表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カーニバル  作者: キキカサラ
七月八日
8/21

7月9日 深山隼人 新計画編

 過激な性的発言、表現があります。

 苦手な方は、読まないことをお奨めします。



 ※この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。


「二次会行く人~!」


 店を出ると、栄治がみんなに呼びかける。

 女の子たちが集まってくる。ちょうど四人だ。

 いいね、予定していた人数と合っている。なら、俺はこの後の準備をするか。

 スマホを操作し、川島にメッセージを送る。


「隼人先輩」


 ふと、俺を呼ぶ声がした。

 スマホ画面から顔を上げ、声の主を確認する。愛美ちゃんだ。

 何の用だろうか?


「どうしたの?」


 愛美ちゃんは、俺に接近してくると、俺の手を掴んだ。

 そして、そのまま、自身の胸に押し当てる。

 何だこれは、どういうことだ?


「ここじゃ恥ずかしいんで、路地裏行きませんか?」


 愛美ちゃんが俺を誘う?そんなことあるのか?

 しかし、据え膳食わぬは何とやらだ。お望みとあるならば、相手をしようじゃないか。

 予想外の人物の誘いに、つい、口の端がつり上がってしまった。


「いいよ」


 俺は愛美ちゃんに引っ張られる形で、路地裏に足を運んだ。

 そして、しばらく入ったところで、彼女は身体を密着してきた。


「先輩…」


 顔を近づけてくる。

 先ずはキスか、応えようじゃないか。

 愛美ちゃんの唇が、俺の唇に近付き、ゆっくりと触れようとする。

 しかし、次の瞬間、唇に嚙みつかれた。しかも、唇同士が触れないように、口の端を嚙みやがった。端から、キスすらしたくなかったわけか、ふざけてる。


「痛っ!このアマ!」


 本当に腹立たしい。こいつの目的は何だ?単なる嫌がらせか?

 このまま近づいた状態では、何をされるか分からない。俺は直ぐ様、愛美ちゃんを引き離そうとした。

 しかし、愛美ちゃんは俺の腕をしっかりと捕まえ、また顔を近づけてきた。

 これ以上、何をする気だ。まだ噛み付くのか?


「お膳立てはしましたよ」


 耳元で囁かれた。

 何だ?何を言っている。


「何を言って…」

「美香ちゃん、隼人先輩、口切っちゃったみたいなの。診てあげて」


 愛美ちゃんの呼び掛けた方に目をやる。

 そこには、美香ちゃんの姿があった。何でここに?


「まあ大変!」


 美香ちゃんは駆け寄ってくると、俺の顔を手で包んだ。

 夏だというのに、冷たい手をしている。その冷たさが心地よい。

 そして顔を近づけてくる。


「痛そう…」


 更に顔が近くなり、唇に唇を寄せてくる。

 普通だったら、嬉しいシチュエーションだが、先程のことがある。何をされるか分からない。

 俺は身構えた。


「傷口、舐めてあげますね」


 傷口を舐められた。その流れで、唇を舐められる。そして、そのまま唇を重ねてきた。

 警戒していたので、体が強張ってしまう。

 一旦唇を離し、見つめてくる。

 そして、今度は首に腕を回され、密着してキスをしてきた。

 舌が口の中に滑り込んでくる。俺の舌を美香ちゃんの舌が捉える。


「んっ…ふうっ……」


 美香ちゃんの吐息が漏れる。いやらしい。


 スマホが震える。誰かからの着信だ。しかし、今出ることは出来ない。

 こんな最高の瞬間、中断してたまるものか。


 強く体を密着させ、美香ちゃんの舌は、俺の舌に絡みつきながら、口腔内をまさぐる様に、舌を走らせてくる。

 唇の裏、歯、歯茎、上顎。口内全てを嘗め回す。こんなに執拗に熱いキスは初めての経験だった。

お膳立てをした…愛美ちゃんの言っていたのは、キスの口実を作ってやったということなのだろうか。つまり、彼女は俺と美香ちゃんをくっ付けようとしているのか?

 ということは、俺が狙うよりも先に、美香ちゃんは俺を好いていたということなのだろうか?だとしたら、両想いじゃないか。


「今日は、これくらいにしておきます」


 俺の思いとは裏腹に、美香ちゃんはそう言って体を離した。


「これ以上やったら、私、抑えられなくなっちゃうんで」


 頬を赤らめて言う。

 君も俺のことが好きなんだろう?じゃあ別に、抑えなくてもいいじゃないか。ここで止める必要はない、このまま最後まで行こうじゃないか。

 俺は、美香ちゃんを抱き寄せようと、手を伸ばそうとする。


「隼人先輩のキスが、うまいことは分かりました。いい味見でした」


ハンカチを取り出し、口を拭きながら言う。


「メインディッシュは、後日にしましょう」


 俺は手を止めた。

 今回は味見ということは、本番は別の日か。なかなか焦らすじゃないか。


「また、じっくりと楽しみましょう」


 妖艶な笑みを浮かべる。色っぽくて、影のある笑みだ。

 ここで強引にことを進めても、良いことはないだろう。後があると言っているんだ、美香ちゃんの言うことに従って、引くことにしよう。


「分かったよ、また今度」

「ええ、また」


 微笑むと、美香ちゃんは踵を返して去っていった。今度の笑顔に影はなく、可愛らしい顔をしていた。

 先程の笑みは何だったのか。キスの時と今とでは、まるで別人のようだ。


 再び、スマホが震える。そういえばさっき鳴ってたな。一体誰だ。

 スマホの表示を見ると、栄治だった。


「何だ?」

「何だじゃねえよ、二次会行くんだろ」


 ああ、そうだった。美香ちゃんとのキスで、すっかり計画を忘れていた。


「分かった今行く」

「ああ、それと」

「何かあったのか?」

「大輝の奴が、巨乳の子を諦め切れてなかったみたいで、また徹君に絡んでたぜ」


 あいつ…本当に要らない奴だな。


「そうか。じゃあ、大輝だけをそこに置いて、お前たちは大通りに向かってくれ」

「分かった」


 馬鹿は体に覚えさせないと、理解できないのだろうな、仕方ない。

 路地裏から出ると、言いつけ通り、店前には大輝だけがいた。


「あ、隼人…」


 言い終わる前に、ぶん殴った。

 不意打ちになったようで、壁まで吹っ飛ぶ。そして、尻餅をついた。


「痛ってー…なに…」


 文句なんて言わせる隙は与えない。俺もしゃがみ込み、腕で大輝の首を締め上げ、壁に押さえつける。

 座った状態で壁に押さえつけられると、人間は立ち上がることができない。

 腕で締め上げることで、腕力は必要ない。体重をかけるだけでいいのだ。


「ぐっ…がっ…」


 呼吸が出来なくてもがく。しかし、抵抗できるはずもない。

 喉が押し付けられているため、声も上げられない。


「お前は何を勘違いしているか分からないが、腕力も頭脳も、俺の方が上なんだよ。何で俺と対等になれると思う?」


 更に寄りかかり、体重を乗せてゆく。


「…っ……っ」


 圧迫がより強くなり、うめき声すら上げられなくなる。


「いいか、俺の言う通りにしか動くな。自分で判断することは、全て間違えだと思え。そして、服従しろ。それなら、今回の失敗は目を瞑ってやる」


 腕を外して、解放してやる。


「ごっほ、げっほ、ごっっほ…ぐえぁ…」


 呼吸ができるようになり、むせ返る。大輝はしばらく、涙を流しながら、咳を続けた。


「し、失敗って…」


 まあ、馬鹿だから分からんよな。


「結菜ちゃんのドリンクに薬を盛ったこと。結菜ちゃんを連れ帰ろうとして、徹君に絡んだこと」


 大輝が青くなる。やっぱり、俺が知らないと思っていたようだ。そういうところが無能だというんだ。


「愛美ちゃんも気付いていたぞ。あれだけ、あからさまにやったんだ、愛美ちゃん以外にも、気付いた奴はいるかもな」

「そんなバカな…」

「馬鹿はお前だ。もっと自分の無能さを知れ」


 大輝が俯いて、拳を握り締める。


「あの行動で、お前を警戒した奴もいるだろう。俺としては、お前と一緒にいることで、警戒されるというデメリットを受けることになった。つまり、もうお前はいらないわけだ」

「そんな…!」


 顔を上げた大輝の顔は、後悔で歪んでいた。

 自分のしでかしたことが、どれだけ馬鹿なことか、やっと気づいたようだ。


「だが、さっき言ったことを守れば、取り敢えず見捨てないでおいてやる」

「分かった、服従を誓うよ」

「違うだろ」


 大輝が歯を食いしばる。対等だと思っていた本人としては、相当な屈辱だろう。


「服従します」


 頭を下げる。体が震えている、嫌々なのが見て取れる。

 いいだろう、その態度に免じて、今回は許してやろう。


「今後は黙って雑用でもしろよ。そうしたら、いい思いはさせてやるよ」


 大輝は立ち上がり、頷いた。


「それとな。お前は馬鹿だから、タイミングというものを分かっていない。俺が手本を見せてやるから、しっかりと格の違いを認識するんだな」


 大輝を連れてコンビニに行く。そして、ペットボトルの水を八本買う。


「水を買って持ってくなんて、やっぱり隼人は優しいんだな」


 口調が友達のそれに戻った。まあ、いいだろう。


「優しさじゃないぜ。これがタイミングってやつなんだよ。頭を使って、先を読んで行動しろ」


 水を大輝に持たせ、歩きながら一本ずつ蓋を開け、中に薬を入れ軽く振って溶かす。そして、蓋を閉める。それを半分の、計四本やる。

 大輝は、俺の行動の真意が分からず、素っ頓狂な顔をしている。

 準備が終わり、丁度いい感じに栄治と合流できた。


「ごめん待たせたね」


 爽やかな笑顔を作って言う。優しい深山部長を演じてやる。


「結構みんな飲んだでしょ。悪酔いしないように…はい、水買ってきたよ」


 ペットボトルの入った袋をみんなに見せる。

 薬の入ってない水は、大輝、栄治、史也に渡す。


「開けてあげるね」


 そして、薬の入っている水は、さも今、蓋を開けたかのように、女の子に手渡していく。


「深山先輩、優しい~」


 女の子たちは喜んで、受け取り、水を口に運ぶ。

 俺の好感度が上がり、計画も遂行できる、見事な手際。自分の優秀な頭脳が恐ろしい。

 先程の俺の行動の真意が分からなかった大輝も、ようやく俺の考えが分かったらしく、合点のいった顔をしていた。


「二次会のお店も予約してあるよ。そして、移動のために、車も用意しといたよ」

「え!?」


 みんなから驚きの声が上がる。まあ、当然だろう。


「深山先輩スゴ~い!」

「先輩さすがです!」


 女の子から、次々と称賛の声が上がる。


「あのバンだよ。行こうか」


 みんなを車に誘導する。


「え?人が乗ってる?」


 車に近付き、運転席に人がいることを確認できると、女の子の一人が、困惑の声を上げた。


「ああ、運転手だよ。運転手付きでレンタルしたんだ」

「あ、そうなんですね」


 不安そうだった顔が解消される。


「おいあれって…」


 運転手のハンドルを握る手を見て、栄治が気付いた。

 汚れ一つない、真っ白な手袋。運転手と言えば、違和感はないが、知っている人間には、見覚えのあるものだった。


「ああ、変装した川島だ」


 川島のことは、飲み会開始から待機させてあった。そして、店を出た時に、電話で呼び寄せておいたのだ。


「気にするな。使いやすいから、使っているだけだ。俺たちの行動に口を出してくることはない」

「そうか」


 栄治も史也も大輝も、俺と川島の関係は見ている。特に疑問も持たないだろう。

 不安の解消された一同は、疑うことなく車に乗り込んだ。


「廃病院に向かえ」


 助手席に座り、川島に指示を出す。


「いいのですか?」


 川島が心配して意見してくる。


「ああ、問題ない。いずれ彼女らは、意識が朦朧とする」

「分かりました。出発します」


 川島はそれ以上何も言わず、車を出した。






「あー…うーん?」


 女たちが、言葉にならない声を上げる。


「お、おい、大丈夫かよ?」


 大輝が女たちの様子を見て、狼狽える。


「大丈夫だ、意識が朦朧として夢の中みたいなもんだ。第一、大輝、お前が使った薬と同じだぞ」

「え?」


 大輝が困惑する。自分がどんなことをしようとしたのか、今実感したようだ。

 こいつは、自分の行動に責任も持てないのか。そして、根性もない。


「着きました、深山様」

「おいおい、ここって…」


 いつも冷静な史也が取り乱す。こいつにしては珍しいな。


「そう、黒影山病院。噂の廃病院さ」

「大丈夫なのか?」

「おいおい、まさか幽霊を信じてるわけじゃないよな?あれを考えたのは、お前だろ?」


 栄治の心配の声に答える。大丈夫かとか、どの口が言ってるんだ。


「自分が相手にしたい女を担げ。川島、お前は余った女を担げ」

「かしこまりました」


 思い思いの女を担ぎ、みんなで病院へ向かった。


「暗いな、ちょっと待ってろ」


 病院に着くと、俺は配電盤を操作し、明かりを点ける。


「え!?」


 病院内が一気に明るくなり、一同、驚きの声を上げる。


「電気通ってるのかよ!しかも何だこれ、本当に廃病院なのか?」


 史也が周りを見回して感嘆の声を上げた。

 病院内は、清掃が行き届いており、実際に稼働している病院と変わりがなかった。


「ああ、今日清掃入れたからな。綺麗じゃなかったら、クレームもんだ」


 俺は答えた。三人とも理解が追い付いていない顔をしている。


「取り敢えず、そこの病室に入るぞ。詳しい話はそこでしてやる」


 三人は頷き、病室に入った。大部屋でベッドが四つあった。

 当然、全部屋のベッドも清掃済である。


「まあ、座れよ」


 各々、ベッドに女を寝かせ、その傍らに座る。川島は、俺のベッドに女を寝かせた。


「川島、お前は車で待機してろ。寝てても構わないが、俺が指示した時に、直ぐに出られるようにしておけよ」

「かしこまりました」


 川島は一礼すると出て行った。


「さて、聞きたいことは山ほどあるだろうが、先ず、一番気になっていることを話そう。この廃病院だが、俺が買い取った」

「えぇ!?」

「はぁ!?」

「嘘だろ!?」


 三種三様のリアクションを見せてくれる。その反応を見られただけでも俺は満足だな。


「率直に言おう。これから俺は、欲望のままに女を抱こうと思っている。でも、そのためには場所が必要だ。今までみたいに、誰かの部屋や、ホテルとかでは足が付きかねない」

「まさか、そのために、この病院を買ったのか?」


 史也が、何とも言えない表情で質問してくる。いつも冷静な人間のこの表情は何だか面白いな。彼の思想を出し抜いたという優越感は快感ですらある。


「でも、何でこの病院なんだ?」

「カナコさんの噂のおかげで、奇特な人間しか、ここには寄らないわけだ。そもそも、こんな山奥、余程の変わり者しか来ないだろう」

「まあ、確かに」


 一同が頷く。


「小さな病院とはいえ、病院と名乗る以上、入院用のベッドがある。ホテルと変わりないわけだ。使い勝手はいいだろう?」


 言葉を止めると、静まり返る。俺の次の言葉を待っているというよりも、考えているようだ。


「でも、今までだって、好き勝手に女を抱いてきたじゃねえか。何で急に、病院買ったりとか、大それたことをし始めたんだ?」


 栄治の疑問は当然だった。今まで通り、親父に後始末をしてもらっていれば、何の変化もなく、同じことを続けられる。


「納得のいく回答じゃないかもしれないが、自分の人生をエンジョイしたかったんだ」

「あっはっはっはっはっはっはっはっはっは」


 俺の言葉を聞き、栄治が大笑いした。。


「いよいよ親離れって訳だ!」

「お前、馬鹿にしてるのか?」

「馬鹿にしてねえよ。俺は知ってるんだぜ。隼人が親父に抑えつけられてきたことを。そして、最近それを打開できたことも」


 栄治は俺に歩み寄り、肩を強く叩いた。


「いいね、そういう本能のままに動くのは!そう思わないか?」

「ああ」

「まあ、そうだな」


 栄治に問いに、二人が応える。


「だが、一つ問題がある」


 三人の顔色が変わる。


「今までみたいに、問題を親父が後始末をしてくれることはなくなった。この病院を買ってもらうための、交換条件だ」

「なるほどね。本当に自立ってわけだ」


 栄治が頷きながら言う。


「でもさ、隼人のことだから、親父がそう言ってくることも、予測できてたんじゃないか?」

「ああ、そうだな」


 さすが、史也は鋭い。


「こうなることが分かった上で、計画を立てていた」

「やっぱりね。それで、その計画っていうのは?」

「見てくれよ」


 史也の質問に、天井を指さす。

 一同が、俺の指した方向を見る。


「カメラ…か?」


 大輝が確信を持てない風に言う。


「そう、カメラだ。これは俺が付けた」


 次に、スマホを取り出す。


「もう俺のスマホにはインストールしてあるが、このアプリで、カメラの映像を見ることができる」


 スマホ画面を三人に見せる。スマホの画面には、俺たち四人の姿が映し出されていた。


「おー、すげー」


 大輝が物珍しそうに声を出す。


「ペットカメラみたいもんか?」

「そうだな。しかも録画もできる。お前たちもインストールしといてくれよ」

「わかった」


 全員、スマホを操作し、早速インストールを始める。


「このカメラで、俺たちの情事を記録する」

「は?」


 同時にスマホから顔を上げ、困惑の色を見せる。


「いや、普通に自分のセックスを記録されるのは嫌なんだが」


 栄治の発言はごもっともだ。


「まあ、聞けよ。この記録を脅しの道具に使う」


 俺はベッドに寝かせた女の体を触りながら言う。


「女どもとヤった後に、その動画を突き付けて、金を脅し取る。ヤればヤるほど金になる。最高だろ?」

「そいつらが、脅しに屈しなかったら?俺たちを訴えてきたら、どうすんだ?」


 栄治の疑問は当然のものだ。


「容赦なくばらまく。死なばもろともだな」


 最悪、捕まる可能性のある、結構ザルな計画だ。伸るか反るかは運次第ともいえる。


「俺は隼人に服従を誓ったんだ、乗るぜ」


 大輝が、いの一番に手を上げる。こいつが直ぐに乗ってくるのは意外だった。

 そして、自ら俺の元に下っていることを宣言した。無能だと思っていたが、意外にこいつは従順なのかもしれない。


「まあ、いい思いさせてもらってたし、今までやってきたことだって、同じ犯罪だしな。今更降りても仕方ないだろ」


 栄治も同意する。


「今降りたら、今までのことを隼人に暴露されて、一人だけ捕まりかねないからね」


 笑いながら史也が言った。

 これで、全員俺の計画に乗ることが決まった。


「それにな、もう一つの計画もあるんだ」

「もう一つ?」


 今まで話したことが全貌だと思っていたのだろう、栄治が意外そうに声を上げる。しかし既に、もう一つの計画も実行されている。


「あ、肝試し」


 史也が気付いた。さすがだ。


「そう、肝試しの舞台はここだ。その時に残りの女も頂いちまう」

「すげーな、そこまで考えて催し物を開いたのかよ!」


 大輝が称賛の声を上げる。


「言っただろ、先を見据えて行動しろってな」

「有言実行…敵わないぜ」


 大輝は完全に俺のことを上だと認識したようだ。他の三人の視線も、それに類するものがあった。

 俺は気分がよくなり、手を広げる。


「さあ、取り敢えず、今日は楽しもうじゃないか」


 女の服を乱暴に脱がせて、乳房を揉む。


「う…あぁ……」


 女が呻く。その目は虚ろだ。自分が何をされているか、全く認識できていないだろう。


「これから、女の体は、俺たちの欲望を満たし、その行為は金になる。女の肉に感謝して、貪り食おうじゃないか!」


 声高々に宣言した。気持ちが高揚するのが分かる。


「さあ、俺たちの謝肉祭(カーニバル)の始まりだ!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ