赤髪の女剣士
「てめぇ無理ってなんだよ!!」
「無理なものは無理です!体への負担が大きすぎます!」
「いやいや、昨日なんともなかったろ!?てか、たかだか身体強化程度で負担なんてかかるわけねぇだろ!」
「だってシウさんが四肢が引きちぎれるくらいの痛みだって…。」
「それは単にお前が下手なだけだろ!うまくやれよ!」
「だからできないって言ってるじゃないですか!」
「やる前からできないだのなんだの言ってんじゃねぇ!やるんだよ!!」
「リスク回避するのは大事でしょう!!」
「だあもう、わからずやが!!私が構わねぇって言ってんだよ!さっさとやれ!!」
「危ないって言ってるでしょ!聞く耳無いんですか!?」
「はぁ…もういい!独りで行く!!」
「そうですか!ならどうぞお一人で頑張ってください!!」
そんな言いあいをする2人だが、回りの空気はヒリついていた。何せ、あのフレアにここまでの喧嘩口調を吹っ掛けているのだ。これから何が起こるのかわかったものではない。仮に、この場でフレアが暴れようものならそれを止められる存在は居ないだろう。それこそ、ケイスケを除いては。
結局、フレアの方は1人で竜の討伐に行ってしまった。対するケイスケであるが、適当な薬草採取の依頼を受けることにした。フレアが行った山とは反対の方向にある山頂付近の花畑に自生している薬草であった。
『昨日越えた山だし、このくらいなら僕でも大丈夫…。』
そうして、それぞれ目的地へと向かって出発したのだった。
ケイスケが目的地に到着したのはその日のお昼のことであった。薬草の採取もそこそこに、自身の付与魔法について考える。
「うまくやれればそれが一番いいんだけどな…。」
そんなことを呟き、ものは試しに落ちている小石を浮遊させてみようと試みる。だが、結果は今までと同じ。少し浮いたと思ったらすぐに砕け散ってしまった。
「はあ…やっぱり僕ってまだまだだな…。」
ケイスケの身体強化魔法はシウの見せたそれよりも直接的なものだった。通常であれば、身体強化というのはただ自分の動きを補助するだけの魔術。だが、ケイスケのそれは肉体に魔法を宿すものであった。言ってしまえば、一挙手一投足その全てが魔法と同じ扱い。無論、運動機能、回復機能、耐久力等は身体強化魔術の比にならない程に強化されるがその分、その肉体にかかるダメージも凄まじい。
『フレアさんには迷惑かけたく無いもんな…。』
そんなことを思いながら、薬草採取へと戻る。見渡す限り見通しのいい花畑。ケイスケ以外には誰も居ない。
「…居る。」
先日戦ったあれと似た気配。それを不意にケイスケは感じ取った。だが、今回は1人ではない。
「5…10…15…18か…。」
数は多いが逃げるくらいならどうにでもなる。だが、不思議と逃げようとは思えなかった。
『このくらい、独りでどうにかしなきゃ…。』
「ヴゥッ!!」
振り下ろされたこん棒に的確に障壁を張る。すぐさまケイスケは戦闘態勢に入った。
『姿が見えない分ペースに飲まれるとまずい。』
そう考え、相手の中にある魔力を感じ取る。
『あとは…殺さない…!!』
指を下に振り下ろした。それはシウにも使用した重力魔法。その局所的なものであり動きを封じるには持って来いのものだった。
不意に襲いかかる圧力にその場に居たそれらは完全に姿を表す。性別は様々。さらには年齢まで違うように思える。だが一貫して、体の至るところに爬虫類の鱗ような特徴が見てとれる。
「か…カエ…セ…。」
「し、しゃべった…?」
やはり、それらにはきちんとした意思があった。声帯が少し特殊ならしく響きが濁っているが確かにそう言った。1人がその言葉を発したのに続き皆が「カエセ」と言う言葉を発する。
「いったい…何を返して欲しい…?」
「…な…ナカマ…。」
仲間。そう聞き取れた。
「あれは…彼女は同胞なのか?」
「ソウ…ダ…。」
それなりに意志疎通ができると判断しケイスケは重力魔法を解く。代わりに彼ら全員に束縛魔法を施した。
「僕からは手出ししない…だけど…信頼しきれてるわけでもない…知っていることを話してもらえるか?」
こん棒を持ち、襲ってきた個体とケイスケは会話を試みた。
「オレタチ…ハ…モトモト、ニンゲン…ダッタ。」
「人間だった!?そ、それどういうことです!?」
「アルヒ…オレタチハ、ツレサラレタ。キガツケバ、クライ…オリノナカダッタ。ソコデオレタチハ…オレタチハ………。」
目の前のそれは項垂れる。
「だ、大丈夫ですか…?」
「スマナイ…スコシ、キガドウテンシテイタ…オレタチハカイゾウジッケンヲウケタ。マモノトニンゲンノユウゴウ…ソレデウマレタノガ、オレタチ…。」
「と、ともかく…事情はわかりました…彼女に関しては今は街のギルドで保護されてます。決して手荒には扱いません。」
「ア、アァ。」
「でも…なんで彼女は僕たちを?」
「ソレハ…オレタチヲサラッタノガ、ボウケンシャダッタカラダ。」
「え…。」
言葉につまる。
「トクニ…アイツヲ…サラッタノガアカガミノ、オンナケンシ…キミノナカマニヨクニテイタカラ…ダカラダロウナ。」
そう説明はされたが、ケイスケの頭の中は整理されていなかった。冒険者が人攫いをしていた。何処の誰かもわからないがそう言う依頼が張り出されていたのか、はたまた個人的ななにかだったのか。何より、赤髪の女剣士。よりにもよってフレアと同じ特徴。それが少し引っ掛かった。謎は深まったがそれと同時にケイスケの中に灯った感情があった。
「…そいつらの他の特徴って…わかります?」
「エ…ア、アァ…カメンヲカブッタ、ヨニングミダッタ。」
「仮面を被った四人組ですね…わかりました。」
「ナ、ナニヲスルキデ?」
「いや、覚えておこうと思って…。」
笑顔にそう返した。その後、ケイスケは彼らを解放。現在、ギルドに囚われている彼女もいずれ連れてくると約束した。
日が沈む前にはケイスケはギルドへと帰ってきていた。
「戻りました。エリファさん。」
「あ、あらお帰り。」
「これ、薬草です。それと例の彼女の件でお話が。」
そうして、ケイスケは今日あった出来事をエリファに伝えるのだった。
どもどもしばらくぶりです。インフルエンザによりマジ死にかけてました。んてことで再開していきます!できる限り毎日投稿続けるのでよろしければ、評価、ブックマーク登録していただけると執筆の励みになります!また次回もよろしくお願いします!!




