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出来損ないは無自覚に異世界を無双する  作者: 烏の人
出来損ない共
27/43

うるさく鳴る

 ─────少し話は遡る。フレア、ケイスケの戦闘中、リオンは姿を消しその場から逃げ去っていた。消音と周囲の気配探知に集中し、万が一を考える。ケイスケ達が足止めをしてくれているが、それでもどこか胸騒ぎがした。そうしてその予感は的中してしまうこととなる。

 わかっていたかのように、リオンの目の前にその男は現れた。リオンにとっては二度目である。細身だが、その威圧感は凄まじい。


「対策して無いとでも思っているのか?」


 男はそれだけ言うと、ナイフを逆手に持ち、構えた。


『バレている…それでも逃げなきゃ…!』


 足を1歩踏み出す。それに合わせて男の視線も動いた。走り出してから思考は追い付く。男はこちらを視認することができている。それこそ、ケイスケの気配探知のようなことができるのだろう。


「逃がすかよ。」


 男もまた踏み込む。初撃は人のそれとは思えないほど鋭い。なんとかそれを躱す。


「へぇ、やるねぇ。」


 それだけぼやくと、男は即座に蹴りを放つ。その一撃は、リオンの腹部へとクリーンヒットした。


「かはっ…!」


 その一撃で視界が揺らぐ。初めて喰らったまともなダメージ。完全に姿は見えていないからと油断していた。もはや、その姿を消す術さえ解除されている。

 後ろへと、何歩かよろめく。だが、思考の切り替えは早かった。即座にリオンもナイフを構える。


「そう…切れるの?君に。」


 そう挑発する仮面の男。だが、リオンは一言も発さない。


「まあ、どうでもいいよ。君は回収しなきゃだから。」


 そう言うとまた踏み込む。そうして振るわれたナイフを、今度は弾く。金属同士のぶつかり合う音が静かな暗闇に響いた。まさか、自分の一撃が弾かれるとは思っていなかったのか、その男は一瞬たじろぐ。だが、すぐさま次の攻撃を仕掛けてきた。一撃、また一撃。それを素直にリオンは弾いていく。


「どうやら…なかなか鍛えられてるようだな。」


「…。」


 リオンの師匠、ネリウムに比べればそいつの速度は取るに足らないものだ。手数も圧倒的にネリウムの方が多い。だからこそ、その攻撃を見切るのは容易かった。

 だが、現在は防戦一方。じり貧である。このままではいつか限界が来る。それはリオンも理解していることだ。


『どうにか…しないと…!』


 その一心で放った攻撃は、容易く受け止められる。


「よほど余裕がないと見て取れるな。」


「…。」


 やはり、リオンはその性質上シーフの戦術が主になる。とどのつまりこのような真向勝負には向いていないのだ。ネリウムもそれは理解していた。だから、万が一見つかったときの防御手段は教えていたが自ら攻撃を仕掛けるのは想定の範囲外。制圧方法さえままならない現状。


「んまあ、亜人のでき損ないにしちゃ良くできてる。」


 そうして、また一撃、男は仕掛けてくる。今までとは比にならないほどの威力。受け止めきれず、そのナイフごと後方に弾かれる。


「まだ、君は実験に付き合ってもらわなきゃならないんだ。」


 大降りの一撃。普段なら確実に弾ける。だが、その防御手段であったナイフは今や暗闇の中。身をのけ反らせそれを避けた。


「おとなしく捕まりゃ楽なのにさぁ。そんなに執着する理由なに?家族だって君を売ったんだからさ?」


 その言葉を聞いたとたん、リオンの動きは止まった。


「…どう言うこと…?」


 初めて、その男に口を開いた。


「あれ?君知らないの?あんだけドタバタしてさ、誰も気がつかないわけ無いじゃんか。何で僕らが君狙ったかわかってる?」


 その先の言葉を聞きたくはなかった。誰でもよかった。なのにどうしてリオンが選ばれたのか。心臓がうるさく鳴る。呼吸が乱れる。目が眩む。


「要はあれだよね。邪魔だったんだよ。君ってさ。両親から話は聞いてるよ。お姉さん、君のせいで死んだんだってねぇ。優秀だった、君のお姉さん。」

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