最終回
「カナタ」
「何?」
「エリナとキスした?」
「してません」
そしてリズは俺を見て真っ赤になる。
「お前、何赤くなってんだ?」
「うるせえっ」
ガスッ
と、いつものやり取りが目の前で繰り広げられていく。
そして、エリナは叶多が言った通りトーマスにきちんと話したようだ。で、俺の顔を見てトーマスが赤くなり、エリナが嬉しそうな涙を流しながらこちらにやって来た。
「良かったね」
「ありがとうカナタくん」
そこからみんなで宴会となり、なんとなくペアが固まっていく。リズもシンシアも一度叶多の記憶が消え、それを取り戻したことで心が満足したのか、クロノと一緒にいる叶多を見ても辛いとかそういう気持ちが少しずつ消えていくのであった。
「クロノ、俺の事を忘れてた人は俺の顔を見たら思い出すのかな?」
「知らない」
でしょうね。
「トーマス」
「なんだ?」
「俺さ、しばらくクロノと一緒にクロノの世界にいるよ」
「どうしてだ?」
「うん、なんとなく。その間、商売で約束してたやつやっといてくれない?」
と、ハーテンのキックボードや、缶詰工場、ベリーカの酒場とか他の仕入等全部引き継いでおいた。ワープスキルはトーマスに付けているので、エリナ店の仕入れにも役立つだろう。
叶多とクロノは家に帰り、お風呂に入る。もうこっちの世界の事はこっちの人達に任せておけばいいな。
風呂から出た叶多はクロノにキスをしようとして、もし戻れなくなるかもと思いとどまり、神器で実体化を解いて貰ってエスタートから天界へ戻った。
そこで改めてキスをして、そのまま・・・
ん?
「く、クロノさん・・・」
「な、何?」
「あの、無いんだけど・・・」
「何が?」
「いやその、なんとないうか、前にクロノに見られた奴が・・・」
赤くなる叶多とクロノ
「うん、実体化しないと性別無いから」
え?
「ク、クロノは女神だからその理屈は理解するけど、俺は?」
そういや、俺は何の疑問も思わず自分を実体化とか言ってだけどナニソレ?
「知らない」
うーん、本体が向こうにあるからか?
クロノがわからんもんが俺に分かるハズがない。
とりあえず、ここにいるとクロノとは一線を超える事は物理的に出来ない。で、地上に降りて実体化したら出来るけど、そうするとここに戻れなくなる。
うーむ。仕方がない。一緒にいられるだけで良しとしよう。
「ご飯食べにいく?」
もう一度地上に戻り、どこに行きたいかふわふわ飛んで世界中を見て回る。まだどこか行った事のない国に行こう。
叶多とクロノは見知らぬ国へ行ってご飯を食べ、酒を飲み、二人でお風呂に入る。
「もう、ちゃんと結婚したんだから水着なしでもいいかな」
真っ赤になったクロノはそう言って一緒に入ってきた。
叶多も赤くなるがそのままクロノを抱き締めた。
そして神の試練が始まる。
そして、それが毎日毎日繰り返されていくのであった。
叶多は未来永劫この試練が続くのに耐えられるのだろうか?と思いながら今日もお風呂で仲良くお酒を飲んで暮らしていく。
【名前】カナタ
【レベル】限界突破
【種族】空間を司る神
〜限界突破者は神の祝福により能力を譲渡された物は神となる事が出来る〜
クロノは叶多に目を覚まして欲しいと願った時に叶多とワープゲートを使ってあちこちに行って楽しかった事をまたしてほしいと願った。その事により空間を司る能力を知らずと叶多に譲渡していたのだ。
二人はその事実を知らない。
神と神であれば交わっても元の世界に帰れる事も。
そして、叶多は今日も耐える。
「キャハハハハッ」
風呂で酒を飲んで無邪気にはしゃぐクロノは嬉しそうに叶多に抱き付く。
あーっもうっ
「クロノ、元の世界に帰れなくなってもいいか?」
「いいよ♪」
〜おしまい〜
最後までお読み頂きありがとうございました。
次回作は
【嫁になんていかないからねっ。】
https://ncode.syosetu.com/n4906hr/
おっさんが姫に転生したラブコメです。
またお読み頂けると幸いです。