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早めに討伐したい

翌日に南国へ移動。


「わっ、暑いっ」


「ここは常夏だと思うよ。前に来たときより気温低いけど暑いね」


と話しながら水着の店へ。


現地の男共からクロノ達がジロジロみられるので叶多とトーマスは威嚇する。


「ねっ、トーマス。これどうかしら?」


「そんなもん裸と変わんねぇだろうがっ」


「えー、嬉しくない?」


「そんなもん来てどこにいくんだっ」


「え?カナタくんのところと同じお風呂にするんでしょ?何も着ない方がいいのかしら?」


エリナはトーマスと風呂に入るつもりのようだ。


「俺はカナタみたいに一緒に入らんからなっ」


「だって。じゃ、カナタくん一緒に入ろうね。水着を着てたらいいんでしょ?」


「いえ、結構です。なんでも好きなの着てクロノ達と入って下さい」


あんな紐みたいなの着てないと同じだろうが。



シンシアはフリフリの付いたビキニ、クロノも白いビキニを新調していた。

エリナも結局黒いビキニを選んでアッキバへ移動。


お昼にいつものハンバーガーを食べて泡風呂の元を購入。


「カナタさんと一緒にいればどこにでも行けて楽しいです」


「確かに便利だよね。違う国に行くと売ってるものとか違うし。トーマスも家庭用魔道具買うならここで買うといいよ。荷車もあるから運べるよ」


と、いつもの店に行くといつもの店員が寄ってきた。


「今日は何をお探しでしょうか?」


「今日は下見だよ。仲間が家を建てるから家具とか魔道具とかのね」


「それはそれは。ぜひお願いいたしますね」


「ここで買うとは限らないけどね」


「えっ?」


「ほら、お金払うの俺じゃないから。俺はこの店で買ったよと教えに来ただけ」


「だ、旦那様っ。ぜひ私共の店でお買い求めをっ」


めっちゃトーマスに近い店員。ちょっと後ろから押したらチューしそうだな。


どんっ

 

チュッ


「べっ べっ な、何しやがんだっ」


エリナにトンっと押されてトーマスと店員はチュッとした。


「あ、あ、あの旦那様。私は売り物ではございませんが・・・。どうしてもとおっしゃるなら」


ん?店員はそっちの人なのか?


トーマスにチュっとされて赤くなってる。


「だって、トーマス。買ってあげたら?」


エリナはめっちゃ笑いながらそう言ってトーマスの肩をバンバン叩いていた。


「買うかっ」


トーマスが怒ってしまったので退散する。



「もー、そんなに怒んないでよっ」


「お前が怒らしたんだろうがっ」


「だって、あの店員さんめっちゃ近いんだもん。押したくもなるわよ」


確かに。


「ええっい、口直しだっ。飲むぞカナタっ」


ということでハポネに寄って風呂を注文し、酒と魚を仕入れて帰った。外で飲むと帰るの面倒だとうちで飲む事に。


5人だとやっぱりせまいね。


クロノにイカ刺身を食べさせながらヒラメとカサゴの刺身をポン酢で食べる。フグも旨いと思ったけど、カサゴの刺身旨いな。値段もフグと比べたらタダ同然だ。唐揚げにしても旨いらしいから、小さめの奴は揚げよう。でも、これを食べてから。ムグムグムグムグ。


「トーマス、私が口直ししてあげよっか?」


「いらんっ」


「もう、まだ怒ってんの?」


「トーマスとエリナってもしかして恋人同士だったの?」


ギルドを離れてから二人の親密さがよく分かる。


「あれ?カナタくんハポネの宿の話を聞いてなかったっけ?」


「俺とクロノが部屋に行った後のことじゃない?」


「あっ、そうかも。トーマスが昔ねっ」


「やめろって言ってんだろが」


「あら、いいじゃない。カナタくんだけ知らないなんて可哀相よ」


と、エリナが昔話をしだした。


「こいつが、俺をカモにしようとして魅了チャームを使ってやがったんだよっ」


「でね、トーマスは私を養うんだって行って、ハンターをして荒稼ぎし始めたのよ。それでいつの間にかA級になって、勇者達と私の所に戻って来たのよ」


「へぇ」


「もうやめてくれよっ」


トーマスはハポネの宿でバラされたコト以上に話されているらしく、涙目になっていた。


「で、勇者達がさぁ、私を口説いて物に出来ないとわかったら討伐しようとしたわけ」


「は?討伐?」


「エリナは魔族だ」


えっ?


「そうなの?」


「俺もその時に知ったんだ」


「で、トーマスが勇者から私を守ってくれてね。嬉しかったわ」


「こいつは元々、人間をたぶらかしてなんか企んでやがったんだ」


「失礼ねっ。企んでなんかなかったわよ。人間の事を調べてただけよ」


「ほれ、みろっ」


「誰も殺してないし、魔族側へと先導もしてないでしょっ」


「しようとしてたんだろがっ」


グビグビと酒を飲み、俺を弄びやがってとかブツブツ言うトーマス。


「もうっ。弄んでなんかいないわよっ。でね、その時にトーマスは勇者達と喧嘩別れになったの。S目前だったのに」


「で、その後シンシアを助けたの?」


「そうよ。で、私と離れたくないからエスタートに無理矢理連れてこられたの」


「嘘を付くなっ。お前がまた狙われたら危ねえっと思ったんだ。シンシアのついでだっ」


「トーマスはエリナが魔族とわかったから結婚しなかったの?」


「そうだ」


「トーマスったらね、責任取れないからって結局抱きもしなかったのよ」


「魔族は人間と変わらんとか前に言ってなかった?」


「寿命が違うんだよっ。こいつは何年生きるかわからんだろが。お前本当の歳はいくつだ?言ってみろ」


「え?22歳よ」


「本当の歳だ」


「プラス300くらいかしら?」


「え?322歳なの?めっちゃ婆さんじゃん」


叶多がそういうとグーでいかれた。


「そんな事を言うならクロノなんてもっと婆さんじゃないのよっ。絶対私より年上でしょうがっ」


「クロノ、お前いくつだ?」


「知らないわよそんなの」


なぜ、時を司る神なのに自分の年齢をしらないのだ?


「まぁ、実年齢とこの二人は全く違うから年齢は関係なくてもいいんじゃない?」


「俺はこいつに比べたらすぐに死ぬからな。責任を取れんことはしたくない」


なるほど。だからトーマスはエリナに手を出さなかったのか。


「エリナ、愛されてんね。それなのに俺がエリナにお願いしますって言ったらどうしてたんだよ?」


「もちろん、好きなようにさせてあげるわよ。なんなら今からする?」


「しません」


「もうっ」


あんた、自分に惚れた男の前でよくそんな事を言ってやれるな。


「シアちゃんもこれ以上歳取らないの?」


「どうかしらね。シンシアは人間寄りじゃないかしら?他の人間より寿命は長いと思うけど」


そうなんだ。


と、トーマスとエリナの昔話を聞いていると、クロノとシンシアは飲んで盛り上がっていた。


「カサゴの唐揚げ食べる?」


いつの間にか刺身が食い尽くされていたので二人にそう聞くとクロノ達も食べるだって。



カサゴもさばいてくれてあるので味付けと粉付けて揚げるだけだ。


ショワショワと揚げている間にレモンを輪切りにしていく。トーマスとエリナは火酒の水割りとか飲みそうだからな。レモン入れるかもしれないし多めに切っておこう。


氷と火酒、水をまずテーブルに持っていき、続いてカサゴの唐揚げを持っていく。


俺は発泡ワインだ。



「うん、旨いぞこれ」


トーマス達は揚げ物が好きだ。


「カナタさん骨まで食べるの?」


「一応骨までまで揚げてあるからね。シアちゃんは無理して食べなくてもいいよ」


クロノはフォークで食べてるので骨ごといった。


「刺さったぁっ」


「いっぺんに口に入れるからだろ?身と骨別々に食え」


「ほっへよぉ」


と口を開けるクロノ。あ、こんな所に刺さってる。毛抜が無いので指で取ろうとするが、指を入れると見えないのでなかなか取れない。そしてクロノの舌が指に当たる。それが急に恥ずかしくなって赤くなる叶多。


「ほ、ほら取れたぞ。気を付けて食えよ」


「カナタくんのえっち」


「う、うるさいなっ。骨を取っただけだよっ」


エリナに心の内を見透かされたようでめっちゃ恥ずかしかった。



シンシアが泡風呂に入りたいと言うので、女3人でどうぞと行かせた。



「トーマス、俺達と違って別に一緒になっても良かったんじゃないの?」


「俺とエリナか?」


「そう」


「寿命が違うってのは難しくてな。知り合いにドワーフやエルフと結婚したやつを知ってるが皆苦悩している」


「苦悩?」


「相手はずっと若いまま、自分はどんどん歳を食っていく。俺も後20年とかしたら男としての能力なくっていくだろ?でも嫁は若いままだ。その時に他の男にいかれてみろ、たまらんくないか?」


想像してみるとめっちゃ嫌だな。


「そうならないとしても、確実に自分がずっとずっと早く死ぬからな。俺には踏ん切りが付かなかった。ただそれだけの事だ」


トーマスも辛い思いしてたんだな。勇者に捨てられたって言ってたのも、やっぱりちょっと違ったのか。


「で、どうして俺の手伝いをしようと思ってくれたの?」


「まぁ、魔王を倒せたら、エリナがもっと生きやすくなるかもしれんと思ったんだ。魔族と人間の共存が普通になればあいつも自由に生きれるかもしれんだろ?」 


「そうだね。俺も頑張るよ。クロノを元の世界に戻さないとダメだからね」


「お前はずっとそう言ってるが、女神さんに惚れてんだろ?辛くないのか?」


「あー、そうだね。でもあいつは神様だからさ、言っても仕方がないんだよ。あいつが神に戻らないとどんな影響が出るかわからないし。自分の気持に色々な世界の人を巻き込むわけにはいかないから」


「大丈夫なのか?」


「一緒にいられるだけでもいいよ。トーマスもそうだろ?」


「ふっ、そうかもな」


「でも、最近、自分が信用出来なくなって来てるから、早めに魔王倒したいんだ。無意識になんかしてもおかしくないからね」


「一緒に寝てりゃそうだろよ」


「うん」


とは言いつつも、くっつかれて寝るのは悶々とはするけど嬉しいとは言わなかった。





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