そして復活
「何をしている!早く転移先をはやく特定せんか!」
王が叫ぶ
床を調べている魔法師団長のギニアス・ランハートが苦々しげに
「魔力の残滓は確かに転移魔法です。しかしながら追跡は不可能かと」
「なんだと!」
「陛下、通常は床に魔法陣を描いて決められた移転先に転移します。しかしながらローズマリー嬢はおそらく身体に直接魔法陣を描いて転移されたようです。魔法陣が残っていないので魔法陣から解析して転移先を見つけるのが不可能なのです。」
「そのようなことは可能なのか??」
ブルッセン・ゲーマルク公爵がたずねる
ギニアスは苦々しげに
「私には不可能ですね、転移魔法陣を身体に描くサイズにするなど、とても不可能。それに、生体にどんな影響があるかわかりません。まだ見つかっていない古代魔法にそういう魔法があるのやもしれません・・・。」
王妃が叫ぶ!
「16歳の小娘が魔法師団長より魔法が使えると言うの!!そんな馬鹿なことあるはず無いでしょ!」
「バカモノ!それこそネクロマンサーの真骨頂ではないか!ローズマリーはこの世のあらゆる時代の知識を使うことが可能なのだ!王家に取り込むつもりだったのに!リリーナ!!お前が邪魔したようだな!」
リリーナ王妃はローズマリーを認める訳にはいかない。
国家に匹敵する能力なんて私よりも上になる可能性があるじゃない!
ベイトルトと結婚したらベイトルトが王になるの確定するし!
私のギルバルトが王になるには邪魔なのよ!
あんなおぞましい能力!ギルバルトの嫁なんて絶対嫌!
「ローズマリーの排除は貴族会議の決定ではないですか?この舞踏会に出ている皆様の総意でしょ??」
議会なんて根回しすればどうとでもなるもの。
この舞踏会はローズマリー、いや、リーンフォース侯爵家の殺害を共有するためのもの。
「誰よりも死を理解しているのがローズマリーだ、警戒は怠らぬよう!」
「ローズマリーの首をはねたのを皆さんも見たでしょ?死んでしまって何ができるものですか!」
王妃の言葉に頷きつつも、不安感は拭えないまま舞踏会は終了した。
その頃
ローズマリーの遺体とベイトルトの遺体は魔物の住む森の奥のそのまた奥にある地下の迷宮。
古の大賢者ウォーロックの研究室の魔法陣の上に転移していた。
この部屋には4人の亡者がいる
「はぁ、ローズマリー殺されてしまったか。それになぜベイトルト王子が一緒に来るか?ざっくり背中を斬られているな」
そう言ったのは古の大賢者ウォーロック。
ベイトルトの遺体はローズマリーの家族の遺体のある魔法陣の上に転移していた。
「そりゃあの王家ではそうなるでしょ?あの性悪王妃じゃね。それにしても家族皆殺し、根絶やしにするなんてね」
そういったのは紅の魔女メリザリス
「性悪に性悪と言われるなんて今の王妃はよっぽどなのね。でも殺されるのも想定内。大丈夫よ」
優雅に微笑むのは始まりの大聖女ユリアーナ
「あっ?燃やすぞ!ユリアーナ!」
「やめなさい、そんなことより我らとローズマリーの研究の結果がどうなるか見届けよう」
原始の精霊王ナムドリスが嗜めた
ローズマリーの死体のまわりにな新たな魔法陣が描き出される
「自動式魔法陣は成功ね!」
はしゃぐメリザリス。
「これだけの魔法陣。部屋のマナが持つかのう?」
大賢者ウォーロックの研究室
元々のマナの多さに加え生前にローズマリーがせっせとマナを増やすくすり、薬草、鉱物などを持ち込んでいた。
今回発動する魔法陣の約半分は部屋のマナを増やすものだ
「計算上と実際は誤差がつきものですからこればかりはやってみないとですね」
ユリアーナが見守る
魔法陣が完成すると次の魔法陣が次々と描かれていく
ローズマリーの横に新たな魔法陣が出現する
その魔法陣の上には次々と亡者があらわれては融合を始める。
最初は弱い魔物からどんどんあらゆる種族の魔力のある亡者達が融合していく
そして最初の融合から20時間が経過して現れた今回のための選りすぐりの亡者たち
それらは生前恐ろしいほどの魔力を持っていた
それは最強の魔王と呼ばれたもの
それはある黄金時代のエルフの王
それは大古のドラゴンの王
それはある時代の魔法使い
それはある時代の科学魔法で作られた人造人間
それらは融合し1人の亡者となった。
いや、もう亡者ではない。
新たな魔法陣が完成すると
融合体の心臓が動き出す。
顔に生気がうまれる。
呼吸をはじめる
魔法陣は描かれていく
そして最後の融合が始まった
融合体にローズマリーの遺体が融合する
魔法陣が光りだす。
魔法陣の中の融合体が跳ねる、
「あっがぅぎ..ぐ」
融合体から意味不明の言葉が漏れる
部屋中のマナが魔法陣に吸い込まれる。
それは大きな渦となり、まるで部屋に台風が現れたかのように風が吹き荒れた
そして
一際大きな光を発して
融合が終わった。
融合体の見た目はローズマリーだ、違うところといえば左目の下に黒い線が描かれている。
そして頭には一本の黒い角
魔王の影響??
呼吸は浅いがある。
「成功??」
精霊王が
「我の見る限りマナの乱れはない。しかしながらこの魔力量は流石に多すぎる」
「私の見る限り身体におかしな点はないわね、精神も大丈夫よ!」
そういうのは大聖女ユリアーナ。
「部屋のマナも足りた。魔法陣も全てうまく描けていた。我らの理論が正しければ、あらゆる生物の頂点とも言える存在となるはず」
そして
「おはよう」
ローズマリーは目覚めた。
「ローズマリー、どうだ?成功か??」
4人の亡者達がすごい勢いで近づいてきた!
そして
4人がぶつかった!
「きゃ!」「えっ!」「グッ!」「いったぁ!」
4人が顔を見合わせる
「顕現してる!」
以前のローズマリーなら、1人しか顕現させることができなかった。
偉人たちの中でもこの4人は別格だ。ある意味神に等しいといえば言い過ぎか
この研究室で亡者の声を聞きながら、必要なら1人顕現させて、必要なら解除してを繰り返していたのだ
「この世で5人揃うの初めてね!」
満面のローズマリーの笑顔そして魂の叫び
「成功よ!」
皆で抱き合って泣いた。