#1【目覚め】
原稿用紙1枚ちょいずつ書いていければなあと
身体中が痛い。そして、寒い。
(……酒で失敗したか?)
昨日はなにもかもイヤになり、ストロングなチューハイを350缶で3本くらい飲んで……
そのあとが思い出せない。
「大丈夫ですか?意識あります?名前、言えますか?」
女性の声が聞こえる。
道端で潰れでもしたか?朦朧とした意識の中、そう結論付けた。先ずは答えなければ。
「火威、ユウ、です」
自分の声はこんなだったろうか?と思うくらいには焼けていた。
火威優、28歳。大手技術系職、大学浪人したからまだ5年目。文系だからて理不尽に初任から飛ばされ無能地方勤務……うん、そんな詰んだ男が、酒飲んで潰れて、詰んだ状況で介抱かぁ……嫌いな同僚に見られてなきゃいいなあ……
「バイタルは安定。身体の値も、廃棄区画にぶっ倒れてたわりにクスリもやってないのねアンタ。ひょっとしてコロニーの中流区画から墜ちてきたばっかりとか?」
ホッとしたような声で、女性が言う。クスリなんか普通やるもんかよ……
……コロニー?
俺はそこで初めて目を開き、ついでに地面の感覚を確かめる。
慣れ親しんだ、そして大嫌いな地方の田んぼや住宅はなく、高層の構造物に何かの金属でできた床の感覚。どこまでも続く空は見えず……上空遥か遠くに鏡のようにまた「都市」がみえ……
「ここ、どこだ?」
「記憶の混濁が見られるようね」
俺は自分が未知の場所に来ている事に気づいた。
女性は次回。