すれ違い
その後、事情を聞いたエリファはそのことをギルドマスターへと相談。至急、3人での話し合いとなった。
「とりあえず、エリファから話は聞いた。あいつ自身はまだ目を覚ましてねぇからな…とりあえずケイスケ、あんたの言葉は信用してるさ。しかし…人攫いをしていた冒険者ってのは穏やかじゃない話だ。」
「ケイスケさんのお話の中で手がかりになりそうなワードと言えば…仮面を着けた四人組…それと、赤髪の女剣士…そんな冒険者いましたかね?」
「いや、このギルドには少なくとも現在そんなやつらは居ない。赤髪の女剣士に関しても、フレアだけはないだろう。確かに気性は荒いが人攫いに手を出すほど困っちゃいねぇだろ。それに、基本、あいつの活動はソロだ。あいつと組める奴は…いや、いいか。」
ケイスケをチラリと見て無理に話を断つ。それに対し、ケイスケは疑問符だけを返したがそれ以降は、「組める奴」についてなにも聞かなかった。
「まあ、なんにしてもあいつが目覚めたらお前に取り合ってやる。だがこの人攫いに関してはちょっと操作を進めていかないと駄目だな。明確な被害が出てる。ケイスケ、彼らとコンタクトをとることは?」
「可能です。」
「そうか。今回の事件色々と調べていかなければならないことが山ほどある。ともかく、今は情報収集だな。あとは…フレアだが…あいつに限ってなにもないとは思うが…。」
「なにか問題でも?」
そう聞いたのはケイスケだった。
「いやぁ…ちょっと不穏な輩の目撃情報があってな。」
「不穏な輩?」
「ああ、気味の悪い亜人の目撃情報だよ。もし出くわして…それで戦闘にでもなればフレアじゃ勝ち目は薄い。」
「そ、そんな人間いるんですか!?」
「人間ってかまあ…亜人だから人ではあるんだが…根本的に化物と思ってもらって構わない。確かにフレアとあれじゃ力はフレアの方が何倍も強いだろう。だけどあれは手の数が多すぎる。まあ、フレアもうまいこと回避してくれればありがたいんだが…。」
「…あの人そんな器用なことできるんです?」
「できると思うか?」
「………ちょっと出てきます。」
「おう、行ってこい。」
そうしてその部屋を後にするケイスケ。
「何て言うか…何だかんだ心配なんですね。」
「みたいだな。今朝方喧嘩してたときいていたが…まあ、そう言う年頃なんだろ。」
「…なんか企んでますね?」
「…いいや。特になにも。」
─────同時刻。フレアは件の山までの道中にいた。
「はあ、噂には聞いたことがあったが…。」
すでに、それと対峙していた。フレアの目の前の少女、長く白を基調に赤の混じった髪をしている。肌は白く瞳は赤い。軽装でありワンピース一枚。おおよそそれが、「不穏な輩」とは思えなかった。
「あんたが最強の傭兵ってか?」
「先に質問に答えて?あなた、人攫いをした経験は…?」
「無いね。そんなもん。」
「そう。ならいいの。」
余裕そうな瞳。それがフレアを射貫く。
「それで、今度はこっちが聞かせてくれ。あんたが最強の傭兵、ネリウムであってるか?」
「ええ、あってるわ。私がネリウム・ストロファントス。最強の傭兵って肩書きはちょっと癪だけど…概ね事実よ。」
髪をなびかせ、彼女は言う。
「なんであんたみたいなのがここにいるんだよ?」
「竜退治…そう言うあんたもそうでしょ?」
「そうだが…そんな軽装でか?」
「それをいったらあんただって随分と軽装ね。」
2人の間に緊張が走る。刹那2人の姿は消えた。次の瞬間激しいぶつかり合い。
「…この馬鹿力…赤髪…そう、あなたがフレアね…。」
その剣を受け止めていたのは、彼女の髪であった。正確に言えばそれは触手。硬く、しなやかでフレアの剣に劣らない武器。
「今の…反応するかよ。」
次の瞬間、フレアの真正面に突き刺さってきたのはその触手であった。
「チッ…手数が多い…。」
「避けれるんだ。これ。」
1度、お互いに距離をとる。
「さすが…最強って言われるだけあるな。」
「あなたこそ、話に聞くだけある。」
次の瞬間、ネリウムはその触手を鞭のように扱い仕掛けてくる。2本程度ならまだしも、その数は6本。剣1本で捌ききるのがやっとだ。
「いいねぇ…そのレンジと手数…私も欲しいよ。」
軽口を叩きながら一瞬で懐に詰め入る。
「速いが…お前、死にたいのか?」
その剣は首筋を捉えることはなく、しっかりとガードされている。どころか、喉元には触手を突き立てられていた。
「その柔肌程度なら、私の手で容易く切り裂ける。少しでも動けばその喉に穴が空くと思え。まあ、そこまで切り裂く必要もないが。」
「…勝てねぇか…。」
「勝つ気でいるの?」
「いや、ただ知りたかっただけだ。最強の傭兵ってのがどのくらいなんか。」
そう言うとフレアはその剣を収めた。
「あなたも、生身にしてはなかなかやるようね。」
「いやあ、まだまだだ。あんたにも結局一太刀も喰らわせられなかった。」
「それは仕方の無いことじゃない?相性が悪いのよ。私とあなたは。純粋な力勝負なら私は負けてるわ。」
「そうは言われてもなぁ…まあいいか。さて、すまないな。いろいろと。私はもう行くが、あんたはどうするんだ?」
「竜退治ねぇ…これだけ強いならあなたに譲ろうかしら。」
「そうか、来てくれると助かるんだが…。」
「あら、意外。てっきり1人でやるからついてくるなって言うと思ってたんだけど。」
「まあ、色々あってな。2人の方が万が一の時に役立つ。」
「そう。わかったわ。」
そうしてその2人は竜退治に赴くのだった。
─────2人の交戦地点からレイス方面へ約2キロ。そこにはすでにケイスケの姿があった。空を飛べばこのくらいは追い付けると言うことだ。だが、思いもよらぬ足止めを喰らっていた。
「空を飛ぶ魔術…いや、魔法だね?」
「…僕、急いでるんですけど。」
「いやはやすまないね。だけど少し気になる臭いがしたもので。」
ケイスケの目の前にいたのはいかにも怪しげな男であった。フードを被り顔は特徴的な仮面で隠されている。
「気になる臭い…。」
「ああ、下らん爬虫類どもの臭いだよ。」
その言葉に、ケイスケは臨戦態勢へと入るのだった。
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