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今日も無難に生きる  作者: 山芋
新しい世界の日常
7/28

警備


 警備前日、東京ドームにて警備の説明を聞くために会議室に集まっていた。


「本日の依頼を受けて下さりありがとうございます。本日の警備責任者を務めます斉田紅葉です。普段はジーニアイのマネージャーをしておりますが、ツアー中は警備を担当しております」


「今回の代表をしています佐々木拳と申します。ご依頼ありがとうございます」


 代表の二人が握手すると今後の流れについてのミーティングが始まった。


「まずは事前に通達した通り、警備対象のジーニアイ付近の警備は専属の護衛である後ろの三人が担当します」


 後ろには仮面を被った三人が立っていた。おそらくチームを組んだ人たちだろう。


「三人とも第二級ですので、皆様は警備対象自体の心配は無用です。その代わりに外部からの危険人物や不審人物への警戒を注視してやっていただきたいと思います。数で来られると流石に守りながらの護衛は大変です。ですので、例え上手く入られたとしても出来るだけ侵入者を減らすことが大切です」


 そこまで言い切ると、スクリーンに警備配置が示された。事前資料とは少し変化したりしている。


「警備場所が都合上変化しましたので、改めて配置の説明と仕事内容を説明します」


 幸い私の配置場所は相変わらずの1人だ。


「ーーーとなります。次に関係者入り口です。ここは事前の通り警備の優先順位は比較的比較なっています。しかし、だからこそ気を引き締めて警備をお願いします。関係者には事前に合言葉がそれぞれ決まっています。専用のファイルがありますので後ほどお渡しします。質問はありますか?」


「ドアの開け閉めが主な仕事ですが?」


「基本的にはそうなると予想されます。ファイルに記載されている人物はそこまで多くはありませんので、正確な確認を急いでやる必要はありません」


「了解しました」


「関係者はイベント開始前に入場するので、イベント開始後は暇になると思いますが警備の方よろしくお願いします。次にーーー」


 合言葉か……、なんだかワクワクするな。あとでしっかり読むか。


 ミーティングは2時間ほどで終わり、各自が警備場所と仕事内容の確認をしに行った。私は仕事がシンプルだからと斉田さんが案内してくれた。


 そこは小さなモニターと椅子が置かれた小さなスペースの隣に扉があった。


「こちらで基本的に待機をお願いします。テレビはライブの様子を確認することができますので、仕事が終わった後はゆっくりライブを楽しんで下さい。他の場所よりも退屈だとは思いますが、最初は他よりも重要な仕事です。明日はよろしくお願いします」


「こちらこそ気を引き締めて取り組みたいと思います。ライブを見たいので」


「ふふっ、はい、お願いします。こちらが仕事のファイルです。紛失しないようお願いします」


「了解しました」


「では、失礼します」


 そう言って、斉田さんは他の現場の確認に行った。


 それぞれの仕事の確認が済んだら各自解散だが、折角なので色々見て回るか。


 テレビをつけてみると、周辺の監視カメラと扉の前のカメラを映せた。ズームもできるようで便利だな。


「おお、ライブはこれで見るのか。蔡恩さんと門崎さんの集団もいるじゃん。成林の野郎、緊張してやがる」


 しばらく見ていたが、特に面白くなかったので周辺のカメラを確認した。周辺と言っても、扉の外側とライブ会場をある程度見れるだけだが。


 扉の向こうは地下駐車場で、その入り口より離れた場所まで映せる。警備室みたいだな。


「お?」


 今は入り口はシャッターが閉まっている。当日はここに元々いる警備員が立つらしいが、見るからな怪しげな奴がいるな。


 浮浪者を小綺麗にした風貌で長身の男がコソコソ何かやってんな。………様子見だな。


 ……スマホいじってもバレないかな?







「よ!」


「よう」


 警備の下準備は終わって成林と合流した。


「この後どっか食べに行こうぜ〜」


「いいよ〜」


「「うぃぃい〜〜」」


「肉かな」


「あり」


 よく行く肉がうまく安い店に着いた。いつもは素材持ち込みを良くするが、今回は手持ちは無いので普通に注文した。


「成林は今日どんな感じだった?」


「天国」


「安らかに眠れ」


「おい!勝手に殺すな。あの三傑の内2人と会話できたんだぜ!」


「おぉ〜、有名人じゃん。サイン貰ったの?」


「流石に仕事中だからな。終わる時に交渉する。お前の分もとってきてやるぜ」


「流石。抜け目ないな」


「いやぁ〜、いつも遠くからしか見ないから近くで見るととんでもないな」


「芸能人凄いよなぁ」


「だな。オーラとか凄まじかったぜ」


「あぁ〜、人を気絶させる奴ね」


「それは漫画の話だろ?カリスマとかそんな感じだよ」


「お前からも感じるよ。パチモンカリスマの気配が」


「誰がパチモンや!将来本物になるんだよ!」


「仲良く戯れてようぜ?」


「お待たせしました〜。カルビセットと厚切り塩たんです」


 自称焼肉番長の成林が肉を育ててるのを見ながら、三傑より有名なあの死神を思い出した。


(たしかにカリスマオーラ凄かったなぁ)


「俺は思うわけよ」


「突然どうした?」


「天は二物を与えずとか言う慣用句あるが、絶対に間違ってると思うんだ」


「あぁ〜」


「だってよ、有名な狩人とかの顔見たか?過半数が美形だぜ?世の中理不尽だと思うんだ」


「俺ら平凡だもんな」


「一応、東大にいるから少しは特別だと思いたい!」


「狩人系は医学部劣化版みたいな感じで、偏差値はどこも大体同じ感じだけどな」


「国立大は他より少しは高いぞ?」


「そういえば、そうだな」


「くっ!酒でも飲まなちゃやってられね〜!!」


「俺はまだ年齢達してないからな」


「知ってる!くそぉおお!!」


 空気に既に酔っている成林を相手にしながら、夕飯を食べた。明日は一応仕事なので程々で酒を止めさせておいた。明日早いんだよなぁーー。




 




 




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