救いに
─────レイスの城壁。ケイスケを見送った2人は続けて尋問を行っていた。だが、すっかり心が折れたらしく、その魔族はすぐに目的を吐いた。
「竜人の…作成?」
そうこぼしたのはフレアであった。
「竜人って言ったら…おとぎ話とかに出てくる最強の種族だろう?そんなもの、造れるとは到底思えないんだが?」
疑問を呈したのはネリウムである。竜人。それはこの世界の各地で語られる伝説の存在。亜人の1種であろうというのは予想されているが、実際の目撃情報は無い。大抵、伝承に残っているものだけであり、その強さは1人で大陸と戦ったとも神に背き、故に世界の陸が分断されたのだとも伝えられている。
そんなおとぎ話の存在。人知を超越した存在。それを人の手で作ることなど可能なのか?という疑問は至極全うなものであった。
「出来るだろうさ…ムスカス様ならな…。」
「そのための実験材料がリオンだった…と。」
ネリウムは質問を続ける。
「ああ。あれは魔物との適合性が高かったからな。」
「魔物との適合性だと?」
「俺達魔族には魔力の流れが見えている。魔物の魔力の流れと人の魔力の流れはやっぱり違うだろ?だが、どこか同じように流れている奴もたまにいる。それがあれだっただけだ。」
「…そうか。仮に竜人を造れたとしてなんになる?何をする気なんだ?」
「さあ?そこまでは知らされちゃいねぇ。ただ、より完璧な存在にって話は聞いたよ。」
「より…完璧に。」
「さあ、知ってることは全部吐いた…これで解放されるんだろう?」
「ま、全部が終わった後だろうがな。」
「はは…そうかよ。あぁ…ムスカス様にであってあれ以上に怖い存在なんて無いって思っていたが…それ以上がいるとはな。」
「安心しろ。あれに関してはあいつが異常だ。」
そう答えたのはフレアだった。
「じゃねぇと困るよ。」
そんな軽口を叩いていると、その男は帰ってくる。うつむきぎみに、ただ、静かに。
「帰ったか。ケイスケ。」
「頭は冷えたか?」
「…まだ、わかんないですけど…ともかくは落ち着きました。フレアさん。コイツらの目的は?」
「さあ?変なカルトとでも思って貰えればそれでいいさ。」
「…突っ込んだ方が速いってことですか?」
「んま、そうなる。」
「場所は針葉樹林のダンジョン…。」
「行くか?」
「行きますよ…リオンさんを助けに。」
「ああ。」
そう言うと、フレアは剣を担ぐ。
「私も、行こうじゃないか。」
ネリウムも声を上げる。
『まだ、自分がどのくらい役に立てるのかはわからない。わからないけど…それでも、今は2人が居てくれる。だから…自分も頑張らなくちゃいけない。答えを知るために。もっと強くなるために。』
「飛びますよ。速い方がいい。」
「了解だ。身体強化頼むぜ?」
「え、また私フレアに乗るのか…?」
「今のところ、それが一番速いです。」
「決まりだな。」
そう言うと、3人はその牢屋から出ていく。その後ろ姿を眺めながら男は思う。コイツらは無類の化物だと。恐れを知らぬ者達だと。
「あ…あぁ…。」
今の今まで伸びていた男が目を覚ました。
「…おまえまさか…話したのか…!?」
尋問を受けていた男は返事をする。
「まあ…な。」
「てめぇなんてことを!?」
「冷静に考えてみろよ…勝てねぇって。情報があろうとなかろうと無理に決まってるだろ?」
「そ、そうはいってもだろう!?情報があるのと無いのとじゃあ有利不利が変わってくる。違うか!?」
「………おまえは何を勘違いしてるんだ?負けるのは俺達の方だ。」
「な、なにいってんだよ…そんなわけ…こっちには亜人の軍だっているんだぞ!?」
「なら、その亜人の軍で邪竜を止めれる…いや、殺せるのか?」
「それは…。」
「無理なんだよ…竜人がいようとなんだろうと。神でもない限り、あれは止まらない。だって…あいつが使ってたのは魔法だぜ?無理無理…原初の英雄クラスのやつなんて相手にできっこねぇよ。」
「原初の英雄クラス…本当にそんなものに匹敵するとでも…?」
「するだろ。でなきゃ涼しい顔して魔法なんて使えねぇ。」
「ば…馬鹿げてるだろ…。」
この作品を読んでいただきありがとうございます!
よろしければ、評価、ブックマーク登録していただけると執筆の励みになります!また次回もよろしくお願いします!!




