表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カーニバル  作者: キキカサラ
七月八日
11/21

7月10日 小松川徹 ダブルデート編

「さあ、着いたぜ」


 話しているうちに、目的地に着いたようだ。これで一端、気まずい空気は回避できたのだろうか。

 着いたのは、大学から少し離れたところにある、地元では有名なショッピングモール、曙光山(しょこうやま)モールだった。

 この施設は結構大きく、自然公園が隣接しており、そこに小規模ながら観覧車まである。この観覧車が、カップルの間では結構人気だ。


「確かにこりゃあ、デートって感じだね…」


 車から降りながら、呟いてしまった。

 色々なものが売っていて便利だから、買い物として利用したことはあるが、遊びを目的に来たのは、初めてだ。

 今まで、気にしていなかったが、よく周りを見てみると、カップル率が高い。デートスポットと言うのは、本当なのだと感じた。


「沢渡さんとは、モール前で待ち合わせしてる」

「あ、そうなんだ」


 言われて、竜司に着いて行く。


「そういえば、ダブルデートってことは、竜司は沢渡さんとデートするってこと?」

「んな!?」


 竜司が嫌そうな顔になる。その反応は、沢渡さんに失礼だと思うんだけど。


「だってそうだろ?僕と七瀬さんでデートなら、竜司と沢渡さんでデートしなきゃ、ダブルデートにならないだろ?」

「確かに言葉通りだとそうなるけど、あくまでダブルデートは、徹と七瀬さんをデートさせるための口実だぜ。徹だって、二人きりだと、緊張するだろ?」

「まあ、確かにそうだけど。何でそこまで、僕と七瀬さんをデートさせたがるかなあ…」

「七瀬さんが、お前とデートしたがってるから、としか聞いてないぜ」

「う~ん…」


 やっぱり、昨日の深山先輩と七瀬さんのキスシーンが、頭から離れない。僕には本気じゃないだろうに、何でそこまでデートしたがるんだろう。

 僕の気持ちは、コンパの時に興味があると言われた時よりも、明らかに冷めていた。


「お、いたぜ。やっぱり目立つな」


 竜司に言われて顔を上げると、七瀬さんたちがいた。さすが美人、竜司の言う通り非常に目立っていた。彼女たちの脇を通り過ぎる人々が、七瀬さんをつい見てしまっているのが分かる。


「あ、こっちだよ~」


 僕たちに気付いた七瀬さんが、嬉しそうに大きく手を振ってきた。物凄く目立つ。

 七瀬さんを見ていた視線が、そのまま手を振っている先である、僕たちの方に向けられた。

 「え?お前たちが連れなの?」という冷たい視線を受けているように感じた。


「嬉しい、来てくれたんだね」


 七瀬さんが、僕の手を両手で包む。そして、そのまま、ゆっくりと抱き付いてきた。


「え?」


 突然のことに、僕は硬直した。周りから、更に冷たい視線を感じる。


「やっぱり、不思議な匂いだわ~。でも癖になる」


 抱き付きながら、七瀬さんが耳元で囁いた。昨日は言っている意味がよく分からなかったけど、要は匂いフェチってことでいいのかな。

 それにしても、昨日から女性に抱き付かれる機会が多く感じる。今までこんな経験はなかった。一体最近、僕の人生どうなってるんだ。


「離れなさい美香ちゃん。徹君が困ってるでしょ」


 素直に離れる七瀬さん。僕はもう、どう反応していいか分からなかった。


「徹、めちゃくちゃ好かれてるじゃないか。何があったんだ」


 入れ替わりに、竜司が近づいてきて言った。


「僕にもさっぱりだよ…」


 正直な感想だった。匂いが気になるからデートして、しかも出会うなり抱き付くって、どう考えても常識じゃない。


「そうそう、徹君」


 沢渡さんが問いかけてきた。そういえば、いつの間にか名前呼びになってる。


「私の名前分かる?」

「え?沢渡さんでしょ?」

「苗字じゃなくて名前」

「えっと……」


 やばい、分からない。

 沢渡さんは、やれやれといった感じで、ため息をついた。


「まあ、私はいいとして、この子の名前は?」


 七瀬さんを前に出し、質問してきた。

 まずいぞ、覚えてない。


「まあ、そんなもんよね」


 沢渡さんは再びため息をついた。


「いい?これから私たちはデートをするの。デートをする者同士が、名字で呼びあってたら、距離感があるでしょ?だから、今日、今、この瞬間から、名前呼びを強要します」


 言っていることは分からなくもないけど、突然の提案だなあ。いや、沢渡さん曰く、提案じゃなくて強要なのか。つまり、是が非でもやれということだ。


「私は愛美、覚えておくように」


 愛美さんが、胸に手を当ててふんぞり返った。


「美香です。今日は来てくれて、ありがとね」


 美香さんが、また手を握って言ってきた。この子もスキンシップが多いな。昨日はこんなんじゃなかった気がするんだけどな。


「僕…」

「二人のことは知ってるから、自己紹介は無用よ」


 愛美さんが、僕の言葉を遮って言った。心なしか、ちょっと怒っている気がする。名前を憶えていなかったのだから、当然か。


「もう、愛美ちゃん、ツンツンしないの~」


 いつの間にか、美香さんが、僕の腕を掴んで寄ってきた。


「分かったわよ。それじゃあ、もうお昼だから、取り敢えずランチにしましょうか。どこに行きたい?」

「カフェー!」


 美香さんが手を挙げて即答する。この空気は、僕たちの意見が通らないやつだ。


「僕はそれで構わないよ」

「同じく」


 竜司も場の空気を読んで、同意した。


「じゃあ、行きましょうか」

「行こう、徹君!」


 美香さんは、僕の腕を引っ張りながら、先頭を行った。

 腕を組むというよりも、腕に引っ付いているという感じだ。はたから見たら、恋人同士にしか見えない密着度だ。

 愛美さんと竜司は、僕たちの後からついてくる。


「ここ!ここに入りたかったの!」


 辿り着いたのは、紅茶の茶葉も販売している程の、紅茶専門のカフェだった。


「へ、へぇ、お洒落だね…」


 このモールを男同士でしか来たことのない僕たちが、こんなお洒落な店に入ったことがある筈もない。雰囲気だけで気圧されしてしまった。


「早く入りましょ!」


 そんな僕をお構いなしに、美香さんがぐいぐい引っ張ってくる。何でそんなにテンションが高いんだ。


 店員に案内され、席に通される。

 美香さんは相変わらず僕の腕を掴み、そのまま席に着く。

 こうして、僕の隣に美香さん、正面に竜司。竜司の隣に沢渡さんといった座り順になった。

 この配置、コンパの時と一緒だな。


「私はニルギリかな。これが飲みたかったのよ。濃いめのストレートがいいな」

「食事は何にするの?」

「食事はいいわ」


 ランチに来たのに食事を頼まないなんて、ダイエット中なのかな?ダイエットが必要ないように見えるけど、それは無神経な考えなんだろうなあ。


「今は味が分からなくて」

「え?」


 予想だにしなかった理由を言われて戸惑た。

 愛美さんの方を見ると、眉間にシワを寄せている。余計なことを言ってということなのだろうか。


「あまり話したくないけど、美香ちゃんが既に口走っちゃたし、これからデートもするから話しておくわね。美香ちゃんは、持病の関係で、時々、味覚がおかしくなるのよ」

「ごめんなさい」


 美香さんが縮こまって言う。

 僕たちに対して、一緒に食事をできなくて、ごめんなさいなのか、愛美さんに対して、余計なこと言って、ごめんなさいなのか、どちらとも取れる言い方だ。


「謝る必要はないでしょ。こちらこそ、美香さんがそんな状態なのに、食事していいの?」

「うん、それは全然かまわないよ」


 美香さんが満面の笑みで答える。


「味覚が変な時って、私は紅茶の味しか分からないんだ~」


 隠さなくて済むようになったからか、美香さんは明るく言った。言い方的に、現状が苦に感じているようには見えなかった。その様子から、僕たちも神経質にならなくていいのだと悟った。


「じゃあ、お腹空いたし、遠慮なく注文させてもらおうかな」

「うん、そうして!」


 美香さんが、満面の笑みで言った。この人は、よく笑うな。その笑顔は、明るい雰囲気で、僕は結構好きだな。


 注文が終わり、各々が頼んだものが運ばれてきた。


「じゃあ、みんな注文のものも揃ったみたいだし、いただきましょうか。いただきます」

「いただきます」


 各々、食べ始める。


「わー、やっぱり専門店。この紅茶美味しい~」


 美香さんはご満悦だ。


「ん!食事も美味しいよ!」


 サンドイッチを一口食べて、つい声を出してしまった。この店は、紅茶だけでなく、専門ではない食べ物も美味しいなんて、凄いお店だ。


「私の味覚が戻ったら、今度は徹君と食事しに来たいな」


 美香さんが僕の顔を見つめて言ってきた。何か照れ臭い。


「さて、お姫様。この後、どこに行きたいのかしら?」


 愛美さんが話を振ってきた。お姫様という呼び方が面白い。つまり今日は、美香さんの好きなことをやらせてあげるデートということなのだろう。

 今までデートなんてしたことなかったから、僕はどんな形でも構わなかった。


「ん~、そうだな~。ここには大きなゲームセンターがあるらしいから、そこに行ってみたいかな。あ、あと観覧車にも乗りたい!」


 手を合わせて、嬉々として言う美香さんは、無邪気で可愛かった。コンパの時は、綺麗でミステリアスというイメージがあったから、こんな一面もあるんだなと、何だか微笑ましく感じた。

 今日はこの、無邪気なお姫様に付き合うかな。


「いいね。じゃあ、そのプランでいこうか」

「ホント?嬉しい!」


 美香さんが腕に抱き付いてきた。愛美さんの方を見ると、凄く嫌そうな顔をしている。

 さしずめ、美香さんの要望だから、デートはさせるけど、ベタベタはして欲しくないといった感情じゃないだろうか。つまり、本当はデートすらさせたくない。


「じゃあ、行きましょうか」


 全員の食事が終わり、愛美さんが言う。


「ああ、ここは俺が払うぜ。先にゲーセンに行っててくれよ」

「悪いわね」


 愛美さんが簡単に竜司の提案を飲んだ。そして、美香さんの手を引いて、さっさと店を出て行ってしまう。


「いいのか竜司?」

「徹は無理矢理連れてきたからな、謝罪の意味も含めてだぜ。それよりも、早くお姫様をエスコートしてやってくれよ」


 竜司は笑いながら言った。


「ありがとう、ご馳走様」


 僕は竜司にお礼を言うと、二人を追いかけた。

 店を出ると、既に二人の姿はなかった。一足先にゲーセンに行ったのだろう。


 ゲームセンターに着くと、複数の男性に囲まれてる美香さんたちがいた。


「何?女の子だけで遊びに来たの?なら、俺らと合流しない?」

「いいえ、連れがいるからいいわ」

「あ!徹君!」


 僕を見付けた美香さんが、手を振ってきた。

 美香さんの視線の先を、男たちが追う。


「あはははは、随分、華奢な連れだな」


 男の一人が馬鹿にしたように言った。愛美さんも、額に手を当てて、残念そうな顔をしている。ごめんね、強そうな竜司の方じゃなくて。

 でも参ったな。僕を見てこの反応だと、連れがいるからって引いてくれる人たちじゃなさそうだ。

 でも逆に、ここに来たのが竜司じゃなくてよかった。あいつだったら、確実に喧嘩になっていた。

 人数は五人か。まあ、問題ないでしょう。


「なあ、兄ちゃんは、もう用がないから帰れよ」


 一人が前に出てきた。


「そういう訳にもいきませんよ、僕とデートしてるんですから」

「徹君弱いんだから、竜司君呼んできなさいよ!美香ちゃんの前だからって、カッコつけないで!」

「おいおい、女にまで心配されてるぜ」


 男たちが大笑いをする。

 僕は気にせず前に進んだ。


「おいおい、弱い奴が出しゃばんなよ……!」


 先程の男が、僕を捕まえようとして、空を掴む。そして、バランスを崩して転んだ。


「だっさ、お前何してんの?」


 男の転んだ姿を見て、仲間が大笑いをする。


「あれ?おかしいな…」


 男が不思議そうに立ち上がった。


「とにかく、お呼びじゃねぇんだよ」


 再び掴もうとしてくるが、僕は軽く避けた。

 今度は、明らかに避けられたことで、男の顔色が変わった。


「お前、俺とやりあう気か?」


 男の顔が怒りに歪む。


「喧嘩する気はないですよ。人が傷つくの見たくないんで」

「バカにしてんじゃねぇ!」


 今度は殴り掛かってきた。動きが遅いなあ、避けてくださいって言っているもんだよ。


「おいおい、そんな弱っちょろい奴に、何手間取ってんだよ!」


 仲間からヤジが飛ぶ。


「クソ!逃げ回ってんじゃねぇ!」


 なら、ちゃんと当てなよ。

 とは、口に出しては言えない。挑発になってしまうからだ。だから僕は、無言で避ける。

 相手はむきになって、色々と攻撃をしてくるが、何一つ当たらない。


「おい、何かおかしくねぇか?」


 一度も攻撃が当たらない様に、さすがの仲間も顔色が変わてきた。


「お前ら、手伝え!こいつ逃げ足が速い!」


 避けるのが上手いって言ってよ。

 それにしても、タイマンじゃなかったのか。まあ、確かにタイマン張るとは言ってなかったけど、仲間呼んで、恥ずかしくないのかなぁ。


「覚悟しろよ!」


 後ろから殴ってくる。声出したら、バレバレでしょうが。これは横に避ける。


「てめぇ!」


 今度は正面から突進してくる。牛みたいだ。これも横に避ける。


「捕まえた!」


 いや、捕まらないよ?待ち構えてるの見えてるよ。

 両腕で覆いかぶさってくるところを、屈んで避ける。

 何度も応酬するが、誰一人、僕を捕らえることはできなかった。

 気付くと、男たちは疲れ果てて、座り込んでいる。

 周りを見ると、人だかりができていた。まずい、目立ちすぎたなあ。


「あなたたち…」


 声の方を見ると、美香さんがこちらに向かってきていた。

 その奥には、沢渡さんと竜司の姿があった。何だ竜司、合流してたのか。でも、加勢しなかったのは偉いぞ。


「徹君を、こんな目に合わせて」


 どうしたんだ美香さん、様子がおかしいぞ。

 疲れて座っている男の一人に掴みかかる。そして、口を開けた。

 何だ、まさか噛みつこうとしてるのか?


「いっつ!」


 咄嗟に手を出して阻止をしたが、代わりに噛みつかれた。

 女性なのに、結構噛む力が強い。


「美香さん、僕は傷つけられてないから、大丈夫だよ」


 僕の言葉に、美香さんはハッとし、口を離した。

 腕から血が流れる。意外に深かったようだ。


「ご、ごめんなさい、私…!」

「君たち何をしている!」


 騒ぎに気付き、ゲームセンターの店員が駆けつけてきた。もう少し早くに気付いてくれてれば、こんなことにならなかったんだけどな。


「喧嘩か!?」


 年配の店員が、怒りの表情で聞いてくる。


「まさか。ちょっと騒ぎすぎちゃったのは、ごめんなさい」


 そう言って、近くの男の手を引き、立ち上がらせた。


「な、喧嘩なんてしてないもんね」

「あ、ああ」


 男が空気を読んで肯定してくれた。


「でも君、腕から血が出てるじゃないか」


 しまった、さっきの流血が不信感を抱かせてしまっている。


「ご、ごめんんさい、それは私が…」

「え?」


 おずおずと手を挙げる美香ちゃんに、店員が驚く。まさか、こんな綺麗な女性が流血の原因とは思わなかったのだろう。


「すみません、こっちはカップルの喧嘩です」


 現実が飲み込めず、しばらく呆然とする店員。その間、喧嘩じゃないと認識したギャラリーが、散って行っていた。


「そ、そうか。あまり騒がないようにな」

「はい、ごめんなさい」


 僕は頭を下げた。


「お前、何で俺らを突き出さなかったんだよ」

「さっき言ったじゃない。僕は人が傷つくのは見たくないんだよ」


 笑顔で答えた。


「喧嘩じゃないか。確かに、あんたと俺らとじゃ、喧嘩にならないや」


 別の男が立ち上がりながら言った。


「華奢とか、弱そうとか言って悪かったよ。凄く強かったぜ」

「デートの邪魔して、すまなかった。それだけ強いんだ、お似合いのカップルだぜ」

「もうこれに懲りて、人には絡まないようにするぜ」

「絡んで悪かったな、じゃあな!」


 男たちが口々に言って去って行った。去り際が嵐の様だった。


「お似合いのカップル…」


 言われて、顔が熱くなった。そういえば、興奮してて、美香さんをまるで彼女みたいに扱っていた気がする。


「ごめんなさい、私、噛みついちゃって…」


 そう言って、美香さんは僕の腕を舐めた。そして、驚いた顔をする。


「血の味がする…」


 当たり前のことを言った。その姿を見て、僕は吹き出してしまった。


「あははははは、血を舐めたんだから、当たり前じゃない」

「そ、そうよね」


 美香さんは笑顔で返した。しかし、その顔にはぎこちなさがあった。そんなに血の味がしたのが意外だったのだろうか。

 あ、でも、現在味覚障害中だって言ってたから、味がしたこと自体が、おかしいことなのかもしれない。そう考えると、合点がいく。


「徹君って、喧嘩強かったのね。弱いとか言って、ごめんなさい」


 愛美さんが申し訳なさそうに言った。


「僕は喧嘩は弱いよ」


 喧嘩は弱い。僕は人を殴ることができないからだ。


「まあ、とにかく無事で良かったぜ」

「無事じゃないよ~、徹君の腕から血が…」

「え?徹怪我したのか?」

「私が噛みついちゃったから…」

「噛みつく!?」


 泣きそうな顔で言う美香さんの言葉に、竜司が驚く。そりゃあ、噛みついたとか言われたら、誰でも驚くよな。


「美香ちゃん…」

「ごめんなさい」


 愛美さんが、険しい顔をする。僕に怪我を負わせたからか?でも、それだけではない空気が漂う。


「僕は大丈夫だよ。だから、怒らないであげて」


 その言葉に、愛美さんが険しい顔を解いて、ため息を吐いた。


「改めて、美香ちゃんがごめんなさい。大きめの絆創膏あるけど、それで大丈夫かしら?」

「うん、大丈夫じゃないかな」


 絆創膏を受け取り、傷口に貼った。うん、ちゃんと覆われてるから問題ないだろう。


「どうする、ゲーセンで遊んでくか?」

「さっきので、もう、ゲーセンで遊んだみたいな体力使っちゃったよ」

「まあ、徹はそうだよな」


 竜司と一緒に笑った。


「私も、この後ゲーセンで遊ぶ気もなくなっちゃったから、観覧車に行こうかしら。どうする、美香ちゃん?」

「うん、私もそれで」


 心なしか、美香さんの元気がない気がする。そんなに僕の傷のことを気にしているのだろうか。

 ともあれ、満場一致で、観覧車に乗りに行くことになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ