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狩り

「おう、カナタ。お前ハンターだっていっても商人メインだろ?魔物が来たら逃げろよ。お前は見つけてくれるだけでいいからな」


「大丈夫だよ。今はCランクらしいから」


「は?Cランクっていったら一人前じゃないか」


「みたいだね。まぁ、来たら俺もやっつけるから大丈夫だよ」


「それに嫁さんまで連れていくのか?」


「家に置いとくのも心配だしね」


「別にいいけどよ、自分で守ってやれよ」


 「当然!」

 

ということで出発。剣や牧草を刺す為のでっかいフォークみたいなものを持ち、皆で見回りへ。


クロノは叶多の後ろにくっついて服を握って歩く。そしてその服をグッグッと引っ張った。


あ、いる。


夜に濃い緑をしたコブリンは見えにくい。が、先にクロノが気付いた。


「いるよ。構えて」


と、皆に伝えると皆に緊張が走る。暗くて数はハッキリしないが3匹だろうか?


「おい、行くぞ」


と男達が農具や剣を構えてそちらに向かう。叶多は違う方向から来ないか注意を払う。


グギャとゴブリンの声が聞こえ戦闘が始まった。ゴブリンは棒ぐらいしか武器を持たないので十分応戦出来ている。


と、戦っている両横にもゴブリンがいる。


「クロノ、行くぞっ」


ワープして横のゴブリンの群れ近くに移動。


大きめのゲートを出し一網打尽し、反対側も同じく殲滅しようとしたら何匹か逃げたので追う。


「ま、待って」


そう言ったクロノを抱き上げ叶多は走る。やはりレベルアップは身体能力向上をしてくれているのか叶多の走るスピードも力も上がっていた。


おっと、こいつら連携取るのかよ。逃げたゴブリンを追ってると横からゴブリンが飛び出して来た。地面にではなく、そいつらの前にゲートを出すと吸い込まれた。証明を取れないけどクロノの安全が優先。吸い込んではキャンセルをしていく。


そして、ゴブリンが逃げた先には人?


「きゃぁぁぁっ!」


その人が悲鳴を上げる。やばっ逃げたゴブリンにやられる。そう思った時にもう一人いてゴブリンに応戦しだした。


「避けてっ」


そう叶多が叫ぶと応戦していた人は悲鳴を上げた人をドンッと突き飛ばしてその人に覆い被さり伏せた。

 

「ワープ キャンセル」


ゴロン


逃げた5匹ぐらいのゴブリンは首だけになって死んだ。


「大丈夫ですかっ」


「あ、あなた達は?」


「俺はカナタ、ベリーカのギルドで依頼を受けたハンターだ」


「ベリーカはもう近いのですかっ」


「あぁ、ここから歩ける距離だ。こんなところで何をしている?」


「失礼しました。私は商人をしているマイクと申します。これは妹のジェーン。荷馬車の車軸が折れ、立ち往生していた所を魔物に襲われ、逃げてきました。助けて頂いてありがとうございます」


「二人だけか?」


そういうと目を伏せる二人。


「他の者は・・・」


「そうか。なら夜が明けたらギルドか衛兵に頼んで調査をしてもらう。とりあえず二人は付いてきて」


叶多はそう言ったあと、ゴブリンの耳を切り、頭は亜空間に捨てた。


「これは何なのですか?」


マイクと名乗った男は驚愕の目をしてその様子を見ていた。


「ハンターの能力に詮索は禁物だよ」


叶多は二人への警戒を解かなかった。もしこれが被害者でなかったらクロノを危険に晒す。二人をワープで送ったら、亜空間ではゲートを出して倒すことが出来ないのだ。


クロノを自分の前に歩かせ、二人に後ろを付いて来させる。道すがら耳を切り、亜空間に捨てるを繰り返しながら皆の元に戻った。


「カナタっ!どこに行って・・・誰だそいつらは?」


「魔物に襲われて逃げて来たらしい」


二人は皆に自己紹介をした。


「そうか、そいつぁ大変だったな。行くあては決まってんのか?」


「い、いえ。命からがら逃げて来ましたので・・・」


「ならうちに泊まれ。夜が明けたら衛兵の詰め所に連れてってやる」


「そんなご迷惑をお掛けするわけには」


「いいって、いいって。困った時はお互い様だ」


大丈夫かな?


叶多はまだ警戒を解いていない。


「で、カナタ。お前大丈夫か?」


「おっちゃんらも大丈夫?」


「おうよ、3匹もやっつけたぜ」


「そりゃ良かった。俺は倒したやつの討伐証明を取って来るよ」


「は?」


「そこらに首転がってるはずだから」

 

と、ランタンを照らしてもらって落ちてる首から耳を切り取り残りを捨てていく。


「お前、いつの間にこんなに倒したんだ?」


「おっちゃんらが戦ってる時だよ。多分これで全部だから帰ろうか」


と皆で戻り、叶多達は二人をおっちゃんに任せて家に帰った。



「カナタ、どうしたの?そんな渋い顔をして」


「いや、あの二人は本当に襲われてこっちに来たのかなと思って。クロノはあの二人から嫌な感じはしなかった?」


「ううん、別に何も感じなかったよ」


クロノは自分より先にゴブリンに気付いた。賊の時も魔物と同じ様な感じだから平気と言っていた。多分、そういう存在に何か感じるのかもしれない。が、あの二人には何も感じないということは本当の被害者なんだろう。ま、明日あの二人が言うことが本当かどうか襲われた場所に確認にいかないとな。



「さ、寝ようか。もうすぐ朝だから仮眠になるけどね」


と、クロノに先に風呂に入らせてから叶多もシャワーを浴びる。


叶多は今着ていたクロノの服を持ってベッドに入る。もうそれがあたり前になっていた。すっかりクロノにマーキングされた叶多はスヤスヤと眠るのだった。



翌朝、おっちゃんの所を訪ねる。


「お、カナタ早いな」


「二人は?」


「もう起きてるぞ。しかし、あいつら美男美女だな。襲ったのが盗賊だったら妹の方は悲惨な目にあってただろうな」


「そうだね。あの二人を詰め所かギルドに連れて行こうかと思うんだけど」


「そうだな。依頼達成の報告を兼ねてギルドに行くか」


ついでに野菜を納品するから馬車に乗せてもらって行くことにした。


「昨日は本当にありがとうございました」


「お仲間さんは残念だったけどね」


「はい・・・」



そこから無言になった二人。クロノは馬車はお尻が痛いのか膝に乗って来た。


「仲が宜しいんですね。昨晩も抱き抱えられてましたよね?」


「うん、俺が心配性でね。こいつが近くにいない不安なんだよ」


「奥さんにベタ惚れなんですね」


「まあね」


叶多は警戒を解いていないので特に何も否定せず話を合せた。クロノはとてもご機嫌だった。


ギルドに到着して昨夜の事を報告する。


「それは大変でしたね。では襲われた荷馬車の調査を依頼されますか?」


「え?ギルドか衛兵が調査に行くんじゃないの?」


「ベリーカの住人ならそうしますが、他国の方なので」


世知辛いよな


「そうですか、我々は荷を失いましたので、手持ちしか残っておりません」 


と、銀貨5枚と銅貨数枚だけが残っていた。


「場所はだいたいどの辺かわかりますか?」


と、地図を出して二人に聞く受付。


「えーーっと。多分この辺りだと」  


「なんだ思ったより近いじゃねーか。なら俺がこいつで連れてってやるよ」

 

「本当ですか?もし荷が残ってたらそこからお礼を支払いますので」


「ではこちらへの依頼は不要ですね。護衛は付けられますか?」


「いや、この手持ちでは・・・」


「なら俺に指名依頼だせ。その端数の銅貨で受けてやるよ」


別に金はいらないがギルドを通しての仕事にしておいた方が後々いいかもしれない。


「そ、そんなわけにはいきません。お願いするならこの銀貨で」


「荷がなかったら手持ち0とか摘むだろ。銅貨でいいよ」 


「では銅貨12枚で護衛受注の手続きを致しますね」


「これもついでに処理お願い」


とゴブリンの耳を出した。


「わ、結構いたんですね」


全部で22匹だった。亜空間に消えたのを合わせるとまだいたことは黙っていよう。で、ゴブリンの見回りクエスト達成の支払いを差引して銀貨2枚をもらった。



また馬車に乗って帰えり、このまま被害のあった場所に直接向かった。日が暮れるまでに戻って来れるギリギリの所らしい。  


叶多は街の外に出ることはないので地理には疎かった。


ご飯を何も持って来てないな。いつもならワープで移動するのでそういったものの心配はしたことがない。家に帰れば済む話なのだ。しかし、今はそうはいかないので我慢する。


水は途中で手に入るらしい。馬に水を飲ませる場所があり、そこに人間用もあるとのこと。


そこで一度休憩する。


「なんか食べる物持って来たら良かったね」


「今日は宴会だから腹を減らしておけよ」


「もう今日やるの?」


「この二人もいるしちょうどいいだろ?」


というか、朝からおっちゃんとギルドに行って直でこっちに来てるから、もう決まってたんだろうな。


もうしばらく進んで襲われたポイント近くに来た。


「多分このあたりです」


とともう少し進むと壊れて倒れた馬車と4人の死体が転がっていた。撲殺されたようだ。


マイクとジェーンは悲痛な顔をしてその場に立ち尽くす。



「カナタ。死体を焼くのを手伝ってくれ」


亜空間に捨てようかと言おうとしたが、ゴブリンと同じ扱いも何だかなと思って、死体を焼くことに。明るい所で間近に見る死体は生首と違った恐ろしいさがある。


道から避けて焼き、倒れた荷馬車から荷物をこっちの馬車に積んでるいく。そして馬車にも火を放った。もう使い物にならないし、どかせるには重いのだ。これも亜空間に捨てるのはやめておいた。



町に到着すると同時に日が暮れる。


「なんとか間にあったな」


「そうだね。良かったよ」


「じゃ、お前らも宴会に参加だな。これからどうするか決まるまでうちに泊ってろ」


「いや、そんなご迷惑を・・・」


「気が引けるならうちの仕事を手伝ってくれ。そろそろ収穫時期だから人手があると助かる」


「ありがとうございます。お手伝いさせて頂きます」



そして、間もなく宴会が始まるのであった。













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