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倒すか死ぬか

翌朝、洗濯物を見ないようにポイポイとカバンに入れてトーマスの家に。


「どれが誰のかわかんないから自分で取ってね」


「み、見た?」


「ゴメン、下着入ってると思って無くてさ、でもカバンの口をからバッバって入れて洗ったからほとんど見てないよ」


「し、下着まで洗わせてゴメンっ」


「気にしないでいいよ。それとも見た方がよかった?」


あんまり恐縮しているリズに冗談めかしてそう言う叶多。


「そ、そんな訳ねーだろっ」


こんなやり取りが増えるに連れて、リズは恥じらいを覚え、女の子らしくなって行くのであった。



皆でハーテンに移動。そしてフランクが値段を見て引きつる。


(カナタ、なんだよここっ!)

(宝飾品とか揃ってるだろ?)

(ばっか、値段だよ値段っ)

(ここ、世界一物価が高いらしいよ。ナタリーの好きなもの買ってあげてね)


フランク達を二人にさせて、魔道具のの店へ。


「おぉ、やっと来たか」


「ゴメン、もしかして来るの待ってた?」


「あの二人乗り用のキックボードを30いや、50入れてくれ」


「そんな売れてるの?」


「あぁ、問い合わせ殺到じゃよ」


ということで完成したら持って来ると約束。ついでに火酒も頼まれた。


トーマスの屋敷用は叶多より範囲が広いものを購入した。


その後、ハーテンをプラプラして、エリナにクソ高い指輪を買わされるトーマス。


「お揃いのする?」


「するわけねーだろがっ」


と、ペアリングは断っていた。


そしてどこかへ行っていたニックがシンシアに髪飾りとお揃いの指輪をプレゼント。


「え?私にですか?」


「その髪飾りに合うと思って」


「あ、ありがとうございます」


シンシアはチラチラとトーマスと俺を見て受け取っていた。指輪は中指用らしい。


「なんだ?お前もあんなのに興味あんのか?」


テトラがリズにそう聞くと


「あ、あるわけねぇだろっ」


リズはつっけんどんに答えていた。



げっそりとしたフランクと合流。石の付いた指輪とペアリングを買ったみたいだ。めちゃくちゃ高かったらしいが、また稼ぐ理由が増えて良かったねと言ったら頭を叩かれた。


アッキバで昼飯を食べて、リズ達が全自動の洗濯機を買い、ドワーフの国へ移動。


ドグにキックボードの発注をして帰った。


皆をゴーレンに送って行くと、テトラが洗濯機を担いでリズを送って行ったのであった。



翌日からはまた討伐の日々が始まり、賊を討伐した日はクロノと寝る。


そして、冬になりザイル達とフランク達も参加したハポネのカニ、フグ旅行。


討伐の合間にそんな楽しい日を挟んで春を迎えた時に異変が起こる。


それはゴーレンから始まった。


「強制依頼だ」 


「何?また魔族?」


「いや、スタンピードだ。魔物の群れがこの街に来るらしい」


「じゃ、手伝うよ」


「いいのか?」


「数が多くても、狙われんのはクロノだからな、あちこち散らばるより、一定方向に進む方が攻撃しやすいだろ?俺は追いつかれそうになったら罠に落とせるし」


ということで強制クエストに参加した。


「こんなにハンターいるんだね」  


「な、報酬山分けにしたらほとんど無くなるから割に合わねぇんだよ」


と、魔物の群れと対峙したハンター達はまず魔法攻撃から始めた。ある程度数が減ったら物理攻撃の出番だ。


ドドドドドドっ


様々な魔物が土煙を上げてやってくる。


「打てーーっ」


魔法使いが一斉に攻撃する。それより前に来た魔物は剣士や槍とかの出番だ。


「クロノ、しっかり掴まっていろよ」


と、皆に近付いた魔物の前に姿見せると一斉に魔物はクロノを標的にした。そして追いつかれそうになるとゲートに落として足だけをもぎとる。他のハンター達は自分に向かって来ない魔物を横や後ろから攻撃する。


そして1日でスタンピードを鎮圧した。



「助かった」


「えっとどなた?」


「ゴーレンのギルマスだ」


と、フランクが紹介してくれた。


「俺はヘンリー、あんたトーマスだよな?」


「そうだ」


「やっぱりか。魔族討伐の時にもしやと思ってたんだ。会えて光栄だ英雄トーマス」


「まあ、昔の話だ。今はカナタが英雄だろうな。今のも見てただろ?こいつがいなかったらかなりのハンターがやられてたんじゃないか?」


「あぁ、そうだな。お陰で死人も出てない。スタンピードで皆無事だとは信じられん。帰りにギルドでちょっと話をさせてくれないか」


と、一足先にギルドへワープした。



「フランク達からちょくちょく聞いてはいたんだが、なかなかタイミングが合わなくてな。魔族の事も今回の事も感謝する」


「こいつの修行のうちだ」


「本当に魔王を倒すのか?」


「まずは神器を取り返すんだけどね」 


と、事のあらましを説明する。



「魔王の覚醒か・・・」


「何か気になる?」


「いや、他のギルドから、魔族の襲撃があったとか魔物が増えてるとかの報告があってな」


「周期的なものじゃ無いのか?」 


「いや、今まで魔族に出なかった国からの報告だから気になってたんだ」


と、地図を見ながら報告のあった国を見ていく。報告が多いのはゴーレンを始めとする魔族領に近いところから。が、魔族が出たという地域はバラバラだ。


「トーマスどういうこと?」


「各地に潜んでた魔族が動き出したってとこか」


「そうだろうな」


とヘンリーも相槌を打った。


「カナタ、魔物はハンターに任せて魔族討伐に向かう。いいか?」


「いいよ」


と、そしてカナタは今回の件でAランクに上がった。叶多にとってはすでに意味の無いものではあったが。



家に戻ってから叶多は考える。

もしかして100年位は覚醒しないとクロノは言ってたが、随分と早まったのではないかと。


これは神器を取り返すのを優先しないとまずいかもしれない。叶多はもっと修行をして、レベルも上げてから一人でも魔王を倒せる位になってからと思っていたが先に覚醒されたらどうしようもなくなる。


やはり、神器を取り返すのを先にして、クロノに勇者スキルを戻さねばならない。しかし、それをするには元の世界の時間を動かすこと。クロノは気付いていないだろうが、元の世界の時間が動き出したらこの俺は消えそうな気がする。俺が本当のコピーなら消えないが、繋がっていたとしたら同時に存在できないのかもしれない。


今の俺が消えて、時野叶多にここの記憶はあるのだろうか?いや、無いだろうな。存在しなかった事になるなるし、止まってた本体が優先されるだろう。


これを言ったらクロノは勇者スキルを戻すのに元の世界の時間を動かさないだろう。


選択肢は限られて来たな。


1、自分が魔王を覚醒前に倒す。

これならばクロノが自分の世界へも戻れるし、元の世界の時間葉止まったままだけど、このままクロノと暮らせるる。その後どうするか方法を考え事も出来る。


2、神器だけ取り返して、クロノに勇者スキルを取り戻させる。この場合は今の俺が消える事を内緒にしておく必要がある。


3、二人で逃げる。

これは無しだな。世界が滅んで二人だけ生き残っても幸せにはなれない。



1がベストだけど無理だろうな。最悪相討ちを狙ってでも倒せたら、クロノはまた元の俺を召喚すれば寂しくないだろう。


ということは現実的には2番。クロノが元の世界の時間を動かしたくないと言うだろうから、俺は死ぬか亜空間に閉じこもって元の世界に戻るのに掛けるしかないか。しかし、もし亜空間に閉じ込められてそこの時間が止まってて死にも戻りもしないのであれば最悪だ。クロノの持つスキルが誰にも渡せず詰む。


はぁ、倒すか死ぬかしないとダメか・・・


しょうがない。このままだと皆死んでしまうからな。



風呂から出て来たクロノ。


「どうしたの?」


「いや、別に。俺も風呂に入って来るよ」


ジェット風呂に入ってるとパチっと灯りが消えて、水着だけのクロノが入って来た。


「へっへー、飲もう♪」


そう言って発泡ワインを持って来たクロノを叶多は抱き締めた。


「ど、どうしたのよっ」


いつもならバスタオルを巻けとか怒る叶多が何も言わずに抱きしめたのだ。


「このまま襲っちゃおうかなって」


叶多はどの道を選んでも、そうなることは無いのがわかっててクロノにそう伝えたのであった。


それから酒を飲んで二人で寝たのであった。クロノは襲われるのかとドキドキしていたが叶多は襲って来なかった。





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