話をしていると、その青年が2人に声をかけた。
「あ、フレアさんとケイスケさんでよろしかったでしょうか?」
「あ?そうだけど?」
「私竜の使徒のアルフと─────。」
そこまで口にしたとき、フレアの剣はアルフの喉に突きつけられ、ケイスケの魔法陣はアルフの周囲を囲ったのだった。
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