時には体を張る時もある
「嘘は良くありませんよ?」
「…………」
「うん?」
「すみません」
「よろしい」
凄く笑顔で凄まれた。美形は怖い。普通より怖さ二倍だな。
「でも、装備無しで狩人階級も下なんで何も出来ませんよ?」
これは事実。そもそも同じ階級でも数人いて適正とされるのに、上の階級で装備無しは一般人と変わらない筈。これで戦わなくても済むーーー。
「ではこれを使ってください」
「……これは?」
「実は今日は武器関係のCMの撮影をしてまして、その際に貰った最新の武器です」
どうしても戦わせる気だ。本当の敵は味方だったのか。
「いや、初めての武器に身を任せるのは」
「出来ますよね?先輩?」
悪魔かな?
「いや、ちょっと〜」
「先輩?」
「私は貴女と同じ学校ではないので先輩では無いです」
「屁理屈はいいです」
「すみません使います」
芸能人怖い。年下怖い。
メーカーはよく分からないが、この剣は誰でも使える剣を目指したのかな?凄く使いやすいな。長さや重さも調節できる最新の技術が搭載されてるとか、何百万するか考えたくないが。ただ、一流の狩人が使うとなると性能がやっぱり劣っている、気がする。ワタシ三流なので。
「硬いな〜、限界かもなぁ〜」
「…………」
「第四級だし第三級には通用しないなぁ〜」
「…………」
うん。全然無視だね。聞く耳も持ってくれない。無視は酷いと思います。言えないけど。化け物たちをミンチにする人に言えないけど。怖いし。
「そろそろですね。『エンドルーム』です」
「………あれ?入り口に向かうのでは?」
「田中さんが狩人なら守りながらでも可能性はあると考えたので」
約束と違うぞ約束と。
「これの方が生存者をより多く救えますから」
「確かに攻略したら外から入った生物は全て放り出されるけど、『エンドルーム』の攻略は未知数ですよ?」
「これでも僕は運が良いので」
そう言って、見るからに荘厳な雰囲気の扉を開けて入って行った。この扉の彫刻世界遺産レベルだーと思いながら私も入らされた。
腕掴むのは聞いてない。
その後、静かに扉は閉まった。
扉の向こう側は水面が浅く広がる不思議な空間だった。入ってきた扉が一つ佇み、空も大地も何処までも広がる場所。
「……少し足場が不安ですね」
「電気系はやめて欲しいですね。ついでに帰っていいですか?」
「注意して行きましょう」
「帰らせて?」
水張りの広場に人を大きく超えるポーンのような造形が立っていた。ゆっくりと近づくと、頭と思っていた球体が浮かび上がり、徐々にドーム状になった。
暗闇のベールから突然、爬虫類特有の瞳が浮かび上がった。
「とってもイヤな予感がするんですが」
最悪を想定して扉の方を見ると、地面から飛び出した堅牢な鎖が扉を封印してしまった。稀に起こると聞いた『ファースト・エンド』と呼ばれる現象が起きていた。
彼女がこちらを見て一言、
「帰れませんよ?」
「天国って娯楽あるんですかね?」
「さぁ?嘘つきは地獄になるそうですよ」
「わぁ」
なんだ、死神だったのかこの子。
「絶対、竜ですよね?あれ」
姿を現したのは全種族第一級という最強種の一角を牛耳る竜。
「よかったですね。まだ、褐色なので第一級最下位ですよ」
「ちょっと、何言ってるか分からないですね」
「必死に生きてください」
「グルギァアアアアァァアアァァーー!!」
咆哮により水面が荒波のように唸りを上げてここからの戦いが苦難である事を伝えてくる。
「我が童貞は不滅なり」
「……田中さんなら」
「……………ん?……ん?」
「行きます」
そう彼女が宣言すると亜音速は達しているであろう速度で竜に肉弾した。光の鎧を纏い戦う姿は、歴戦の戦士を彷彿とさせた。
その動きはとても視界に止める事はできないスピードだった。竜もまた、巨体からは想像できない速さで接近した。両者が衝突するとソニックブームに加えて衝撃波も周囲に拡散した。
その威力は凄まじく、地面が衝撃波だけで深く抉れていた。ついでに私も吹き飛んだ。二次被害が酷い!
「殺される!!」
そこからは全力で被害が出ないように、近所の道場のおじいさんからお墨付きの回避を繰り返した。これでも鬼ごっこの近距離戦は得意だったんーー。
ドンッ!!!
「………」
目の前に竜の鱗が亜音速を超えて墜落した。
「………お家帰りたい」
竜は全ての攻撃が彼女の盾に防がれ、彼女は火力面で竜の装甲と再生力を破れなかった様子。
「勝たないと……」
深呼吸を彼女がしたと同時に言葉を漏らした。すると、持っていた武器を自身の体に複数回刺した。
「ぐぼぉあ!」
重要な器官に当たったのか致命的な程血が流れ始め、膝を着いた。
「……ここでそこまでするか〜」
竜も相手の奇行に戸惑うも隙だと判断したのか、確実に仕留める為に代名詞のブレスを準備し始めた。
まぁ、おそらく無意味だろうけど。いや、そうであれ。極限状態が条件にあるとはいえ、このタイミングでそこまで躊躇なくするかとドン引きする。やっぱり一級候補もネジ飛んでるな。
立っているのもやっとの状態で彼女は親に褒められたような笑顔を浮かべて『宣言』した。
「私、坂目新芽はこの場において『覚醒』の資格がある事を宣言する!」
その瞬間、世界が彼女に祝福を与えるように鐘の音が響いた。
何処からともなく顔の無い中性的な天使が彼女の元に降り立ち、大きな翼で彼女を包み込んだ。それと同時に放たれたブレスによって天使と彼女は業火に包まれた。
スキルの描写がないのに最終段階まで行ってますが、スキルには相性があるので、そこまで影響及びインフレしないと思いたい。
描写が下手くそなのは許して下さい( ´∀`)




