竜の使徒
「竜が…殺されている…?」
フレアが呟いた。竜は腹部に大きな損傷を追い、鱗は剥がされていた。
「先客だろうな。色々剥がされてるあたり、他にも依頼を受けた奴がいたんだろう。」
淡々とネリウムはそう語る。
「…そんなことってあるんですかね。」
「それはどういう?」
「そもそも、依頼なんてそう何ヵ所も出すものなんです?今回だってネリウムさんとフレアさんが同時にこの依頼を受けた。この依頼…僕らがいたギルドだと昨日は貼り出されてませんでした。つまり、昨晩から今朝のうちにギルドに登録された依頼です。」
「私が竜の話を聞いたのも今朝のことだったな…。」
「それ、誰から聞いたかとか覚えてますか?」
「あぁ…いや、顔を隠していたからよくは見えなかったな。」
ケイスケの頭の中には先程であった人物が浮かぶ。
「ともかく…この依頼を出した人物は一刻も早くこの竜を討伐してほしかった。理由は…わかりませんが…。」
「竜の使徒…。」
フレアが呟く。
「竜の使徒?何ですか?それ?」
「竜を信仰してる宗教団体だ。ただ、信仰だけならいいんだがな…根も葉もない噂を信じて竜を召喚しようとする輩もいるらしい。」
「竜を召喚だと?」
「そんなこと出きるんですか?」
「まあ、不可能ではない。それに疑う理由もそれなりにある。ここ最近、変に竜の目撃が増えてたんだ。」
「しかし、なんでまた急に竜の召喚なんて…。」
「さっき言ってた、噂の影響ですか?」
「ああ、何でも竜の召喚に成功したのなら未来永劫の繁栄が約束されるとかなんとか。まあ、きちんと知識がある奴は馬鹿らしいって思えるけど…中にはそうじゃねぇ奴もいる。」
「そんな人…本当にいるんですか?」
「とっぴもねぇ奴も居るんだよ。ほら、この世界の情報は統制されてて実は200年前に世界が滅んでるとか叫んでる奴もいるわけだし。」
「そ、そうなんですね。」
『なんか…前世でもそう言う人達居たなぁ。』
「そう言うわけだ。ま、人がなんか信仰する分にはいいとは思うんだが…被害がでてる事例もある。今回の件はギルドへ報告しないとな。」
「そうですね。この竜はどうします?」
「どうするもなにもなぁ…討伐したのは私らじゃないから放置でもいいだろ。」
「わかりました。」
「しかし骨折り損だったな。まさか先を越されてたとは…。」
そんな会話をしているとネリウムが割ってはいる。
「今日はどうするんだ?さすがに、あの速度でも帰るのには時間がかかるだろう。」
「この辺で野宿するしかないだろうな…。」
「この辺でって言ったって…食料は?」
「あれがあるだろう?」
そう言って、フレアが指差したのは竜の死体だった。
「ケイスケ、あいつは正気なのか?」
「…たぶん。」
「要は血にさわらなきゃいいんだ。できるだろ?ケイスケ。」
「ぼ、僕ですか!?」
「うちのパーティのサポーターはお前しかいないだろ。」
「…ケイスケ…。」
そう言って諦めたようにネリウムはケイスケの肩に手を置いた。
「まあ…やってはみますけど…。」
「おう、頼んだ。」
そうしてケイスケは目を瞑る。
『さて、まずどうするか…血抜きが優先だな。』
「あれは何を?」
「さあ?魔法でも創ってるんじゃないか?」
「え…魔法って創れるのか?」
「本人にしかわかんねぇよ。」
『血抜き…血抜き…浮かせるのはたぶん爆散するからアウト。地形の方を弄るか…いや、だったとて腹部をかっ捌かれたこの死体だと難しい…そもそも、竜を食べるって発想がおかしいんだろうな。』
「よし…。」
「お、どうするんだ?」
おもむろにケイスケは前面に手をつき出す。するとそれに呼応し、竜の上空には魔法陣が生成される。
「落ちろ。」
たったの一言であった。次の瞬間、空から降ってきたのは光の刃。ギロチンのごとく竜の頭を切り落とす。
「えぇ…。」
ドン引きしているネリウムを他所にケイスケは仕事を続ける。
「まあ…ずっと魔力消費するよりかはマシだもんな。」
すると今度は一言もはっさず、地面を隆起させる。ちょうど竜の下顎部分を貫き、そのまま上方へと持ち上げる。
「じゃ、しばらく待ってて下さい。」
「嘘ぉ…。」
ネリウムのそんな声が響くのだった。
遅くなってしまいもうしわけねぇです。一章までは構想できてるんで書き続ける予定ですけどちょっと時間食っちまいました。できればまた投稿頻度戻したいんですけどね…まあ、また次回!
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